保育士の仕事と言えば「子どものお世話をして一緒に遊ぶこと」といったイメージが一般的です。
しかし保育士が毎日どんな仕事をしているのか、具体的な仕事内容はあまり知られていません。
この記事では保育士の仕事に興味を持っている方に向けて、実際の保育士の仕事内容について詳しく解説していきます。
1日のスケジュールや仕事のやりがい、大変なこと、保育士になるための方法なども解説します。
保育士とは?定義と役割
具体的な仕事内容を見る前に、改めて保育士の定義と役割を確認してみましょう。
児童福祉法第18条には、保育士とは以下のように規定されています。
単に保護者から子どもを預かってお世話をするだけではなく、子ども健全な心身の発達を促したり、身の回りのことが自分でできるよう身辺自立の援助することが必要です。
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保育士の具体的な業務内容
保育士の仕事は具体的にどんなものなのでしょうか。
ここでは5点に分けて具体的に紹介します。
さらに、より保育士の仕事をイメージできるように一般的な1日のスケジュールも見てみましょう。
身辺自立の援助
食事や排泄、着替え、手洗いうがいなど基本的な生活習慣を身につけられるように援助することは保育士の大切な仕事の一つです。
保育園は子どもが1日の生活を送る場なので、家庭と協力しながら身の回りのことを自分でできるように手助けしていきます。
0、1歳では主に保育士が、2、3歳では保育士と一緒に、4、5歳では自分でできるように年齢に応じた関わりが必要となります。
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心身の発達を促す保育
子どもと遊ぶことは保育士の大切な仕事ですが、実際はただ一緒に楽しく遊んでいるわけではありません。
製作遊びや運動遊びなど、どの活動においても必ずねらいが定められており、子どもの心身の発達を促すことを目的としています。
「友達とたくさん関わる時間を作りたい」「粘り強くやり抜く力をつけてほしい」など、毎日の子どもの様子を見ながらねらいと活動を設定して保育を行っていきます。
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書類やお便りなど事務仕事
肉体労働のイメージがある保育士ですが、意外と事務仕事も多くあります。
メインとなるのは月案や週案など保育内容を記した書類作りに、お便りの発行、毎日の連絡帳の記入などです。
他にも健康診断があれば記録を取って綴ったり、年間の個人記録を残したり、研修でのレポート作成など細々した書類作成も多いでしょう。
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行事の企画遂行
保育園では季節ごとに様々な行事が執り行われています。
基本的な流れや枠組みは毎年同じように決められていますが、中身に関しては毎年保育士が考え、意見を出し合って進めていきます。
例えば運動会では、クラスのお遊戯を何にするか、各年齢の競技内容の確認、プログラムや入場門、小道具の作成など決めることは盛りだくさんです。
毎日の保育の合間を縫って準備を進め、練習を行わないといけません。
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保護者や地域の子育て支援
保育士は子どもの保育だけでなく、保護者のサポートなど地域の子育て支援も行います。
特に現代は都市部を中心に核家族化が進行しており、初めての子育てで周りに頼る人もおらず孤独になったり悩んだりしている保護者が増えています。
保育士は子どもに関わるプロとして、そういった保護者の相談に乗ったりアドバイスをしたりすることで子育てのサポートを行います。
また保育園に通う園児の保護者のみでなく、園庭開放などを通して地域の子育て支援を行うこともあります。
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1日のスケジュールを見てみよう
保育士の業務内容について解説してきました。
実際にどんなスケジュールで働いているのか、保育士の1日の流れを見てみましょう。
勤務条件など保育士の働き方
保育士の業務内容は子どもの保育だけでなく保護者の支援や事務仕事など多岐にわたることがわかりました。
これから保育士として働きたいと考えている方は勤務時間や給料、休日、雇用形態など働き方も気になることでしょう。
ここでは気になる保育士の働き方について紹介します。
早番遅番などシフト制が基本
多くの保育園は7:30~18:30ごろまで子どもを預かっているため、保育士はシフト制勤務が基本となっています。
例えば早番は7:00~16:00、中番は8:00~17:00、遅番は10:00~19:00などで、園によってはさらに細かく出勤時間が刻まれている場合もあります。
給料や休日
保育士の給料はいくらなのでしょうか。
令和元年賃金構造基本統計調査によると、女性保育士の平均年収は362.1万円となっています。
全職種の平均が388万円なので平均より若干少なくなっています。
保育士の休日は基本的にカレンダー通り、土日祝と年末年始です。
お盆休みはある園とない園がありますが、ない場合も交代で休めるように夏期休暇がもらえることが多いでしょう。
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正社員以外の働き方も充実
保育士の求人は正社員以外にもパートやアルバイトなど短時間勤務での募集もたくさんあります。
子育てや介護で忙しく、フルタイムで働くことが厳しい方であっても週2日~などでも勤務できるので働きやすいでしょう。
朝早くや夕方だけの募集もあるので、空いている時間に働けることが可能です。
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保育士の本音!仕事のやりがいや大変なこと
保育士は子どもや保護者など多くの人を相手にする仕事なので、働くなかで楽しみややりがいを感じられる場面がたくさんあります。
反対に保育士ならではの大変なことや苦労も避けては通れません。
ここでは保育士の仕事のやりがいや大変だと感じることについて見ていきましょう。
さらに詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にしてみてください。
保育士のやりがいとは?保育士の大変さや現役保育士のやりがいを感じたエピソードをご紹介 保育士の仕事が辛い!保育士が辛いと感じる理由とその解消法子どもの笑顔と成長
保育士の一番のやりがいは子どもの笑顔と成長です。
毎日の業務に追われて疲れていても「せんせいおはよう!」「せんせいだいすき!」と言ってくれる子どもの笑顔に癒され、がんばろうと思えます。
乳児クラスでひたすらかわいい赤ちゃんに囲まれて遊んでいると「これで給料をいただいていいのかしら」と考えてしまうこともあるかもしれません。
小さな頃から見ていた子どもが立派に成長して卒園する姿を見られることも保育士の醍醐味でしょう。
保育士
保護者に感謝される
保護者は保育園があるから安心して仕事に行くことができます。
「いつもありがとうございます」「先生のおかげで○○ができるようになりましした」など送迎の際に感謝の気持ちを伝えられることも少なくありません。
行事のたびに子どもの成長の喜びを保護者と共感し合うこともあるでしょう。
保育士
社会貢献度が高い
保育士が子どもを預かることは保護者のサポートだけになるではなく、社会全体の労働力を確保できることに繋がります。
例えば買い物をするときにレジをしてくれる人がいるのは、その方の子どもが保育園に通えているからかもしれません。
少子高齢化社会で労働人口の減少により今後はますます共働き世帯が増加していくので、保育士はさらなる需要が見込まれるでしょう。
保育士
反対に大変なことや苦労は?
保育士はとても大きなやりがいのある仕事である反面、大変なことも多々あります。
ここでは保育士の仕事ならではの大変なことや苦労について紹介します。
命を預かる責任が重い
子どもの命を預かっているという責任が重く大変だと感じてしまうこともあるでしょう。
保育士は1人で複数人をみないといけないので、怪我をしないように見守りながら一人一人の体調のケアをし、クラス全体をまとめて保育を進めていく日々は目がいくつあっても足りません。
最近は地震など災害も多いので、何があっても子どもの安全を確保しなければならないといった責任も重くのしかかります。
体力勝負&感情労働
子どもはとても元気なので、毎日一緒に遊ばないといけない保育士は体力が必須です。
10キロ以上の子どもを抱っこしたり、鉄棒や平均台など重たい運動用具を運んだりと力仕事も多くあります。
また保育士は感情労働でもあり、常に明るく笑顔でいることが求められます。
先輩に怒られた時やプライベートで辛いことがあった時でも、子どもや保護者の前では常に元気に振る舞わないといけません。
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給料が低く、休みが取りにくい
保育士の給料は全職種の平均よりも低く、仕事内容に見合ってないと感じている方もいます。
また人手不足の職場が多く、休みを自由に取りにくいといった面もあります。
しかし昨今の保育士不足を鑑みて政府は保育士の処遇改善を進めており、実際に保育士の平均年収は毎年上昇しています。
休日についても2019年より働き方改革の一環として、全ての企業において年次有給休暇を最低5日は取得させる義務が生じました。
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保育士の処遇改善についてさらに詳しく知りたい方はこちらを参考にしてみてください。
給料アップが叶う!?保育士の処遇改善加算をわかりやすく解説!保育士になるには
保育士として働くには国家資格である保育士資格が必要です。
保育士資格の取得方法を2つ紹介します。
養成学校を卒業する
保育士資格を取得する一つ目の方法は、保育士の養成学校を卒業することです。
高校卒業後に指定保育士養成施設である大学、短大、専修大学などに進学し、所定の単位を取得して卒業することで保育士資格を取得できます。
卒業すれば誰でも資格を取得できるのでスムーズかつ確実な方法ではありますが、通学のための時間やまとまった学費が必要になります。
保育士試験に合格する
二つ目の方法は保育士試験に合格することです。
通信講座や独学で勉強して試験を受けるだけなので、社会人や主婦の方など時間やお金をあまりかけずに資格を取得したい方におすすめです。
試験内容は筆記試験と実技試験で構成されており、毎年各都道府県で春と秋の年2回実施されています。
合格率は約20%前後とやや低めになっていますが、合格科目は3年間有効なので数年かけて資格を取得する方も大勢います。
保育士試験についてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にしてみてください。
【2022年最新版】保育士試験の内容は?日程や受験資格、合格率や勉強法まで詳しく解説します
資格がなくても働ける?
保育士が不足していることもあり、「保育補助」として資格がない方でも採用している園もあります。
あくまで補助なので保育準備の手伝いや保育室の掃除、給食の配膳や布団敷きなど保育士のサポートに回る業務が中心になります。
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保育士は子どもの育ちを支えるやりがいのある仕事
保育士の業務は多岐にわたり、1日のスケジュールを見ても常に忙しく過ごしていることがわかりました。
確かに大変な面もありますが、子どもの笑顔や成長を間近で見られるといった何物にも代えがたい大きなやりがいがあります。
待遇面ではあまり良い話を聞かない保育士ですが、年々労働環境は改善されてきているので今後はさらに働きやすくなることが期待できるでしょう。
保育士は子どもの保育や保護者のサポートをするだけでなく、社会全体を支えている仕事でもあります。
社会へ大きく貢献している保育士の仕事に誇りを持って働きましょう!