保育が多様化してきたことにより、保育士の受ける研修の種類も増えてきています。
時代の移り変わるスピードが早く、保育士に求められるものも多様化している今、保育士は働きながら知識をアップデートしていく必要があります。
保育士として働いてる方の中にも「スキルアップしたい」「もっと専門的に勉強したい」と感じている方も多いのではないでしょうか。
保育研修は、全国で多く開催されています。
この記事では保育士の研修について基本的な情報や研修の種類、キャリアアップ研修について解説します。
保育士の研修とは?
保育士をしていると、子どもや保護者の支援でつまずいたり、運動会や発表会の出し物のアイデアに行き詰まったりすることがあると思います。
そんな時は保育研修に参加して知識や技術を学んでみることがおすすめです。
でも、保育研修を受けたいと思っていても具体的にどんなものなのか知らない方もいるでしょう。
ここでは、保育士が参加できる研修についての基本情報を解説します。
保育研修を受ける意味
保育研修を受ける一番のメリットは、保育のスキルアップを図れるところにあります。
具体的には、
- 障がい児の支援や保護者の対応について専門的な知識を得ることで、より適切な保育を行えるようになる。
- ワークショップ型の研修に参加することで新しい保育のネタを仕入れることができる。
など、より専門性を深めた保育を行えるようになります。
また、同じ園で働き続けているとどうしても偏った保育になりがちです。
そんな時、保育研修を受けることでいつもとは違った視点から自分の保育を考え直すきっかけになるでしょう。
保育士
保育研修はどこが主催しているの?
保育研修を行っている団体は多岐に渡ります。
例えば保育士のキャリアアップ研修は厚生労働省が主体となって各自治体で行われています。
また、全国保育士会が行う研修では全国から保育士が集まり、研究発表を行うなど保育の専門性向上を図るための研修を行っています。
他にも民間団体が行う研修や、自治体内の園で順番に保育を公開しあってお互いに意見を出し合い、勉強する研修もあるでしょう。
このように保育研修は多くの主催者によって行われているので、まんべんなく様々な研修に参加することで多くの知識を得ることができます。
保育研修はいつ行われる?オンラインもOK?
保育研修は年間を通して行われていますが、主に行事などが少ない時期に開催されています。
例えば、新年度が落ち着く5月~6月や夏休みで登園が少なくなる8月などです。
日程に関しては多くは土曜日の午後からや平日の18時以降など、忙しい保育士が参加しやすい時間帯に行われています。
平日の日中に行われるものもあるので、そのような研修に参加する場合は園の中でうまく人手を調整する必要があります。
また昨今ではオンラインで参加できる研修も増えています。
事前にwebで申し込みをし、zoomなどのライブ配信で研修を受けることができます。
保育士
無料?有料?保育研修の参加費
保育研修の参加費は研修によって異なります。
園の代表として参加するものはほぼ無料で、休日や夜間の場合は時間外手当が支給されることもあります。
自主的に参加する場合も、無料で開催されているものを探せば初めてでも参加しやすいですね。
有名な先生や体操のお兄さんなど著名な方が講師を勤めるものは参加費が必要なものもあります。
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参加時の注意点
研修に参加する時は、研修内容に合わせて服装を選ぶようにしましょう。
講義を座って聞く形の研修の場合はスーツ、もしくはオフィスカジュアルが無難です。
体操など実技を伴う研修の場合はジャージやスキニーなど動きやすい服装を選びます。
社会人としてTPOをわきまえた服装で参加するようにすることが大切です。
また、普段行き慣れていない場所で開催される場合は事前に交通手段と経路を確認し、遅刻しないように注意しましょう。
代わりの保育士へ子どもの様子や保護者への連絡事項などの伝達を漏れなく行いましょう。
もっと学びたい!スキルアアップしたい保育士に人気の研修は?
ここまで、保育士の研修について基本的な情報を見てきました。
では実際に保育研修にはどんなものがあるのでしょうか。
ここではスキルアップしたいと考えている保育士に人気の研修をいくつか紹介します。
記事を参考に、自分はどんな研修を受けてみたいか考えてみてくださいね。
障がい児支援
保育園は発達障がいを持った子どもたちも利用しています。
特に低年齢児では気になるところがあってもまだはっきりと診断ができないので、家庭と園で発達を見守っていく必要がある場合も多くあります。
保育士の資格を取る際には発達障がいについて学びますが、実際に現場に出て関わってみるとさらに知識が必要になったり、具体的な支援方法を知りたくなったりするでしょう。
発達障がい児についての研修では、発達障がいの子どもへの支援についてや保護者への支援について学ぶことができます。
特に保護者への対応を難しいと感じる保育士は多いので、少しでも研修で学んでおくといざというときに生かすことができるでしょう。
コンサルタント
食育
食は子どもの健康や成長に直接関わってくるもので、人生を豊かに過ごすために必要不可欠な要素です。
特に乳児から幼児にかけての食の体験は非常に大切なものとして、近年は食育が重要視されています。
日々の給食指導で、偏食の激しい子、食の細い子など様々な子どもの対応をしている保育士は「これで良いのか」「自分の対応で合っているのかな」など不安に思うことも多いでしょう。
また、食物アレルギーを持つ子どもが増えてきており、食物アレルギーの知識やアレルギー児への対応も必要です。
特にアナフィラキシーショック時のエピペンの使用法などは学んでおくと安心です。
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保護者対応
保育士は保護者と共に子どもの成長を支え、見守っていく立場にあります。
核家族が増えたことにより、周囲に育児の経験者がいない中で子育てをしないといけない保護者も多く、園は悩みを気軽に相談できる場所であれることが理想です。
しかし様々な年齢、職業、価値観の保護者一人ひとりと上手く関係を作っていくことは難しく、保護者対応が保育士の頭を悩ませる要素となっていることも確かです。
保護者対応の研修ではどうすれば保護者に信頼してもらえるかやクレームを受けたときの適切な対応方法について学ぶことができます。
また、悩みを相談された時に必要であれば関係機関へ繋いで多方面から支援できるようにすることも大切なので、そういった知識を学ぶこともできます。
保護者対応について改めてしっかりと学ぶことで保育士としてのスキルアップに繋がるでしょう。
乳児保育
近年では0、1、2歳児の保育園の利用が増えています。
年齢が低いほど月齢差や発達の個人差が大きく、より専門的な知識が必要になってきます。
乳児保育の研修では、遊びだけでなく食事や排泄など身辺自立の支援についても学ぶことができます。
また、保育室の様子や保育士の動きを映像などで実際に見ながら議論をするなど、子どもが毎日安心して過ごすことができる環境づくりについて学んだりもます。
さらに、特に0歳児では乳幼児突然死症候群(SIDS)に注意が必要です。
研修では具体的な事例について学べることができるので、園に戻った後は他の保育士にも七気を共有して、園全体で事故を防ぐ努力をしていくことが大切です。
リトミック&お遊戯&体操
中学校でダンスの授業が必須になったこともあり、保護者の関心も高まっている分野です。
リトミックをやってみたいと思っていても、どうやって保育に取り入れれば良いのかわからない、やっているけどこれ良いのか悩んでいる方もいると思います。
研修に参加することで、リトミックの意味から実践方法まで学ぶことができます。
また、保育園では運動会や発表会などでお遊戯や体操を発表する機会があります。
流行りのアイドルやアーティスト音楽を取り入れることも多いですが、実際の動きは子どもにはまだ難しかったりもします。
研修では子どもが踊れるような振付やアレンジを教えてもらえたり、考えるきっかけを得られたりもするでしょう。
コンサルタント
絵本の読み聞かせ
保育園では0歳児クラスから5歳児クラスまで日常的に絵本の読み聞かせが行われています。
幼いころから美しい絵と言葉に触れることで情操教育や言葉の発達に繋がります。
しかし、絵本の選び方がわからなかったり読み方で悩んでいたりする方もいるのではないでしょうか。
季節や年齢だけでなく、クラスの子どもたちの様子に合った絵本を選ぶには絵本をたくさん知っている必要があります。
研修では今まで読んだことのない絵本を知れたり、子どもたちが集中して聞いてくれる読み方を実演で教えてもらえたりします。
読み聞かせの研修を受講することで、いつもの絵本の時間がより充実したものになることでしょう。
ストレス対策
保育士の仕事はとてもハードなので、ストレスが溜まっている方も多いでしょう。
そんなストレスが溜まっている保育士の方に向けてメンタルヘルスの研修も行われています。
そういった研修ではストレスを溜めにくくするために考え方の癖を変えるといったトレーニングを教えてもらえたり、アンガーマネジメントについての講義を聞けたりします。
日々の仕事のストレスを少しでも軽減させられるようになる研修は、一回参加してみる価値があるのではないでしょうか。
コンサルタント
給料アップも!保育士のキャリアアップ研修とは?
ここまで、保育士がスキルアップできる研修について紹介してきました。
保育士向けに、様々な種類の研修が開催されているようですね。
近年では指定された研修を受けることでキャリアアップが図れるような制度ができています。
キャリアアップすることで役職に応じた手当が支給されるので給料アップも可能になります。
ここでは、保育士のキャリアアップ制度、処遇改善等加算Ⅱについて紹介します。
処遇改善等加算Ⅱとは
今まで保育士の役職は「園長」「主任」しかないため、キャリアアップしにくい環境でした。
役職が少ないことは保育士の低賃金の原因の一つにもなっています。
そこで厚生労働省は処遇改善加算Ⅱを制定し、「副主任保育士」「専門リーダー」「分野別リーダー」という職務新たな役職が設けられました。
それぞれの役職には月額5000円~4万円の処遇改善手当が定められています。
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処遇改善Ⅱ対象の役職になるには?
まずは、それぞれの役職につくための条件を紹介します。
役職 | 手当 | 条件 |
副主任保育士 | 4万円 | ・経験年数概ね7年以上 ・ 職務分野別リーダーを経験 ・マネジメント+3つ以上の分野 の研修を修了 ・ 副主任保育士としての発令 |
専門リーダー | 4万円 | ・ 経験年数概ね7年以上 ・職務分野別リーダーを経験 ・4つ以上の分野の研修を修了 ・専門リーダーとしての発令 |
職務分野別リーダー | 5000円 | ・経験年数概ね3年以上 ・担当する職務分野の研修を修了 ・修了した研修分野に係る職務分野別リーダーとしての発令 |
一般保育士からまずは職務分野別リーダー、そこから専門リーダーや副主任保育士へキャリアアップしていくイメージです。
表中に出てくる研修の内容について、次の項で解説します。
キャリアアップ研修の内容は?
キャリアアップ研修の研修分野と内容について紹介します。
研修分野 | 内容 |
乳児保育 | 乳児保育の意義や環境、適切な関わり方など |
幼児保育 | 幼児保育の意義や環境、発達に応じた保育や小学校との接続など |
障がい児保育 | 障がいの理解や発達の援助、家庭及び関係機関との連携など |
食育・アレルギー | 栄養に関する基礎知識やアレルギー疾患の理解、保育所における食事の提供ガイドラインなど |
保健衛生・安全対策 | 事故防止及び健康安全管理や保育所における感染症対策ガイドラインなど |
保護者支援・子育て支援 | 保護者支援・子育て支援の意義や虐待予防、関係機関との連携、地域資源の活用など |
保育実践 | 保育における環境構成をはじめ、身体を使った遊びや言葉・音楽を使った遊びなど |
マネジメント | マネジメントの理解やリーダーシップ、組織目標の設定、人材育成など |
キャリアアップ研修は都道府県などの自治体や大学などで実施されます。
1分野15時間以上と決められており、レポート提出などで知識や技能が定着していると認められれば修了証が交付されます。
一度修了した分野は退職後も全国で有効なので、転職の際のアピールポイントにもなるでしょう。
研修を修了していても必ずキャリアアップの対象になれるとは限らないので注意しましょう。
参考:https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/administer/setsumeikai/h300820/pdf/s1-1.pdf (平成30 年度子ども・子育て支援新制度 市町村向けセミナー資料 内閣府 子ども・子育て本部)
スキルアップを目指し、自分に合った研修に参加しよう!
保育士の研修について紹介してきました。
保育研修は様々な分野のものが開催されており、受講することで専門知識を深めることができます。
「もっと知識を身につけたい!」「スキルアップしたい」と感じている方は、自分に合った内容の研修を選んで参加してみましょう。
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理想とする保育ができるよう、研修を通して専門性を高めていきましょう!