保育実習の終わりが近づくにつれて、お礼状について頭を悩ます保育学生さんも多いのではないでしょうか?
保育実習後は、お世話になった感謝の気持ちを込めてお礼状を出すことがおすすめです。
しかしお礼状には様々なマナーが存在するので、いざ書いてみようと思ってもどうすれば良いかわからない方も多いのではないでしょうか。
この記事では保育実習後に出すお礼状の基本的な知識や注意点、書き方や出し方について詳しく解説します。
具体的な例文も紹介するので、お礼状作成の参考にしてみてください。
保育実習後に出すお礼状とは
お礼状とは感謝の気持ちを伝える手紙のことです。
保育実習では実際に保育の現場に入って勉強させてもらいますよね。
担当の保育士さんは普段の業務にプラスして学生の指導を行ってくれています。
忙しい合間を縫っての指導への感謝を伝えるのが保育実習後に出すお礼状です。
ここでは保育実習後に出すお礼状についての基本的な知識を解説していきます。
お礼状は必ず出すべき?
学校によっては実習後のお礼状を必須としているところもあると思います。
もし特に学校から何も言われていない場合、お礼状はどうすれば良いのでしょうか。
答えは「なるべく礼儀として送る」です。
お礼状は実習の指導に対する感謝の気持ちを表わすものです。
学校からの指示がなくとも礼儀として送るほうが良いでしょう。
コンサルタント
いつまでに出す?遅れた時の対応
お礼状はなるべく早く出すのがマナーです。
実習が終わったらできるだけすぐに出しましょう。
郵送であれば実習最終日の翌日~3日以内に投函し、遅くとも実習終了後10日以内には届くようにしましょう。
何か事情があって遅れてしまった時は、遅れたことをお詫びする一言を添えて出すようにしましょう。
遅れてしまったから出さないより、遅れてでも出す方が失礼になりません。
コンサルタント
お礼状の宛名は誰にする?
お礼状は園長先生宛てに書くことが基本です。
私立園の場合は法人の担当者宛てに書いても良いでしょう。
実習指導をしてくれるのは担当の保育士ですが、そもそも実習生を受け入れてくれたのは保育園です。
なので、保育士の個人宛てではなく園の代表者宛てに書くようにしましょう。
子どもへも書いて良い?
保育実習で担当したクラスの子どもたちへお礼状を書きたいと思う学生もいると思います。
4、5歳児だと文字を読める子もいるので、平仮名の大きな字で書いて送ると、子どもの前で読んでもらった後、保育室に貼りだしてもらえるかもしれません。
手紙の中で個人名を出すことは避け、クラス全体への感謝の気持ちを簡単な言葉で書くようにしましょう。
ただ、お礼状だとどうしても期間が空いてしまいます。
子どもの前で手紙を読んだり手作りのプレゼントを渡したりして、最終日に直接感謝の気持ちを伝える方法もおすすめです。
お礼状の注意点
ここまで保育実習後に出すお礼状の基本的な知識について解説してきました。
お礼状のような正式な手紙には押さえておかなければならないマナーがあります。
実際に書き始める前にお礼状の注意点について頭にいれておきましょう。
ここでは「封筒、便箋の選び方」「筆記用具は何を使う?」「書き間違えたときはどうする?」の3つの項目に分けて解説します。
封筒、便箋の選び方
お礼状を入れる封筒は、白無地で長形4号サイズのものを準備しましょう。
茶封筒は事務的な用途に用いることが一般的なので、改まった手紙を送るときには使用しません。
便箋は、白無地でB5サイズの縦書きのものを準備しましょう。
縦書きの罫線の入っているものが書きやすいのでおすすめです。
筆記用具は何を使う?
お礼状は万年筆や毛筆、黒のインクペンで書くことがマナーです。
ボールペンは事務用品なので、目上の人に書くお礼状では避けましょう。
適切な筆記用具を持っていない方は、文房具屋さんなどで手軽に買うことができるのでこの機会に揃えても良いですね。
コンサルタント
書き間違えたときはどうする?
書き間違えた時は修正テープなどは使用しません。
初めから書き直しましょう。
目上の人に出す手紙なので、見苦しくならないようにすることが大切です。
コンサルタント
お礼状の書き方
注意点を確認できたら、実際にお礼状を書いていきましょう。
お礼状などの正式な手紙の場合、ある程度構成が決まっています。
ここではお礼状の基本構成を詳しくご紹介します。
お礼状の構成
基本的な手紙の構成は前文、主文、末文、後付けです。
それぞれに書くことがある程度決められているので、一つずつ解説していきます。
前文
前文は、頭語、時候の挨拶、安否の挨拶から成っています。
お礼状の場合は前文の最後にお礼の挨拶を書きましょう。
頭語
手紙の最初にくる「こんにちは」にあたる挨拶で、結語とセットで使います。
一般的には「拝啓」が結語の「敬具」とセットで使われることが多いです。
時候の挨拶
時候の挨拶とは、季節や天候に合わせた表現を用いた文章で、頭語の後に入れます。
お礼状を出す時期に合わせて書くようにしましょう。
以下、1月から12月までの例文を載せますので参考にしてみてください。
- 1月:初春の候
厳しい寒さが続いていますが - 2月:立春の候
春の陽気が待ち遠しい今日この頃 - 3月 早春の候
ようやく春めいてまいりましたが - 4月 春暖の候
うららかな春の日差しが心地よい今日この頃 - 5月 晩春の候
若葉萌える好季節となりましたが - 6月 入梅の候
梅雨明けが待ち遠しい今日この頃 - 7月 盛夏の候
本格的な夏を迎えましたが - 8月 残暑の候
厳しい暑さが続いておりますが - 9月 初秋の候
秋風が心地よい時節となりましたが - 10月 秋涼の候
さわやかな秋晴れの続く今日この頃 - 11月 晩秋の候
肌寒い日が続きますが - 12月 寒冷の候
寒さも本格的になってきましたが
安否の挨拶
「お元気ですか」にあたる文章で、相手の安否を尋ねる言葉です。
以下、例文を参考にしてみてください。
- 皆様にはその後、お変わりなくお過ごしのことと存じます。
- 貴園におかれましてはますますご清祥のこととお喜び申し上げます。
お礼の挨拶
保育実習のお礼の言葉をここで述べます。
忙しい中、指導していただいたことへの感謝の気持ちを簡潔にまとめて書きましょう。
主文
主文は起語と本文から成っています。
本文では具体的な感謝の気持ちを伝えるようにしましょう。
起語
起語とは「さて」「先日は」などの、本文が唐突な書き出しにならないように繋ぎとして使う言葉です。
保育実習後のお礼状の場合、「実習では」などの言葉を置いてから本文に入ると自然な流れになるでしょう。
本文
お礼状のメインとなる箇所です。
保育実習で経験したことをエピソードを交えて書きましょう。
本文は決まり文句がないので少し難しいですが、実習を通して経験したことや学んだこと、感じたこと、感謝の気持ちを自分の言葉で素直に表現しましょう。
文章の上手い下手よりも、誠意をもって書くことが大切です。
具体的なエピソードを用いることで、気持ちがより伝わりやすくなります。
末文
末文は締めの挨拶と結語から成っています。
改めて感謝の気持ちを述べ、綺麗にまとめるようにしましょう
締めの挨拶
手紙を締めくくる挨拶です。
改めて感謝の気持ちを述べたあと、相手の今後の健康や繁栄を祈る文章を書きます。
締めの挨拶としてよく使われる例文を紹介します。
- 末筆ながら、皆様のご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます。
- 貴園の更なるご発展を心よりお祈り申し上げます。
結語
手紙の最後にくる「さようなら」にあたる挨拶で、頭語とセットで使われます。
一般的には「敬具」が頭語の「拝啓」とセットで使われることが多いです。
後付け
後付けは日付、署名、宛名から成ります。
日付は、漢数字で年号を含めて書きます。
署名は、改行して下段に、学校名、学部学科名、自分の名前をフルネームで書きます。
宛名は、改行して上段に保育園名、宛名を書きます。宛名には必ず敬称を付け、本文よりも大きな字で書くようにしましょう。
例文
一通りの基本構成を紹介しました。
しかし、実際に書こうと思ってもなかなか筆が進まない方も多いと思います。
ここでは、すぐに参考にできるようなお礼状の例文を園長先生宛てと法人の担当者宛ての2種類に分けて紹介します。
さわやかな秋晴れの続く今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。
この度はお忙しい中、十日間に渡り保育実習の指導をしていただき、誠にありがとうございました。
実習では、一人一人の子どもと丁寧に関わりながらもクラス全体を見て保育を進めていくことの難しさを痛感いたしました。
任せていただいた部分実習ではなかなか思うように保育を進めることができず悩んでいましたが、振り返りの際に具体的なアドバイスしていただいたことで、子どもへの関わり方を少しずつ工夫しながら保育を行えるようになりました。
机上の勉学だけでは知りえなかった保育の難しさを感じることができました。一人前の保育士になれるよう、より精進していきたいと思います。
改めて、貴重な学びの機会をいただき、本当にありがとうございました。
末筆ながら、皆様のご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます。
敬具
令和◯年◯月◯日
◯◯大学◯◯学部◯◯学科 保育 花子
◯◯保育園 園長◯◯ ◯◯様
立春の候、貴園におかれましてはますますご清祥のこととお喜び申し上げます。
先日はお忙しい中、実習を受け入れてくださり誠にありがとうございました。
実習中は至らない点ばかりでしたが、先生方から温かいご指導をいただき、保育士として働くイメージを具体的に持つことができました。
子どもたちへの声かけの仕方やどこまで援助するべきかなど机上では知りえない学びを得ることができたことは今後の大きな糧になると思います。
この実習で学んだことを生かし、立派な保育士になれるよう精進していきます。
改めて、貴重な学びの機会をいただけたことをとても感謝しております。
末筆ながら、貴園の更なるご発展を心よりお祈り申し上げます。
敬具
令和◯年◯月◯日
◯◯大学◯◯学部◯◯学科 保育 花子
株式会社◯◯ ◯◯保育園
人事部人事担当 ◯◯ ◯◯様
封筒の書き方
封筒に記入する際は、雨でにじんでしまわないように水性のペンは避けましょう。
また、便箋と同じく修正テープは使用しません。
間違えたときは初めから書き直しましょう。
以下、書き方の例を図にしてみたので参考にしてみてください。
表面
表面には保育園の住所、保育園名と園長先生の名前を記入します。
園長は肩書なので、「園長 ○○ ○○ 様」と書きます。
全体的に文字と余白のバランスを考えて書くことを意識してください。
裏面
裏面には差出人の住所、名前、学校学部、投函日を記入します。
日付は便箋の後付けに記入した日付と合わせましょう。
お礼状の出し方
お礼状が仕上がったら、次は出し方です。
お礼状を出す際のマナーにも注意し、最後まで丁寧に仕上げていきましょう。
ここでは「手渡しでも大丈夫?」と「切手の貼り方選び方」の2点に分けて解説します。
手渡しでも大丈夫?
お礼状で大切なことはなるべく早く相手に届けることです。
なので、実習日誌の提出などで近日中に園へ行く用事がある場合は、その時にお礼状を手渡ししても構いません。
手渡しの場合、封筒の相手の住所の記入は必要ありませんが、返信してくれる可能性があるので裏面の自分の住所は忘れずに記入します。
切手の貼り方選び方
切手は封筒の左上に貼ります。
すっきりした見た目で出せるよう、切手は一枚で済むように用意しましょう。
また、キャラクターのものや派手な柄のものはお礼状には不向きです。
季節の絵や風景など、落ち着いた柄のものを選びましょう。
実習指導への感謝の気持ちを込めてお礼状を作成しよう
保育実習後に出すお礼状について解説してきました。
お礼状は、前文、主文、末文、後付けからなる基本構成や挨拶の決まり文句など、決められた形式を守って書くようにしましょう。
また、お礼状は送る時期を逃さないことが重要です。
実習が終わってほっと一息つきたいところですが、忙しい業務の合間を縫って指導してくださったことへの感謝はきちんと伝えるようにしましょう。
ここで解説したマナーを参考に、気持ちを込めたお礼状を作成してください。
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