保育士の妊娠で気を付けるポイントは?タイミングや報告の仕方、今後の働き方について解説します

保育士の妊娠で気を付けるポイントは?タイミングや報告の仕方、今後の働き方について解説します

「子どもが好きだから」という理由で保育士になった方は多いのではないでしょうか。

いつかは自分の子どもを持ちたいと考えている方も多いかと思います。

しかし保育士の仕事はかなりハードな上、年中慢性的な人手不足に陥っているのでなかなか妊娠に踏み切れない方もいるのが現実です。

数年前には園の中で妊娠する順番が決められていたり、その順番を破って妊娠してしまい謝罪を求められたりと不穏なニュースを目にすることもありました。

本来おめでたいことであるはずの妊娠が原因で、職場でのトラブルを引き起こしたくないですよね。

この記事では、保育士の妊娠で気を付けたい職場への配慮のポイントについて解説していきます。

また、妊娠中の仕事上の注意点や出産後の働き方についても解説します。

保育士が職場に迷惑をかけずに妊娠するには

保育士として働いている方の中にはそろそろ妊娠したいと考えているけれど、職場へ迷惑をかけてしまう不安でなかなか妊娠に踏み切れない方もいると思います。

実際、妊娠出産するには必ず仕事を休まないといけない時期があり、途中経過も何が起こるかわからないので「全く」職場に迷惑をかけずに妊娠することは難しいです。

しかし、職場にかける迷惑をなるべく最小限にする工夫は可能です。

できる限りの工夫や誠意のある対応をすることで仕事と上手く折り合いをつけることができます。

ここでは、職場に迷惑をかけずに妊娠するためにどんな工夫ができるかについて、解説していきます。

年長の担任は妊娠できない?おすすめのタイミング

来年度、年長クラスに持ち上がるかもしれません…。しばらく妊娠は待った方が良いですか?

保育士

コンサルタント

年長クラスの担任は特に悩みますよね。妊娠するタイミングの考え方について説明します。

保育士は責任のある仕事ですが、その中でも年長児のクラス担任というのは最も責任重大です。

特に年度末は、園生活の集大成である発表会や卒園式、小学校への引き継ぎなど年長児の担任ならでは業務が目白押しです。

そんなさなか、「産休に入ります。」とは言いにくいですよね。

せっかく担任を持った子どもたちを最後まで見届けたい気持ちもあると思います。

やはり、最も無難なのは年長児の担任の間は妊娠を控えることです。

しかし、年齢や体質を考慮してなるべく早く妊娠したいと考えている方もいると思います。

労働基準法で定められている産前休業は出産予定日の6週間前からです。

なので、年度末まで最低限出勤できるように予定日から逆算してタイミングを図れば、受け持ったクラスの子どもの卒園を見届けることができます。

年長クラス以外でも特に一人担任をしているとなかなか妊娠し辛いと感じてしまいますが、同じように逆算してタイミングを考えてみるのも良いでしょう。

ただ、つわりなど体調が悪くなりやすい時期は妊娠初期に多いということは念頭に置いておきましょう。

MEMO
子どもは授かりものなので、タイミングを必死で考えてもその通りにはいかないことも多々あります。

もし予定外の妊娠が判明した場合であっても速やかに職場に報告し、誠意を持った対応をしましょう。

前もって園長など上司に妊娠希望を伝えておくのも手

そろそろ子どもが欲しいと考えているけどまだそこまで焦ってはいない場合、前もって根回ししておくのも手です。

新年度のクラス編成が決まる前に、

  • そろそろ妊娠を考えているので来年度はできれば年長の担任は外してほしい
  • 妊娠する可能性があるので複数担任のクラスを受け持ちたい

など希望を園長など上司に伝えておきましょう。

希望が通るかどうかはそれぞれの園の状況によって違うかもしれませんが、もし通った場合には逆算してタイミングを計算するプレッシャーから逃れて妊活を始められます。

妊娠できるかどうかはストレスも大いに関係してくるので、いつ妊娠しても大丈夫という安心感を得ておくことは今後の妊活においてもプラスです。

メリット
前もって伝えておくことで妊娠判明後の報告の際も急な報告にならないので園側も余裕を持って受け止めてくれるというメリットもあります。

妊娠がわかったら?気を付けたいポイント

めでたく妊娠が判明したとき、保育士の職場ではどのようなことに気を付ければ良いのでしょうか。

自分の体調面には十分に注意しながらも、大切な時期だからこそ職場への配慮は欠かせません。

ここでの対応を間違えると、残念ながら職場から迷惑だと思われてしまう確率も上がってしまいます。

安心して勤務を続けられるようにするためには、職場への配慮のポイントを押さえることが大切です。

ここでは妊娠がわかったときにまずは誰に報告すれば良いのか、報告するタイミング、保護者や子どもへの対応の方法の3点に分けて解説します。

報告は園長など上司からが鉄則

妊娠の報告は園長などの上司からが鉄則です。

なぜなら、いくら仲の良い先輩や同期がいたとしても上司より先に伝えてしまうと、人づてに上司の耳に入ってしまう可能性が出てきてしまうからです。

妊娠報告のような重要な報告はまずは上司に自分の口から伝えるようにしましょう。

自分の口から報告することで情報を的確に伝えられ、誠意も伝わります。

コンサルタント

その場で妊娠中の業務をどうするかについても相談することができますね!

安定期を待ってから?妊娠報告のタイミング

よく芸能人などは安定期に入ったと同時に妊娠報告をしていますよね。

それは妊娠初期はまだまだ不安定で流産の可能性も高いので、安定期に入ることを一つの目安として考えているからだと思われます。

しかし、保育士が初めて妊娠の報告をするのに安定期を過ぎてからでは少し遅すぎると考えられます。

安定期に入る前の妊娠初期は流産の可能性も高い上に、人によってつわりで仕事ができない状態になってしまうこともあるからです。

また、子どもを抱っこしたり走り回ったりと身体的負担の大きいので、妊娠後は今まで通りに働けなくなる可能性があります。

なので、妊娠が判明したら速やかに上司に報告しましょう。

そうすることで体調が悪くなったときにも休みを申請しやすく、保育中にダイナミックな遊びを控えていてもやる気がないと思われずに済みます。

職場全体への報告は安定期を待ってからでも良いですが、同じクラスを受け持っている先生には上司への報告後、早めに伝えておくと良いでしょう。

コンサルタント

妊娠中は体調不良での突発的な休みが増えたり、体育遊びやプールの指導を代わってもらわないといけなくなる可能性があります。

前もって報告しておくことでトラブルを防ぐことができますよ。

保護者や子どもへの対応

保護者や子どもへの報告はどのようにすれば良いでしょうか。

保護者や子どもへの対応に関しては独断で行うのではなく、園の方針に従うようにしましょう。

保護者へは、

  • 産休前に園だよりを通じて保護者へ報告する
  • 何かの行事の際に園長から報告をする

など園によって様々な報告に仕方が決められているかと思います。

子どもへの報告は年齢に合った言葉でわかりやすく伝えましょう。

コンサルタント

いずれも園長など上司に相談して、報告のタイミングや方法を決めると良いですね。

妊娠中の仕事はどうすれば良いの?

保育士の仕事は体力勝負です。

園庭で子どもたちと走り回わったり抱っこをしたり、時には子どもからの体当たりを受け止めることもあります。

しかし妊娠中は、自身の体とお腹にいる赤ちゃんのために激しい運動は控えるべきとされています。

妊娠中に体力仕事である保育士として働き続けるにはどのような点に注意が必要なのでしょうか。

ここでは3つの項目に分けて解説していきます。

特に妊娠初期は体調に注意

妊娠中に激しい運動ができないのはお腹が大きくなってからじゃないんですか?

保育士

コンサルタント

実は、妊娠中で一番注意が必要なのは妊娠初期なんです。

妊娠初期はまだ外見的な変化はほぼ見られませんが、流産の可能性が高く不安定な時期です。

なるべく重いものを持たないようにすること、全力で走るなどの激しい運動は控えることが大切です。

さらにこの時期にはつわりの症状が現れる方もいます。

つわりの症状には個人差はありますが、酷い場合は自力で水分を摂ることができず、入院しなければならなくなるほどです。

保育士は責任感が強い方が多いのでどうしても無理をしてしまう傾向にありますが、自分の体調としっかりと向き合って必要であれば休みを取ることも大切です。

休みますと言いにくい場合は母子手帳にある「母性健康管理指導事項連絡カード」を利用しましょう。

母性健康管理指導事項連絡カードとは
病院で安静が必要と認められた場合、主治医に必要事項を記入してもらって職場に提出します。

事業主は記載内容に従い、休業や勤務時間の短縮など何らかの措置を取ることとなっています。

参考:https://www.bosei-navi.mhlw.go.jp/renraku_card/(母子連絡カードについて)

感染症に気を付ける

妊娠中は免疫力が弱ると言われているため、感染症には十分注意しましょう。

保育園は多くの子どもたちが生活する場なので保育士は病気をもらいやすいです。

手洗いうがいなどできることからしっかり予防をしていきましょう。

感染症の中でも特に注意したいものが風疹です。

妊娠中、風疹に感染すると赤ちゃんが「先天性風疹症候群」という病気になる可能性があります。

かかったからといって必ず赤ちゃんに影響が出るとは限りませんが、特に妊娠20週までのリスクが高いので気をつけましょう。

周囲にサポートをお願いする

妊娠中に保育士として勤務するには周囲のサポートが必要不可欠です。

体調が悪い、お腹が張っている気がするなど少しの異常を我慢して見過ごしてしまうと思わぬことに繋がってしまうことがあります。

休みを取らせてもらったり、身体に負担がかかる業務は避けてもらったりなるべく周囲の力を借りて乗り切るようにしましょう。

ただ、サポートしてもらうのは仕方がないことですが「休んで当然」「気遣ってもらって当たり前」という態度は控えるようにしましょう。

本来ならば自分がするべき仕事を代わりにしてもらっているということを念頭に置き、周囲へ配慮を忘れないことが大切です。

例えば休み明けには上司や同僚に「ありがとうございました」とひと声かけるなど、誠意ある対応をすれば人間関係も円滑に進むことでしょう。

コンサルタント

常に「お互い様」という意識を持ち、もし別の機会に他の先生が何らかの都合で休みを取るときがあれば笑顔で対応できると良いですね。

保育士の産後の働き方

現在日本は共働き世帯が専業主婦世帯を追い抜き、年々増加しています。

保育士も一昔前は結婚や出産を機に退職することが多かったようですが、制度が整ってきたこともあり産後も仕事を続けられるようになりました。

しかし、産前と同じ仕事と乳幼児の育児との両立は簡単ではなく、出産を機に働き方を見直す方も多くいます。

ここでは、産後も同じ職場で働き続ける場合と出産を機に一旦退職する場合について解説していきます。

同じ職場で働き続けるには

同じ職場で働き続けるためには産休と育休を取得する必要があります。

国が定めている制度なので、もちろん保育士にも取得する権利があります。

産後も同じ職場で働き続けることができれば、仕事内容も人間関係もある程度慣れているので心理的な負担は比較的少ないでしょう。

キャリアを継続させることで、給料の面においても産前と同じ水準を保てますし、今後昇給していくことも可能です。

ここからは具体的に産休と育休について解説していきます。

産休について

産休とは産前・産後休業のことです。

出産予定日の6週間前(双子以上の場合は14週間前)から出産後の8週間後までの間、休みを取得できます。

労働基準法で定められている制度で、出産を迎える女性は誰でも取得できます。

休業中は加入している健康保険から賃金の2/3が出産手当金として支給されます。

ただし、休業中も給料が支払われ、出産手当金より多い場合は出産手当金は支給されません。

育休について

育休とは育児休業のことです。

1歳未満の子どもを養育するために休業できる制度で、子どもが1歳になる誕生日の前日まで取得することができます。

保育園に入れなかった場合は最長2歳まで継続することができます。

育休中には育児休業給付が支給されます。

原則、休業開始時の給料の1/2の給付金を、子どもが1歳になるまでの間受けとることができます。

ただ、育休は産休と違って取得できる条件が決められています。

その条件とは以下の通りです。

  • 同一の事業主に引き続き1年以上雇用されている
  • 子どもの1歳の誕生日以降も引き続き雇用されることが見込まれる
  • 子どもの2歳の誕生日の前々日までに労働機関の契約が満了しており、かつ、契約が更新されないことが明らかでない
  • 週の所定労働日数が週2日以下でない
参考:https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/dl/31.pdf (産休&育休 – 厚生労働省)

パートやアルバイトの保育士であっても上記の条件を満たしていれば、育休を取得することが可能です。

派遣保育士については下記の記事で説明しているので参考にしてみてください。

派遣保育士ってどうなの?気になる給料や仕事内容、派遣特有のよくある悩みをご紹介!派遣保育士ってどうなの?給料や仕事内容、よくある悩みやメリット・デメリットをご紹介!

一旦退職する選択肢も

出産を機に一旦退職する選択肢もあります。

産前と同じようにフルタイムで勤務しながら乳幼児の育児を行うことはかなりの気力と体力が必要です。

特に保育園に預けることができても小さい間はよく体調を崩すので、夫が協力的かどうか、助けてもらえる実家があるかどうかなど働き続けるためには周囲の環境も重要になってきます。

産後にフルタイム勤務と育児を両立させることが難しいと感じる場合、パートなど時間の融通の利く働き方に転職するのも手です。

子どもが小さい間は家庭で一緒に過ごし、幼稚園や小学校に上がって育児が落ち着いたら再就職するという方法もあります。

コンサルタント

自分のキャパシティーや周囲のサポートが受けられるかどうか、家庭の経済状況などを考えて産後の働き方を考えていきましょう。

再就職するときのポイント

再就職するときにはどんなことに気を付ければ良いでしょうか。

育児と両立できるように「時間の融通が効く」「休みを取りやすい」「残業がない」など産前とはまた別の視点での条件が出てくると思います。

子どもがいる場合、就職活動が難しくなる可能性はありますが、保育士としてのキャリアがあるなら同じ保育士の仕事を探すことがおすすめです。

人手不足の業界なので経験者であれば比較的就職しやすいです。

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妊娠はおめでたいこと!でも周囲への配慮を忘れずに

新しい命を授かることは本来とてもおめでたいことです。

しかし保育士をしていると、職場は人手不足な上、年単位で区切られる仕事なのでなかなか妊娠するタイミングが掴めないこともあると思われます。

妊娠しても安心して働き続けるためには、ポイントを押さえた誠実な対応が重要です。

特に妊娠を考えた時点から職場への影響を考えて動いていけばよりスムーズに進むでしょう。

ただ妊娠のタイミングを完璧にコントロールすることは不可能ですし、妊娠中も何が起こるかはわかりません。

気遣ってもらって当然ではなく、常に周囲への配慮は忘れないようにしましょう。