現在保育士不足は日本中で問題になっており、同時に保育士の給料の低さにも注目が集まっています。
現役保育士の中にももっと給料を上げてほしいと切実に感じている方は多いでしょう。
乳幼児期の子どもの成長を支える大切な職業にも関わらず、どうして保育士の給料は低いのでしょうか。
また保育士が給料を上げる方法はあるのでしょうか。
この記事では実際の保育士の平均年収を施設や都道府県別に紹介し、保育士の給料が低い理由や給料アップの方法についても詳しく解説します。
令和4年2月から保育士の給料が引き上げられると話題の政策、「保育士・幼稚園教諭等処遇改善臨時特例事業」についても紹介します。
保育士の平均年収と手取り額
実際の保育士の平均年収はいくらなのでしょうか。
厚生労働省の賃金構造基本統計調査を基に令和元年の保育士の平均年収を算出してみました。
年度 | きまって支給する現金給与額 | 年間賞与その他特別給与額 | 年収 |
令和元年度 | 244,500円 | 700,600円 | 3,634,600円 |
※年収は、きまって支給する現金給与額×12ヵ月分に年間賞与等を足して算出
令和元年度の保育士全体の平均年収は363.4万円です。
表内の額は全て所得税や社会保険料などの税金を引かれる前の総支給額なので、手取りの月収は約20万円前後になるでしょう。
今後給料は上がる?近年の推移
今後、保育士の給料は上がっていくのでしょうか。
賃金構造基本統計調査を基に過去3年分の保育士の年収の推移をまとめました。
年度 | きまって支給する現金給与額 | 年間賞与その他特別給与額 | 年収 |
令和元年度 | 244,500円 | 700,600円 | 3,634,600円 |
平成30年度 | 239,300円 | 707,700円 | 3,579,300円 |
平成29年度 | 229,900円 | 662,500円 | 3,421,300円 |
※年収は、きまって支給する現金給与額×12ヵ月分に年間賞与等を足して算出
保育士の給料は年々少しずつ上がってきており、平成29年度から令和元年度までの3年間で213,300円アップしています。
保育士の給料は年々改善傾向にあり、今後もさらなる伸びが期待できそうです。
給料の高いところは?勤務先や地域による差
保育士の平均年収について見てきましたが、実は同じ保育士でも勤務先の施設や都道府県によって年収は変わってきます。
ここでは保育士のなかでの給料の違いについて、私立公立別、施設形態別、都道府県別に紹介します。
私立公立別の平均年収
一般的な保育園には、法人や企業によって運営されている私立保育園と自治体によって運営されている公立保育園があります。
公立保育園と私立保育園の平均年収の違いをまとめました。
私立保育園の平均年収
給与月額(賞与込み) | 年収 | |
施設長 | 565,895 円 | 6,790,740円 |
主任保育士 | 422,966円 | 5,075,592円 |
保育士 | 301,823円 | 3,621,876円 |
※年収は給与月額(賞与込み)×12ヵ月分で算出
※常勤のみ
公立保育園の平均年収
給与月額(賞与込み) | 年収 | |
施設長 | 632,982円 | 7,595,784円 |
主任保育士 | 561,725円 | 6,740,700円 |
保育士 | 303,113円 | 3,637,356円 |
※年収は給与月額(賞与込み)×12ヵ月分で算出
※常勤のみ
一般的な保育士の平均年収は私立園が362.1万円、公立園が363.7万円と大きな違いは見られません。
しかし主任保育士では公立園のほうが約166.5万円高く、施設長も公立園の方が80.5万円高くなります。
コンサルタント
施設形態別の平均年収
保育士の活躍の場は保育園だけではありません。
幼稚園と保育園両方の機能を併せ持つ認定こども園や、少人数保育を行う家庭的保育事業や小規模保育事業などがあります。
ここではそれらの施設ごとの平均年収を見比べていきます。
認定こども園
認定こども園とは幼稚園と保育園の両方の良さを併せ持ち、幼児教育と保育を行う施設です。
保育教諭として勤務するため保育士資格と幼稚園教諭の資格が必要です。
認定こども園の年収をまとめました。
私立認定こども園の平均年収
給与月 額(賞与込み) | 年収 | |
園長 | 556,400円 | 6,676,800円 |
副園長 | 462,597円 | 5,551,164円 |
教頭 | 395,512円 | 4,746,144円 |
主幹保育教諭 | 375,965円 | 4,511,580円 |
指導保育教諭 | 336,739円 | 4,040,868円 |
保育教諭 | 279,954円 | 3,359,448円 |
※年収は給与月額(賞与込み)×12ヵ月分で算出
※常勤のみ
公立認定こども園の平均年収
給与月 額(賞与込み) | 年収 | |
園長 | 618,928円 | 7,427,136円 |
副園長 | 602,086円 | 7,225,032円 |
教頭 | 556,730円 | 6,680,760円 |
主幹保育教諭 | 514,214円 | 6,170,568円 |
指導保育教諭 | 455,717円 | 5,468,604円 |
保育教諭 | 287,181円 | 3,446,172円 |
※年収は給与月額(賞与込み)×12ヵ月分で算出
※常勤のみ
保育教諭の年収は私立が335.9万円、公立園が344.6万円でわずかに公立の方が高いですが、ほとんど大差はありません。
しかし指導保育教諭以上は私立より公立のほうが給料が高くなっています。
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家庭的保育事業
家庭的保育事業とは、3歳未満を対象に保育者の自宅など安全に配慮された保育室で行われる小規模の保育です。
市町村が行う研修を修了した家庭的保育者が実施します。
自治体によっては規定の研修を受講し、保育士と同等の知識や経験があると認定されれば家庭的保育者として働ける場合もあります。
家庭的保育者の平均年収をまとめました。
給与月額(賞与込み) | 年収 | |
家庭的保育者 | 358,988 円 | 4,307,856円 |
※年収は給与月額(賞与込み)×12ヵ月分で算出
※常勤のみ
家庭的保育事業はほとんどが個人事業主なので経営状況によって年収が変化します。
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小規模保育事業(A型、B型)
小規模保育事業は0歳~2歳児を対象とした定員6~19名の認可保育園です。
A型は職員全員が、B型は職員の半数以上が保育士資格が必須と決められています。
小規模保育事業のA型とB型の平均年収をまとめました。
小規模保育園A型の平均年収
給与月 額(賞与込み) | 年収 | |
管理者 | 342,861円 | 4,114,332円 |
主任保育士 | 303,289円 | 3,639,468円 |
保育士 | 268,755円 | 3,225,060円 |
※年収は給与月額(賞与込み)×12ヵ月分で算出
※常勤のみ
小規模保育園B型の平均年収
給与月 額(賞与込み) | 年収 | |
管理者 | 362,007円 | 4,344,084円 |
主任保育士 | 309,912円 | 3,718,944円 |
保育士 | 269,617円 | 3,235,404円 |
※年収は給与月額(賞与込み)×12ヵ月分で算出
※常勤のみ
小規模のため一般的な保育園に比べると年収は少し低めですが、A型とB型では大きな違いはありません。
小規模保育事業(C型)
小規模保育事業のC型は、家庭的保育者が保育を行う小規模の認可保育園です。
小規模保育事業のC型の平均年収をまとめました。
給与月 額(賞与込み) | 年収 | |
管理者 | 346,466円 | 4,157,592円 |
家庭的保育者 | 291,775円 | 3,501,300円 |
※年収は給与月額(賞与込み)×12ヵ月分で算出
※常勤のみ
小規模のためA型B型と同じく一般的な保育園よりは年収が低くなっています。
事業所内保育事業
事業所内保育事業とは企業が事業所の従業員の子どもに加えて、地域住民の保育を必要とする子どもにも保育を提供する保育事業です。
事業所内保育事業の平均年収をとめました。
事業所内保育事業(A型適用)の平均年収
給与月額(賞与込み) | 年収 | |
管理者 | 341,691円 | 4,100,292円 |
主任保育士 | 266,081円 | 3,192,972円 |
保育士 | 238,168円 | 2,858,016円 |
※年収は給与月額(賞与込み)×12ヵ月分で算出
※常勤のみ
事業所内保育事業(B型適用)の平均年収
給与月額(賞与込み) | 年収 | |
管理者 | 323,546円 | 3,882,552円 |
主任保育士 | 266,264円 | 3,195,168円 |
保育士 | 264,238円 | 3,170,856円 |
※年収は給与月額(賞与込み)×12ヵ月分で算出
※常勤のみ
事業所内保育所(20人以上)の平均年収
給与月額(賞与込み) | 年収 | |
管理者 | 352,212円 | 4,226,544円 |
主任保育士 | 355,918円 | 4,271,016円 |
保育士 | 269,782円 | 3,237,384円 |
※年収は給与月額(賞与込み)×12ヵ月分で算出
※常勤のみ
全体的に一般的な保育園に比べると年収は低くなります。
コンサルタント
都道府県別給料ランキング
保育士の給料は都道府県によっても変わってきます。
賃金構造基本統計調査のデータを基に、保育士の給料が高い都道府県を1位から10位までランキング形式にまとめました。
都道府県 | 年収 | |
1位 | 東京都 | 4,145,000円 |
2位 | 滋賀県 | 4,015,900円 |
3位 | 神奈川県 | 3,884,400円 |
4位 | 千葉県 | 3,875.100円 |
5位 | 福岡県 | 3,818,800円 |
6位 | 京都府 | 3,791,100円 |
7位 | 愛知県 | 3,764,800円 |
8位 | 広島県 | 3,759,500円 |
9位 | 兵庫県 | 3,743,000円 |
10位 | 長崎県 | 3,687,000円 |
※年収は、賃金構造基本統計調査のきまって支給する現金給与額×12ヵ月分に年間賞与等を足して算出
保育士の平均年収1位は東京都で414.5万円、2位は滋賀県で401.5万円、3位は神奈川県で388.4万円でした。
10位以内に入っている都道府県の特徴としては東京都や神奈川県、福岡県、愛知県など大都市圏が多いことが挙げられます。
大都市は待機児童数が多いので保育士不足の解消のため保育士の給料への補助を積極的に行っているところが多く、年収が高くなっていると考えられます。
保育士の給料が安い理由と安いと言われる理由
世間一般に保育士の給料は安いと言われています。
確かに保育士の退職理由や、資格があるのに現場に出ていない潜在保育士の理由として「給料の安さ」は大きな比重を占めています。
ここでは保育士の給料が安い理由と安いと言われる理由について解説します。
安いのは当たり前?保育士の仕事への偏見
テレビやネットで保育士不足や低賃金問題が取沙汰されることが増えたことで、保育士は大変な仕事だいう認識が世の中に広まりました。
しかし「保育士は誰でもできるから給料が安い」との意見を耳にすることもあります。
一昔前は専業主婦が多く乳幼児は家庭で過ごすことが一般的だったので「保育士は子守りをしているだけ」「母親ならみんなやっていること」といった偏見があるのでしょう。
また保育士は元から女性がメインの仕事だったため賃金が不当に押さえられてきたとも考えられます。
保育士の仕事は乳幼児期という大切な時期に関わる重要な仕事です。
ただ子守りをするだけでなく、子どもの発達を理解して専門的な視点で子どもの成長を支えています。
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仕事量と責任の重さに見合っていない
保育士の給料の安さには仕事量と責任の重さに見合ってないという問題もあります。
保育士の仕事は子どもを見るだけでなく、指導案やお便りの作成や保護者対応、行事の企画など多岐にわたります。
膨大な仕事量のためサービス残業や持ち帰り仕事をしていたり、なかなか休みが取れないといった現状です。
また子どもの命を預かるという責任重大な仕事でもあります。
怪我や事故がないように日々神経を尖らせて働き、膨大な仕事をこなしているのにその労働に見合った給料がもらえていないと感じている方は多いでしょう。
保育士の給与額が決められる仕組み
ではどうして保育士不足が問題になっている現在でも保育士の給料は安いままなのでしょうか。
そこには給料を決める仕組みが関係しています。
保育士の給料は公費負担と利用者の保育料で構成された公定価格に基づいて決められています。
保育園は営利企業ではないので国や自治体からの補助金と保育料で運営しないといけません。
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公務員保育士は給料表に沿って決められる
公立保育園の給与額が決められる仕組みは少し違います。
公立保育園に勤務する保育士は地方自治体に雇われた公務員なので、公務員の給料表によって給料や昇給が決められています。
自治体にもよりますが、私立保育園より昇給の幅が大きい傾向にあります。
他にも福利厚生なども全て公務員の制度に則って決められているので雇用の安定感はあるでしょう。
公務員保育士に興味のある方はこちらの記事も参考にしてみてください。
公務員保育士は本当に待遇が良いの?仕事内容、給料を私立と比較!採用試験の説明も保育士の給料を上げる方法
ここまで保育士の平均年収や保育士の給料が安い理由について見てきました。
保育士の給料は年々改善されてはきていますが、公定価格を基準に決められるためなかなか大幅なアップは難しいのが現状です。
しかし毎日大変な仕事をこなしているのだから少しでも給料が上がってほしいと感じている保育士の方は多いでしょう。
ここでは保育士が給料を上げるための方法について詳しく紹介します。
給料引き上げ政策「処遇改善加算」とは
保育士不足の問題を受けて、政府は平成25年より段階的に保育士の処遇改善加算の制度を設けました。
処遇改善加算には処遇改善加算Ⅰと処遇改善加算Ⅱがあります。
処遇改善加算Ⅰは保育士の賃金のベースアップを目的にした制度です。
「基礎分」「賃金改善要件分」「キャリアパス要件分」の3点で構成されてり、おそれぞれ規定の要件を満たすことで園に補助金が入り、保育士の賃金改善へと充てられます。
処遇改善加算Ⅱは保育士のキャリアアップを目的にした制度です。
規定の研修を修了することで副主任保育士、専門リーダー、職務分野別リーダーといった新たな役職につくことができるようになり、給料アップが見込めます。
実際に処遇改善加算が実施されてから保育士の給料は年々増加傾向にあります。
コンサルタント
処遇改善加算についてもっと詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にしてみてください。
給料アップが叶う!?保育士の処遇改善加算をわかりやすく解説!
給料が上がる資格とは?
保育士の給料アップに役立つ資格はあるのでしょうか。
園によっては専門的な資格があることで手当が出る場合もありますが、実際は資格を取ったからといって直接給料アップに繋がることは少ないのが現状です。
だからといって資格取得に意味がないというわけではありません。
例えば保育士に人気の絵本専門士やリトミック指導員などの資格を取得することで転職の際にアピールでき、より良い待遇の園で働くことができる可能性があります。
またチャイルドマインダーの資格を取得することで保育士の経験を活かしながら開業する道も開けます。
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給料アップを狙う転職方法
すぐに給料を上げたい場合は待遇の良い園へ転職することがおすすめです。
保育業界は常に人手不足なので、経験があれば次の就職先を見つけることは比較的容易いでしょう。
ここでは給料アップを狙う転職方法について解説します。
好待遇の園を見つけよう
今の園の給料に不満がある方は「今より給料が高い園で働きたい」「より良い待遇の園に転職したい」と感じているでしょう。
しかし保育士は毎日非常に忙しく、ゆっくり求人を見比べている時間もない方も多いはずです。
保育士向けの転職サイトを使えば、休憩中や通勤中などの隙間時間に転職先を探すことが可能です。
ベスト保育では給料など希望の条件を登録することであなたに合った園をご紹介します。
今より年収を上げたいなど素直な気持ちをご相談ください。
保育士資格を活かせる給料が高い仕事は?
保育士の中でも給料が高い仕事として上げられるのが病院内の院内保育所や企業内の企業内保育所の保育士です。
病院や企業が独自に保育所を運営している場合、保育士の給料を看護師や企業の社員の給与水準と合わせている園もあるようです。
また夜勤のある職場は夜勤手当がつくため給料は比較的高くなるでしょう。
夜勤がある職場としては乳児院や児童養護施設などがあります。
令和4年2月実施の岸田内閣による処遇改善
岸田内閣は国民の所得を増やすための政策の一環として、「保育士・幼稚園教諭等処遇改善臨時特例事業」を行うことを決定しました。
この事業によって令和4年2月より、施設が賃上げ効果が継続される取組を行うことを前提として、保育士の賃金を引き上げるために必要な補助が実施されます。
世間でも話題になっていたのでテレビやインターネットのニュースで見かけた方もいるかもしれません。
しかし「保育士の賃金9000円アップ」という見出しが一人歩きし、保育士全員の給料が9000円上がると勘違いしている方も少なくありません。
実は今回の処遇改善を受けるためには対象者や対象施設、補助要件などをクリアしている必要があり、一人当たりの引き上げ額も一律で決まっているわけではありません。
ここからはこの新しい処遇改善政策が実施される時期や諸条件、詳しい内容について紹介します。
コンサルタント
処遇改善が実施される時期
今回の事業は令和4年の2月から9月までの8ヵ月間、収入を3%(月額9000円)程度引き上げるために必要な補助が行われます。
給料が翌月払いの場合は、3月に支給される2月分の給料からが対象です。
賃金改定には一定の時間が必要なため、令和4年の2月分と3月分は一時金として支給される可能性もあります。
対象施設および対象者
補助の対象となる施設は以下の通りです。
- 保育所
- 幼稚園
- 認定こども園
- 家庭的保育事業
- 小規模保育事業
- 居宅訪問型保育事業
- 事業所内保育事業
- 特例保育を行う施設
公立の施設も対象となり、私学助成を受ける幼稚園は文部科学省事業による補助となります。
対象者は保育士や幼稚園教諭、保育教諭だけでなく、調理員や栄養士、事務職員など、各施設に勤務する全ての職員です。
ただし、延長保育や預かり保育等の通常の教育・保育以外のみに従事している職員、法人役員を兼務する施設長は対象とならないので注意が必要です。
コンサルタント
補助要件
補助を受けるには以下の3つの要件をクリアする必要があります。
- 補助額の全額を賃金改善に充てること
- 賃金改善について最低でも改善額全体の3分の2以上を基本給または決まって毎月支払われる手当により行うこと
- 賃金改善の計画書・実績報告書を市町村に提出すること
コンサルタント
詳しい補助内容
今回の処遇改善の具体的な内容は、収入を3%程度(月額9,000円)引き上げるための費用の補助です。
補助額の算定は、公定価格上の職員の配置基準を基に行われます。
つまり施設への補助額は実際に働いている職員の人数ではなく、利用児童数に応じた職員の配置基準によって決められるため、実際の施設での職員の数や配置状況により一人当たりの引き上げ額が変動します。
令和4年10月以降は、令和4年人事院勧告の内容を踏まえて対応される予定です 。
全員の給料が9000円アップするわけではないので注意
自分の給料が令和4年2月から実際にどれくらい上がるのか気になる方は多いでしょう。
ここで注意しておきたいのが、全員が一律に9000円アップするわけでないということです。
例えば施設への補助額は、配置人数ぎりぎりの職員で運営している園では一人当たりの引き上げ額が高くなり、反対に余裕を持った人員配置を行っている園では職員の人数が多い分、一人当たりの引き上げ額が低くなってしまいます。
また職員への配分については事業者に委ねられているため、特定の職員の偏った配分にならない限り、施設での状況を踏まえて決定されます。
つまり3%程度(9000円)の引上げとはなっていますが、実際の補助額は施設によって異なり、その配分方法も事業者に委ねられているので職員全員の給料が令和4年2月分から9000円アップするわけではないのです。
実際にいくら給料が上がるかはそれぞれ個人で違ってくるということを念頭に置いておきましょう。
コンサルタント
https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/law/kodomo3houan/pdf/r031223/faq-01-2.pdf (保育士・幼稚園教諭等処遇改善臨時特例事業等に係るFAQ(ver.2・令和4年2月4日時点版))
保育士の給料は改善傾向!直ちに給料アップを狙うならキャリアアップや転職を
保育士の給料事情について具体的な数値を用いて詳しく解説してきました。
自分の給料が保育士として適正なのかどうか改めて考えるきっかけになったのではないでしょうか。
保育士の給料は決して高くはありませんが年々少しずつ上がってきており、この傾向は今後も続いていくと考えられます。
実際に令和4年2月からは保育士の給料を引き上げる政策「保育士・幼稚園教諭等処遇改善臨時特例事業」が実施され、令和4年10月以降は公定価格も見直される予定です。
今すぐ給料を上げたいと考えている方には新しくできたキャリアアップ制度を使ってみたり、好待遇の園へ転職したりする方法もあります。
給料は仕事のモチベーションに繋がる大切な要素です。
自分が納得して働くことができるよう、今後の保育士としての働き方を改めて考え積極的に行動していきましょう。