保育園で働く栄養士って どんな仕事?具体的な仕事内容や待遇、志望動機の例文を紹介

保育園で働く栄養士って どんな仕事?

栄養士が活躍する職場の一つに保育園があります。

保育園の栄養士と言えば、子どもの給食を用意する仕事という想像はつくかもしれませんが実は他にも大切な役割があります。

この記事では保育園で働く栄養士について、具体的な仕事内容や給料などの待遇面の実態、仕事のやりがいや大変だと感じることなどについて詳しく解説します。

保育園の栄養士を目指す方に向けて就職活動についてや志望動機の例文も紹介します。

保育園で働く栄養士とは

保育園では保育士や看護師などがそれぞれの専門性を活かして働いていますが、栄養士も他の職種と同じく子どもの育ちに欠かせない存在です。

保育園の栄養士はには、ただ献立を作成して調理をするだけでなく子どもの食育を行うという重要な役割があります。

「食べること」は「生きること」の基本であり、保育園での食育は子どもたちの生きていく基礎を作っていくための大切なものです。

厚生労働省による『楽しく食べる子どもに~保育所における食育に関する指針~』においても乳幼児期からの望ましい食習慣の定着や豊かな食の体験が重要であるとされています。

コンサルタント

乳幼児期の食育という重要な役割を担っているのが保育園の栄養士なのですね!
参考:https://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/06/dl/s0604-2k.pdf (楽しく食べる子どもに~保育所における食育に関する指針~)

保育園栄養士の仕事内容は?

保育園の栄養士には子どもの食育を行う役割があることがわかりました。

では具体的に保育園の栄養士の仕事内容とはどういったものなのでしょうか。

ここでは5点に分けて詳しく紹介します。

給食やおやつの献立作成

まずは給食やおやつの献立作成業務です。

栄養士はエネルギー量や栄養バランスを考えて、毎日の給食やおやつの献立を作成します。

保育園では0歳から6歳までの幼児がいるので、提供するときの形状や硬さなども各年齢の発達に合わせて工夫します。

アレルギーを持った子どももみんなと一緒に食事を楽しめるよう除去食や代替食の献立も作らないといけません。

季節ごとに豊かな食の体験ができるよう、子どもの日メニューやクリスマスメニューなど行事やイベントにちなんだ献立を考えることも大切な仕事です。

普段とは違う華やかなメニューやかわいい盛り付けの行事食は子どもたちに大人気ですよ!

保育士

毎日の調理

毎日の調理は他の栄養士や調理師と協力して行います。

朝の出席確認やアレルギー児の食事の対応など保育士との連携も欠かせません。

園児が200人を越すような大規模保育園では大量調理の経験があると即戦力になるでしょう。

各年齢クラスの活動時間に合わせて食事を提供しないといけないので、手際よく調理できる力や調理師とのチームワークが重要になってきます。

食物アレルギーの対応

栄養士は食物アレルギーのある子ども向けの除去食や代替食の考案も行います。

アレルギーの程度は子どもによって様々ですが、中には命に関わるような重大なアレルギー反応を起こす場合もあるので慎重な対応が求められます。

提供方法を工夫したり配膳前に保育士と確認し合うなどアレルギー食品の誤飲事故が起こらないように細心の注意が必要です。

注意
低年齢児のクラスでは、配膳が間違っていても子どもは自分で伝えることができません。

 

決して事故のないよう、大人による徹底した管理が必要です。

子どもへの食育指導

「食」に関する経験をより豊かにするための取り組みも保育園栄養士の大切な仕事です。

食育はただ好き嫌いなく食べるということだけでなく、準備をしたりみんなで楽しく食べたりと「食」を取り巻く環境全てに関連します。

例えば自分たちで育てた野菜を収穫し、料理してみることも立派な食育でしょう。

他にも給食室の前に「食」に関する絵本を置いたり、豆知識やクイズの掲示をしたりすると子どもの興味を惹くかもしれません。

コンサルタント

子どもたちが楽しみながら「食」に興味を持つことができるよう工夫することも栄養士の仕事なのですね。

保育士や保護者への指導

栄養士は毎月献立表や給食だよりなどを発行します。

お便り作りでは保護者の食育への関心を高めてもらうため、家庭での食事のアドバイスや季節の物を使ったレシピ、食育に関する知識などを載せたりします。

また離乳食の進め方や給食の様子、家庭での食事の様子について保育士や保護者から相談があるかもしれません。

コンサルタント

食事を提供するだけでなく、普段から子どもが食べている様子を見て関わることでより適切なアドバイスができるでしょう。

保育園栄養士の実態

保育園栄養士の仕事内容について詳しく見てきました。

保育園栄養士は子どもの食育に関わることのできる魅力的な仕事です。

しかし実際に保育園で勤務したいと思ったときに気になるのは待遇面など現実的な部分でしょう。

ここでは保育園栄養士の実態として、給料や休日面などの待遇とやりがいや大変だと感じることについて紹介します。

保育園栄養士の待遇

まずは保育園栄養士の待遇です。

待遇に関しては地域や園によるところが大きいですが、ここでは保育園勤務の一般的な例を紹介します。

保育園勤務以外の栄養士と比較しながら給料や休日など労働環境に着目していきましょう。

保育園栄養士の給料

保育園栄養士の正社員の給料は月額約17万~24万円ほどです。

ボーナスは2ヵ月~4ヵ月分の支給が一般的です。

園によっては毎月職務手当や住宅手当が支給される場合もあります。

一方、栄養士全体の平均賃金は月額246,400円、賞与608,200円となっています。

これは平均勤続年数7年を加味した額なので、保育園勤務の栄養士の給料は栄養士の中でもほぼ平均的だと言えるでしょう。

派遣社員の場合はフルタイムでの募集が多く、時給は1000円~1400円ほどです。

アルバイトやパートの場合は短時間勤務も可能で、時給は900円~1200円ほどになります。

参考:https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003084610 (賃金構造基本統計調査)

保育園栄養士の休日など労働環境

栄養士の勤務時間は一般的に8時~17時です。

シフト勤務の園も多いですが、その場合は1時間ほど前後します。

病院や介護施設などと違い保育園勤務の場合、夜勤はほとんどないでしょう。

残業は少ないかほとんどない園が多いのでプライベートも充実できます。

土曜保育でも給食の提供がある保育園の場合は土曜出勤もあります。

土曜日は交代制での出勤になるところが多く、出勤した分は代休や休日出勤手当がもらえます。

運動会や卒園式など大きな行事の日には、保育士だけでは手が足りず栄養士も手伝いのために出勤をお願いされることがあるでしょう。

コンサルタント

本来の業務とは少し離れますが、園児の成長を見守ることができるといった保育園勤務ならではのやりがいも感じられる機会です。

保育園栄養士のやりがいや楽しいことは?

保育園栄養士は子どもと関わる機会が多いので、子どもが好きな方はやりがいを持って楽しく勤務できるでしょう。

では具体的に保育園栄養士ならではのやりがいとは何でしょうか。

ここでは保育園栄養士のプラス面について3点にわけて紹介します。

「おいしい!」と食べてくれる子どもの笑顔

保育園勤務の醍醐味は何と言っても、作った給食やおやつを「おいしい!」と喜んで食べてくれる子どもの笑顔です。

食べることが好きな子どもは「今日の給食はなあに?」と給食室まで聞きに来てくれることもあるかもしれませんね。

一生懸命献立を考えて作ったものを喜んで食べてくれると仕事へのモチベーションにも繋がります。

コンサルタント

保育園栄養士には離乳食の時期から子どもの成長を支えていけるという大きなやりがいがあります。

子どもの食育に直接関わることができる

子どもの食育に携わりたいと考えている方には保育園栄養士はぴったりの仕事でしょう。

保育園の栄養士は普段の献立作成や調理の他にも、子どものクッキング体験や行事ごとの食事の計画など「食べることが好きな子ども」になってもらうため様々な取り組みを行います。

保育園では子どもの反応を近くで見ることができるので、試行錯誤しながら食育に取り組むことができます。

自らが考案したイベントや食事を通して子どもたちを「食」への興味関心に繋いでいけることでやりがいが感じられます。

保護者から感謝されることも

保育園で毎日栄養バランスを考えられた食事を提供してもらえることをありがたく思っている保護者も多いでしょう。

栄養士と保護者が接する機会はあまり多くはありませんが、中には感謝の気持ちを伝えてくれる方もいます。

家庭での離乳食の進め方など専門的なことで相談を受けることもあるかもしれません。

コンサルタント

保育園の栄養士は食のプロとして頼られる存在であり、大きなやりがいに繋がります。

辞めたいと思うことも!大変なことやしんどいことは?

保育園の栄養士の仕事は子どもの食育に携わることができるという大きなやりがいがあることがわかりました。

では反対に保育園栄養士が大変、しんどいと感じるのはどんな時でしょうか。

保育園栄養士の大変な面について3点にわけて紹介します。

窒息防止や食物アレルギーへのきめ細やかな対応が必要

栄養士は安全面に気を付けて食事の提供を行わなければいけません。

食品による窒息事故のほとんどが6歳以下の乳幼児に起きていることもあり、食材の大きさや形には注意が必要です。

食物アレルギーでは命に関わるショックを起こす危険性があります。

毎日の厳重なチェックなど細心の注意ときめ細やかな対応が求められますが、それがプレッシャーになったり大変だと感じることもあるかもしれません。

少人数ゆえの人間関係が辛い

基本的に保育園に配置される栄養士は1人か多くても2人ほどです。

調理師の人員も余裕をもった配置をしている園は少なく、数人で回している保育園がほとんどです。

毎日決められた時間に合わせて大量の調理をするので給食室のチームワークは大切ですが、他の栄養士や調理師との関係が悪いと仕事がスムーズに進まず辛いと感じてしまうでしょう。

コンサルタント

少人数だからこそ人間関係の良し悪しが仕事のストレスに大きく関わってきます。

業務が多く時間に追われる

保育園では各年齢クラスごとの生活リズムに合わせておやつや給食の提供を行います。

大規模園では200人近い量を、アレルギー対応などをチェックしながら準備していかなければなりません。

反対に小規模園では栄養士1人で全ての業務をしないといけない場合もあります。

保育園栄養士には決められた時間にミスなく食事を提供できる手際良さが必要ですが、仕事に慣れるまでは大変だと感じることもあるでしょう。

保育園栄養士になるには

保育園栄養士の仕事内容や実態について解説してきました。

保育園栄養士として働いてみたいけれど、必要資格や就職活動について詳しく知らないという方もいるでしょう。

ここでは必要な資格や求人、志望動機の考え方について詳しく紹介します。

保育園栄養士に必要な資格

保育園栄養士として働くために必要な資格は「栄養士」または「管理栄養士」です。

栄養士の仕事は主に健康な人を対象に栄養面から食事のアドバイスをすることです。

栄養士の資格を取得するには、厚生労働省が指定した栄養士養成のための大学or短大or専門学校を卒業する必要があります。

管理栄養士は栄養士の上位資格で、活躍の場は栄養士より幅広くアスリートの栄養指導や傷病者の栄養管理なども任されます。

管理栄養士の資格を取得するには、栄養士の資格を取得後1~3年以上の実務経験を積んで国家試験試験を受験する必要があります。

MEMO
他には4年制の管理栄養士養成施設に通う方法もあり、この場合は実務経験不要で国家試験を受験することが可能です。

あると役立つ資格は?

保育園栄養士として働く上であると役に立つ資格をいくつか例を挙げてみました。

  • 食物アレルギー管理栄養士
  • 母子栄養指導士
  • 保育士

食物アレルギー管理栄養士は食物アレルギーの正しい知識と適切な対応技術を身につけるための資格です。

母子栄養指導士は妊産婦、離乳食、幼児食、児童食についてのプロフェッショナルです。

母子の栄養支援についてより専門的な知識を得ることができるので保育園勤務では役に立つことでしょう。

保育士資格を取得するためには子どもの発達や保育理論について学ぶ必要があるので、食育面だけでなく園児との関わりの面でもプラスになるでしょう。

コンサルタント

専門性を深めることでスキルアップを目指し、より信頼される栄養士を目指しましょう。

保育園栄養士の求人について

保育園栄養士の求人状況についてです。

保育園は栄養士の職場としては割とメジャーであり求人も多く出ています。

資格職なので出産育児や介護などで一旦仕事を離れても就職しやすい傾向にあります。

ここでは新卒向けと転職の中途採用向けに分けて詳しく解説します。

初めてでもOK?新卒の就職活動

新卒が保育園栄養士の求人を探す際には、学校の就職課を利用したり栄養士や保育士向けの就職フェアへ参加するなどの方法があります。

栄養士や保育士向けの就職・転職サイトを使えばいつでもどこでも求人を探すことができます。

「新卒OK」や「未経験可」と記載されている求人に応募すると良いでしょう。

MEMO
栄養士は自分しかいないという園も多いので、入職後は他の調理師や保育士に質問しながら積極的に仕事を覚えていくことが大切です。

保育園栄養士への転職

保育園栄養士に転職したい場合は栄養士や保育士向けの転職サイトの利用が便利です。

栄養士は資格職のため実務経験があれば転職活動は比較的スムーズに進むでしょう。

特に保育園栄養士の中途採用の求人では経験が重視される傾向にあります。

保育園では少人数で大量の調理をこなさないといけないため、応募条件として調理経験やアレルギー対応経験があることを指定している園もあります。

条件としては挙げていなくても、病院や介護施設などでの調理経験がある方を優先的に採用している園は多いでしょう。

発注や食育計画書の作成など経験があればさらにアピール材料になります。

コンサルタント

離乳食や幼児食作りの経験や他の施設での調理経験は積極的にアピールしていきましょう。

志望動機の考え方

就職活動の面接で必ず聞かれる項目は志望動機です。

明確に答えられるよう、保育園栄養士を目指した理由を事前に整理しておきましょう。

  • なぜ保育園で働きたいか。
  • なぜこの保育園を選んだのか。
  • どんな風に仕事に取り組むつもりなのか

以上の点を自分の中で整理し、上手くまとめれられると良いですね。

ここでは参考にできる例文を紹介します。

私は「食」を通じて子どもの成長を支えていきたいと考えており、保育園勤務を志望いたしました。

 

貴園では園内で畑づくりをするなど食育に力を入れておられると伺いました。

 

栄養士としての専門性を活かし、工夫を凝らしながら貴園の食育への取り組みの力になりたいと考えています。

 

毎日の栄養バランスの取れた献立作成や調理はもちろん、子どもたちが楽しみながら体験できるような食育を行えるよう尽力いたします。

保育園栄養士は子どもの育ちを「食」から支える大切な仕事

保育園栄養士について詳しく解説してきました。

保育園栄養士の仕事内容は献立作成や調理の他にもアレルギー対応や園児の食育など多岐にわたります。

業務量が多いなど大変なこともありますが、一生懸命考えて作った食事を子どもたちが喜んで食べてくれるという大きなやりがいもあります。

保育園栄養士を目指す方は大量調理やアレルギー対応などの経験があると就職が有利になるでしょう。

正社員の他にも派遣社員やパートアルバイトの募集もあるので自分に合った働き方を選べます。

生きていく基礎となる「食」の体験を作る栄養士は保育園にはなくなはならない存在です。

子どもの育ちを「食」から支えたいと考えている方はぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。