4歳児保育のポイントを詳しく解説!発達特徴や接し方、おすすめの遊びも紹介

4歳児保育のポイントを詳しく解説!発達特徴や接し方、おすすめの遊びも紹介

4歳児は生活習慣が身について自分でできることが増えたり、友達と仲良く遊ぶようになったりと大きな成長を感じられる時期です。

一方で急に癇癪を起こしたり大人に反抗したりと、自らの成長に対する戸惑いや葛藤によって感情のコントロールが難しくなることもあるので、接し方に悩む保護者や保育士の方もいるでしょう。

この記事では4歳児の発達特徴や保育のポイント、「4歳児の壁」への接し方などについて詳しく解説します。

4歳児におすすめの遊びや絵本も紹介するので、ぜひ保育の参考にしてみてください。

4歳児の発達特徴は?

友達関係ができてきたり、自分中心の考え方から他者のことにまで目を向けられるようになったりと4歳児は心や脳が大きく成長します。

運動能力など身体面でもますます体力がついて活発になっていく時期でしょう。

ここでは4歳児の発達の特徴を平均身長と体重、運動能力、言葉の発達、認知能力、生活面の5点に着目して解説します。

コンサルタント

4歳児の発達特徴を理解し、適切な援助に繋げていきましょう。

平均身長と体重

4歳児は体重に比べて身長の伸びが大きく、3歳のころと比べるとだいぶ大人の等身に近づいていきます。

ここでは男女別に4歳児の平均身長と体重を紹介します。

コンサルタント

体型は普段の食事量や運動量など生活習慣にも左右されるので、あくまで平均値です。

男の子の平均身長と体重

4歳児の男の子の平均身長と体重です。

4歳0~5か月 4歳6~11ヵ月
身長 102.0cm 105.1cm
体重 15.9kg 16.9kg

女の子の平均身長と体重

4歳児の女の子の平均身長と体重です。

2歳0~5か月 2歳6~11ヵ月
身長 100.9cm 104.1cm
体重 15.6kg 16.6kg
参考:https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001tmct-att/2r9852000001tmea.pdf#page=2 (平成 22 年乳幼児身体発育調査報告書(概要))

運動能力

等身が高くなるにつれて身体のバランスが取れるようになるので、片足飛びやスキップなど複雑な動きもできるようになります。

ブランコの立ち乗りやジャングルジム、マットでの前転もできるようになる子どももいるので、運動遊びの幅も広がるでしょう。

また指先などの細かい動きもさらに器用になり、折り紙の角と角を合わせて半分に折ったり片方の手で紙を持ちながらハサミで図形を切ることもできるようになります。

コンサルタント

大小様々な動きができる遊びを取り入れてどんどん運動能力を伸ばしていきたい時期です。

言葉の発達

ますます言語能力が発達し、その日にあった出来事を話したり、理由をつけて自己主張できるようになります。

友達同士でのコミュニケーションも盛んになり、自分から「入れて」と言って遊びに加わることもできるようになるでしょう。

歌詞や絵本のストーリーを覚えたり、1から10まで数えたり、大きい小さい長い短いなどの比較の言葉も使うようになります。

MEMO
普段から聞いている言葉や身近な大人の言葉遣いを真似て吸収していくので、正しい日本語を使うよう意識しましょう。

認知能力

4歳児は認知能力の発達が目覚ましく、自他の区別、他者の気持ちの理解、時間や空間の認識などができるようになってきます。

3歳ごろまでの子どもにとって、世界は「今」と「自分」が中心にありました。

ところが4歳になると、脳の発達に伴って「過去、現在、未来」が理解できるようになったり「他者の思い」を考えることができるようになってきます。

物事に対する理解力が大きく伸びることで、見える世界が大きく広がる時期なのです。

また先のことを想像できるようになるからこそ葛藤を抱きやすくもなり、「失敗したくないからしない」「負けると嫌だからゲームに参加しない」という姿も見られるようになります。

そのような場合は無理に誘うことはせず、他の子どもがやっている姿を見ることから始めると良いでしょう。

コンサルタント

子どもの気持ちを受け止め、安心できる関わりを意識しましょう。

生活面

食事、排泄、衣服の着脱など基本的な生活習慣が身に付き、見通しを持った生活ができるようになります。

自分から手洗いうがいをしたり、鼻をかんだりと衛生面でも自立した行動が見られるでしょう。

食事中に友達とお喋りしながら食べるなど、2つのことを同時にできるようにもなってきます。

MEMO
食事では楽しく食べること以外にも、お箸の持ち方や片方の手はお茶碗やお皿に添えることなど簡単な食事マナーも伝えていきたい時期です。

4歳児保育のポイント

4歳児クラスの対数は3歳児からさらに増え、子ども30人に保育士が1人になります。

ますます集団生活としての面が強まり、子ども同士のコミュニケーションも増えていくでしょう。

では4歳児クラスの担任になった保育士は、どんなことに気を付ければ良いのでしょうか。

ここからは4歳児保育のポイントを紹介します。

友達との関わりから社会性を育む

4歳ごろになると友達との関わりがより一層活発になり、いつも一緒に遊ぶような気の合う友達もできてきます。

友達とイメージを共有して遊びを進めたり、ルールを守って遊ぶ楽しさを感じたり、自分から「入れて」と声をかけて遊びの中へ入っていったりする姿も見られるでしょう。

楽しい遊びを一緒に経験することで仲間としての意識が芽生え、他者に自分の思いを伝えるための自己発揮をする力も育ちます。

コンサルタント

4歳児クラスでは友達との関わりの中で社会性を育めるような環境や保育を行いましょう。

喧嘩は成長のチャンス

友達との関わりが増えることで、お互いの主張が譲れずに喧嘩になることも多くなるでしょう。

トラブルが起こった時には保育士が全て解決してしまうのではなく、見守りながら子ども同士が話し合えるような環境を作ることが大切です。

  • 自分の思いを自分の言葉で相手に伝える
  • 相手にも自分と同じように思いがある
  • どうすればうまく遊べるのかを考える

以上の点を意識して、子ども同士で解決できるように導く援助をしましょう。

コンサルタント

子ども同士の喧嘩は決して悪いものではなく、協調性や思いやりの心などを学び成長できる機会です。

なんで?どうして?の質問には丁寧に答える

この時期は身の回りのものや目にしたものに対する興味が広がり、「なんで?」「どうして?」と盛んに質問するようになります。

知らないことや疑問に思ったことを教えてもらうことで、新しい知識を得る楽しさを感じることができ、好奇心の育成にも繋がっていくでしょう。

大人はその都度子どもの質問に丁寧に答えていくことが大切です。

その際、すぐに答えを教えるのではなく「なんでだろうね」「どうしてだと思う?」と疑問に思う気持ちに共感するようにしてみましょう。

図鑑などを見ながら一緒に調べてみたり、調べたことを実験してみたりと知識をさらに深められる関わり方をするとさらに理解度も深まります。

コンサルタント

様々なことに興味を持ったり、もっと知りたいという気持ちを伸ばしていけるよう接することがポイントです。

癇癪・しつけが大変?「4歳の壁」は心の成長の証

4歳ごろは認知能力が急速に発達するに伴い、子ども自身が不安や戸惑いを感じて感情のコントロールが難しくなる時期です。

いきなり怒ったり泣いたりして癇癪を起こしたり、大人の言うことを無視したり、反抗してきたかと思えば急に甘えてきたりと感情の起伏が激しくなったりすることがあるでしょう。

そのような子どもの心の葛藤から生まれる現象は「4歳の壁」と呼ばれており、関わり方や育児に悩む方も少なくありません。

しかし「4歳の壁」は心が順調に発達しているからこそ生じる反抗期なので、成長の証と捉えて接し方を考えていくことが大切です。

コンサルタント

ここでは「4歳の壁」への接し方について紹介します。

頭ごなしに叱らず子どもの気持ちを聞く

2歳児の頃の「イヤイヤ期」では自分の気持ちをうまく伝えらず何でも「イヤ」と表現していることが多くありましたが、4歳児になると自分なりの思いや理由がある上で反抗していることが増えてきます。

「〇〇だからイヤだった」「✕✕したかったのにできなかったからイヤだった」など、やりたくない気持ちを自分の言葉で説明できるよう、反抗する理由を尋ねてみましょう。

頭ごなしに叱らずに子どもの思いを冷静に聞く姿勢を取ることで、子どもは自分の気持ちに寄り添ってくれていると感じることができます。

中には気持ちを話すことですっきりして次の行動に移れるようになることもあるかもしれません。

コンサルタント

理由を聞いた後は一旦子どもの気持ちを認めた上で、解決策を一緒に考えてみると良いでしょう。

暴言に過剰反応しない

「バカ」「アホ」「キライ」などの暴言には過剰反応しないことが大切です。

この時期の暴言は相手を傷つけたいと思って罵っているのではなく、ただ単にイライラを発散したいから、相手の反応がおもしろいから言っていることが多くあります。

「暴言を吐かれた相手がどう思うか」まで考えられていないことが多いので「そんなことを言われると悲しいよ」と言われた側の気持ちを冷静に伝えましょう。

MEMO
暴力も暴言と同じく相手の反応を楽しんでいるだけの場合があります。

 

大人は感情的になりすぎないよう、落ち着いたトーンで「叩かれると痛い」「言葉で伝えてね」ということを伝えることが大切です。

十分に甘えられる環境を

生活習慣が身についたり友達と一緒に遊べるようになったりと着々と自立へ向かっている4歳児ですが、まだまだ子どもであることも事実です。

保育士や保護者など身近な大人と十分なスキンシップを取ったり、しっかりと甘やかせてもらうことで精神的に満たされて情緒の安定に繋がるでしょう。

この時期には弟や妹が生まれる子どもも多く、両親が赤ちゃんのお世話にかかりっきりになってしまうことで心が不安定になってしまうことも少なくありません。

コンサルタント

家庭と園で協力しながら子どもが心ゆくまで甘えられる環境を作ることは、これからの成長の糧にもなっていくでしょう。

4歳児保育に取り入れたい遊び

4歳児との接し方を中心に保育のポイントを紹介してきました。

ここからは4歳児クラスの担任になった保育士の方に向けて、おすすめの遊びを紹介します。

外遊び

身体のバランス能力がアップして様々な動きができるようになる4歳児は、活発に動ける外遊びを取り入れていきましょう。

ルールを守りながら友達と協力して遊べるゲームを取り入れることで、社会性の成長にも繋がります。

4歳児の外遊びにおすすめの遊びを紹介します。

  • こおりおに
  • バナナおに
  • サッカー
  • サーキット遊び(鉄棒、平均台、跳び箱、フープなど)
  • 大縄跳び
MEMO
運動能力の発達は個人差も大きいので、クラスの子どもの様子や興味のあることなどをよく考慮して活動を設定しましょう。

室内遊び

暑い日や寒い日、梅雨の時期など季節によっては室内遊びが中心になる時期もあります。

室内でのゲームでは集団遊びを通して友達と協力することや達成すること、楽しさを共有できるような遊びを設定しましょう。

4歳児の室内遊びにおすすめの遊びを紹介します。

  • じゃんけん列車
  • ハンカチ落とし
  • 爆弾ゲーム
  • リトミック
  • 〇✕ゲーム

コンサルタント

遊びが終わった後に「どんなところが楽しかったか」など感想を出し合う場を設けてみるのも良いですね。

製作のねらいやポイント

4歳児は手先が器用に動かせるようになるため、はさみを使って図形を切り取ったり、工程数の多い折り紙にもチャレンジすることができるようになります。

牛乳パックやティッシュボックスなどの廃材を使った立体的な製作や、はじき絵やマーブリングなどの複雑な技法も取り入れるとさらに表現の幅が広がるでしょう。

4歳児の製作のねらいは以下の点を意識して立ててみましょう。

  • はさみやのりなどの用具を正しく使用すること
  • 製作の目的に合わせて用具や素材を選ぶこと
  • 自分なりのイメージを膨らませて表現すること
MEMO
表現することの楽しさを感じられるように、「おいしそうだね」「きれいな色だね」などなるべく具体的な声かけを行い、子どもの表現を認めることを心掛けましょう。

おすすめの絵本

好奇心旺盛な4歳児は、絵本を通して新しい世界を知ったり、絵やストーリーに心を動かされたりと様々な体験をします。

わくわくできるストーリーや好奇心を刺激されるもの、想像の世界にどっぷりと浸れるお話など様々なジャンルの絵本を選びましょう。

ここでは4歳児におすすめの絵本のタイトルを紹介します。

  • 『からすのパン屋さん』
  • 『かいじゅうたちのいるところ』
  • 『はじめてのおつかい』
  • 『そらまめくんのベッド』
  • 『わらしべちょうじゃ』

コンサルタント

物語の世界に入り込むことでいろいろな感情に触れることができ、心の成長にも繋がります。

4歳児は心の葛藤を経て大きく成長する時期!

4歳児の発達や保育のポイント、遊びのアイデアを紹介してきました。

4歳児は心や認知能力が大きく発達することによって、今までは自分中心だった世界が広まり、友達の気持ちを考えたり思いやりを持ったりできるようになります。

社会性や想像力、好奇心など社会生活の基礎となる部分を伸ばしていけるように関わり方を意識してみましょう。

またこの時期はできることがどんどん増えて少しずつ大人に近づいていく一方、まだまだ子どもの部分もあります。

心の葛藤を経てさらに成長していく時期であることを理解し、時には十分に甘えられる環境を作りながら接していくことが大切です。