保育園での看護師さんのお仕事は、年々重要が高まっています。
一方で「実際にどんな仕事なのか?」「給料はどのくらいか?」など、わかりにくい点も多いことも事実です。
看護師には病院やクリニック以外に、保育園で働くという選択肢があります。
厚生労働省は保育園の質の向上のため、保育園に看護師を常駐させることをすすめているので、今後も保育園看護師の活躍の場は広まりそうです。
しかし病院の看護師と違って保育園の看護師はあまり身近でないため、具体的にどんな仕事をするの?と疑問に思う方も多いでしょう。
病院勤務の看護師との働き方の違いなども気になると思います。
この記事では、保育園看護師の仕事内容や働き方、必要資格など求人情報や志望動機の例文まで詳しく解説します。
目次
保育園看護師とは
保育園に勤務する看護師の一番大きな役割は、知識や専門性を生かして子どもたちの健康を守ることです。
保育園は乳幼児を預かっているため、急な体調不良や怪我が起こることが多々あります。
そんな時に、医療の専門知識を持った看護師がいることでより適切な対応を行えます。
保育士
近年は0~2歳の乳児を預かる園の増加に伴い園内に看護師を配置する園も増えていますが、全ての園に看護師がいるわけではないようです。
では、看護師の配置基準について詳しく見ていきましょう。
保育園看護師の配置基準は?
厚生労働省によって私立保育園の場合は看護師の常駐が義務付けされています
しかし公立の場合は努力義務とされているため、自治体によっては看護師がいない園もあります。
またこれまで乳児が4人以上いる園では、1人に限って看護師を保育士とみなすことができるという決まりがありました。
さらに平成27年には看護師と保育士の人手不足を考慮し、准看護師も保育士とみなすことができるようになりました。
保育園看護師の仕事内容
保育園看護師の具体的な仕事内容とは何でしょうか。
保育園の看護師と言えば、体調の悪い子どもの様子を見たり怪我の手当てをしたりといった業務を思い浮かべるかもしれません。
しかし、実は保育園看護師の業務はそれだけではなく、園の衛生管理や保育士や保護者への指導など多岐にわたります。
ここでは保育園看護師の仕事内容について詳しく解説していきます。
子どもの健康管理
一番メインとなる仕事は子どもの健康管理です。
体調不良や怪我の子どもの様子を見て、受診が必要か判断したり応急処置をしたりします。
他にも食物アレルギーを持っている子どものケアや、身体測定や歯科検診の補助業務もあります。
また、保育士など職員の健康管理として健康診断の手配を任されることもあるでしょう。
コンサルタント
園内の衛生管理や感染症対策
トイレや手洗い場など子どもが使用する場所に危険がないか、衛生的に保つことができているかなどをチェックします。
視覚的に手洗いうがいの大切さを伝えるポスターを貼るなど、子どもへの衛生指導も行います。
また保育園は集団生活の場なので、感染症が流行りやすいです。
季節性のものであれば、前もって掲示板などで保護者へ予防の大切さを伝えるようにします。
保育士への保健指導
看護師の専門知識を生かして、保育士へ保健指導をすることも大切な仕事です。
怪我をしたときの止血法や喉を詰まらせたときの対処法など、思わぬ事故が起こった時の応急処置の方法などを伝えていきましょう。
感染症の蔓延防止のための消毒や吐しゃ物の処理方法なども園内の保育士が共有できるようにします。
保護者の相談対応や保健指導
保護者は医療の専門家である看護師がいればより安心して子どもを園へ預けることができます。
子どものことで看護師に相談をしたい保護者もいることでしょう。
アレルギーのことや発達のことなど専門的な内容の相談に対応することも保育園看護師の仕事です。
コンサルタント
保育補助や乳児クラスの担任業務
保育園看護師は園外保育に同行したり、保育士が足りないクラスへ手伝いに入ったりと保育補助の仕事もします。
あくまで補助なのでピアノを弾いたり遊びを引っ張ったりすることは少ないですが、もし得意なことがあれば何かの機会に生かすことができるかもしれません。
また、中には保育園看護師が0歳児など乳児クラスの担任を持つ園もあります。
担任を持つ場合は保育を考えたり日誌などの記録をしたりする必要も出てくる可能性もあります。
病院勤務の看護師との違いとメリットデメリット
保育園看護師の仕事内容は子どもの健康管理から保育補助まで多岐にわたることがわかりました。
今まで病院勤務をしてきた看護師の方は特に、保育園看護師の仕事内容だけでなく勤務形態や給料事情も気になることと思います。
待遇に関して、病院勤務の看護師と保育園勤務の看護師ではどんな違いがあるのでしょうか。
ここでは病院勤務と保育園勤務の看護師の勤務形態と給料の違いを解説します。
また、両者を比較しながら保育園看護師として働くメリットデメリットも紹介します。
保育園看護師の勤務形態
一般的に保育園は病院と違って土日祝のカレンダー通りの休みです。
土曜日保育を行っている園の場合は土曜出勤もありますが、子どもの数が減るため職員で交代で出勤します。
夏季休暇や年末年始、GWなどでまとまった休みをとることも可能なのでプライベートの時間もしっかり確保することができます。
またほとんどの保育園の開園時間は朝は7時ごろから夜は18時半~19時ごろまでなので、病院勤務のような夜勤はありません。
コンサルタント
保育園看護師の給料
保育園看護師の給料はどれくらいなのでしょうか。
以下は保育園看護師の平均給料と看護師全体の平均給料の表です。
年収(※) | |
保育園看護師(私立) | 4,081,704 円 |
保育園看護師(公立) | 4,763,172 円 |
看護師全体 | 4,829,100 円 |
(※)年収は月額給与×12、賞与込みで算出
保育園看護師は看護師全体の平均と比べると給料は低くなります。
しかし看護師全体の平均年収は夜勤や休日勤務の手当を含んでいるので、その分高くなっていると考えられます。
コンサルタント
楽しい?やりがいは?保育園看護師のメリット
保育園看護師と病院勤務の看護師との待遇面での違いを見てきました。
では、仕事内容や待遇面を考慮した上での保育園看護師のメリットとは何でしょうか。
ここでは4点にまとめてみたので1つずつ紹介します。
ワークライフバランスをとりやすい
保育園看護師はカレンダー通りの休みで残業や夜勤もほぼありません。
よって病院勤務に比べてプライベートの時間が取りやすく、ワークライフバランスを保って働くことが可能です。
夜勤がないことで生活リズムも整えやすく、身体的な負担も軽減されるでしょう。
コンサルタント
看護師の経験に加えて育児経験も生かせる
保育園児は乳幼児のため体調を崩しやすく、怪我などの事故も発生しやすいです。
保育士だけでは判断や対処が難しいような状況になった時に、看護師の専門的な助言があると現場はとても助かります。
看護師として今まで勤務してきた中で得た知識や経験は必ず役に立つでしょう。
また乳児の保育補助ではおむつを替えたりミルクをあげたりするので、自身の育児経験も生かすことができます。
原則医療行為を行わない
保育園看護師は応急処置などはしますが、基本的には医療行為を行いません。
採血など医療行為がプレッシャーだった方は保育園看護師になることで負担が軽減されるでしょう。
コンサルタント
子どもとの触れ合いで癒される
子どもが好きな方にとっては毎日子どもと触れ合えることが一番大きなメリットでしょう。
毎日関わることで子どもの成長を身近で見ることができますし、信頼関係が深まっていくことで大きなやりがいを感じることもできます。
看護師として働きながら保育を行うことができるので、子どもが好きな方は楽しく勤務できるでしょう。
保育士
大変なことや辛いことも?保育園看護師のデメリット
ここまで保育園看護師のメリットについて見てきました。
子どもたちに囲まれて仕事をする保育園看護師は病院勤務とは違った楽しさややりがいがあるようですね。
しかし残念ながら保育園看護師も良いことばかりではありません。
ここでは反対に、保育園看護師のデメリットについて紹介します。
病院勤務に比べて給料が下がる
保育園勤務の看護師は看護師全体に比べて給料が低い傾向にあります。
さらに病院勤務の場合は看護主任や看護師長などの役職がありますが、保育園看護師には役職がないのでキャリアアップが難しく今後給料が大幅に増えることは期待できません。
コンサルタント
看護師は1人しかいない園が多いので責任が大きい
病院勤務では基本的に看護師が複数人いるので、先輩から教えてもらったりすぐに相談をしたりということが可能です。
しかしほとんどの保育園では看護師は1人しかいないので、保育園看護師は何事も自分で判断しないといけません。
園内の看護師の業務を1人で負わないといけない責任の重さを辛く感じてしまうこともあるでしょう。
保育業務や雑用を任される
保育園では基本的に何もトラブルがない時は看護師も保育業務に当たります。
保育補助でクラスに入ることが多いので、掃除や製作物の手伝いなど雑用を任せられることもあるでしょう。
せっかく看護師として働きに来ているのに保育業務や雑用ばかりでは物足りなく感じてモチベーションが下がってしまうこともしまうこともあるようです。
保育園看護師になるには?
ここまで保育園看護師の仕事内容や待遇、メリットデメリットについて見てきました。
保育園看護師として働いてみたいけれどどうやって仕事を探せばいいの?とこれから具体的に何をすれば良いかわからない方もいるでしょう。
ここでは保育園看護師になるための必要資格、求人の探し方、志望動機の作り方について解説します。
必要資格
保育園看護師になるために必要な資格は看護師資格のみです。
応募資格に准看護師も可とされている保育園では准看護師資格でも働くことができます。
小児科勤務の経験など子どもの医療に関する知識があれば面接の際のアピールポイントにはなりますが、特に必須というわけでもありません。
コンサルタント
求人の探し方
保育園看護師の需要は高まっているので求人数は多くあります。
常勤勤務以外にもパートやアルバイトなどの募集もあるので、希望する条件で働けるよう探してみましょう。
求人を探すときは、看護師や保育士向けの求人サイトが便利です。
ベスト保育では保育園看護師の求人ページがあります。
希望条件を入力することで簡単に求人を検索できるのでぜひ利用してみてください!
志望動機の作り方
保育園看護師の志望動機はどんなことに注意して考えれば良いでしょうか。
看護師としての経験をもとに保育園看護師としてどのように子どもの健康のために取り組んでいきたいかについて具体的にアピールしましょう。
保育園看護師は1人しかいないことが多いため、指示待ちではなく自ら積極的に動いていく必要があります。
仕事に対する熱意や積極性についてもアピールすると良いかもしれません。
保育業務にあたることも多いので、子どもとどのように関わっていきたいかや保育の実践面で何か得意なことがあれば伝えても良いでしょう。
志望動機の例文を載せるので、参考にしてみてください。
以前は小児科で勤務していましたが、働く中で普段からの予防や健康意識は治療と同じくらい大切だと感じ、子どもたちの健康維持に関わる仕事をしてみたいと考えるようになりました。
保育園の子どもたちの笑顔を守るため、園児の健康管理や安全な環境作りに尽力していきたいと思います。
新卒で保育園看護師になれる?
特に小さい子どもが好きな方であれば、新卒で保育園看護師になりたいと考えている方もいるのではないかと思います。
新卒でも保育園看護師になることができるのでしょうか。
結論から言えば、なることは可能です。
実際の求人サイトを見てみると「新卒OK」といった条件で募集をかけている園もあります。
ただ看護師経験者を募集している園の方が多いのが現実です。
保育園看護師の業務を全て1人で負うことになるため、園側もできれば看護師としての経験や知識のある人を採用したいと考えるからです。
新卒で保育園看護師に挑戦する際には、経験がない分仕事への積極性や熱意をしっかりアピールすることが大切です。
また、大学病院など大きな病院で何年か経験を積んでから保育園看護師へ転職するという道もあります。
大きな病院は教育体制が整っていますし、患者も多いのでたくさんの症例を見て学ぶことができます。
コンサルタント
保育園看護師は看護師や育児の経験を生かして働ける仕事!
保育園看護師の仕事内容や病院勤務との違いについて見てきました。
待機児童問題で保育園が年々増加している今、保育園看護師の需要はさらに高まっていくと考えられます。
実際に保育業務に携わることもできるので、小さな子どもと接することが好きな方はやりがいをもって楽しく働けるでしょう。
規則的な勤務形態なのでワークライフバランスをとりやすいことも魅力です。
ただ保育園看護師の業務は多岐にわたることと、病院勤務より給料が下がることは理解した上で就職することをおすすめします。
看護師の経験と育児の経験を生かして働きたい方は、保育園看護師という選択肢を考えてみてはいかがでしょうか。