保育園や幼稚園の年長児に当たる5歳児は、社会性やコミュニケーション能力、理解力、記憶力など様々な力が大きく発達する時期です。
5歳児クラスは小学校の入学を控えた大切な1年でもあるので、様々な経験や他者との触れ合いを通して「自分で考え行動する力」を育んでいくことが大切です。
この記事では5歳児の発達特徴や大人の関わり方を初めとした保育のポイント、5歳児保育に取り入れたい遊びや絵本について紹介します。
5歳児の発達特徴は?
5歳児は自分一人ででできることがどんどん増え、ますます自立へ向かっていきます。
身体や脳、心の発達が著しく、園の中での一番上のお兄さんお姉さんとして扱われることで自信や自己肯定感も養われていくでしょう。
ここでは5歳児の発達について6つの項目に分けて解説します。
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平均身長と体重
5歳児は身長の伸びが大きく、1年で約6㎝伸びてすらりとした体型になります。
この時期の体格は男女差よりも個人差が大きくなるでしょう。
5歳児の平均身長と体重を紹介します。
男の子の平均身長と体重
5歳児の男の子の平均身長と体重です。
5歳0~5か月 | 5歳6~11ヵ月 | |
身長 | 108.2cm | 111.4cm |
体重 | 17.8kg | 18.9kg |
女の子の平均身長と体重
5歳児の男の子の平均身長と体重です。
5歳0~5か月 | 5歳6~11ヵ月 | |
身長 | 107.3cm | 110.5cm |
体重 | 17.6kg | 18.6kg |
運動能力
体力や筋力がつき、複雑な動きができるようになるなど身体能力が大きく向上します。
大人とほぼ同じスピードで歩けるようになり、縄跳びやブランコの立ち漕ぎなどもできるようになるでしょう。
細い平均台を渡ったりジャングルジムを自由自在に上れるようになったりと目に見えて運動能力の成長を感じられます。
また手先がますます器用になるので、はさみで曲線を切ったり、△や◇などの図形を描いたりすることができるようになります。
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言葉の発達
コミュニケーション能力が発達し、経験したことや自分の考えを文章にして伝えることができるようになります。
しりとりやなぞなぞ、逆さ言葉などの言葉遊びも楽しめるようになるので、遊びの中に積極的に取り入れていきたいですね。
動物、昆虫、植物などの名称や分類が理解できたり、誕生日や季節などに興味を持つようにもなります。
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理解力や記憶力
5歳児になると、物事に対する理解力や記憶力が大きく成長します。
昨日、今日、明日といった連続した時の流れを理解したり、時間や曜日の理解も進んできます。
論理的な思考力も伸びてくるので、数を数えてどちらが多いかや、物の大小、軽重を判断できるようにもなるでしょう。
さらに理解したことや経験したことを長期的に記憶する力も発達してきます。
社会性
この時期には社会性が発達し、少しずつ他者の感情を想像できるようになってきます。
相手の気持ちを想像することによって、自分の欲求を押さえたり、感情をコントロールできるようにもなってくるでしょう。
自分より年下の子どもを可愛がったりお世話をしたりと思いやりの心が育つことで、相手のことを考えて行動できるようにもなります。
集団の中での自分の役割を認識し、責任感を持って当番活動やお手伝いを行う姿も見られるでしょう。
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生活面
生活面ではほとんどのことが自立して一人でできるようになります。
お箸を使ってこぼさず食べられるようになるほか、こぼした場合は自分で拭いたり、食後は自分で食器を運べるようになるでしょう。
また、寝る前にトイレへ行ったり気候に合わせて衣服を調整したりと、大人の声かけがなくても自ら進んで行動できるようになってきます。
簡単なお手伝いや小さい子のお世話などを進んで行うようにもなる姿も見られるかもしれません。
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5歳児の「中間反抗期」とは
2、3歳の第一次反抗期と10歳頃からの第二次反抗期の間に位置するため、5歳ごろに訪れる反抗期は「中間反抗期」と呼ばれています。
5歳児は理解力や思考力がつき何でも「自分で考えてやりたい」気持ちが強くなる時期です。
大人の都合を押し付けたり、矛盾したことを言ってしまうと、子どもなりの理屈で言い返したり無視をしたりと反抗することがあるでしょう。
中間反抗期の特徴として家族以外には反抗しないことが多いので、保育園では特に問題はなくとも家庭での育児に悩んでいる保護者は少なくありません。
子どもとの接し方について相談を受けた場合は、保護者の思いに十分に寄り添った上で、以下のポイントを伝えてみましょう。
- 命令形ではなく「~してくれる?」とお願いする言い方にしてみる
- 頭ごなしに叱るのではなく冷静に理由を説明する
- 「~されると悲しい(痛い)よ」と相手の気持ちを伝える
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5歳児の保育のポイント
5歳児クラスの1年は卒園や小学校への進学を見据えたものになるので、プレッシャーを感じる保育士の方も多いかもしれません。
理解力や思考力も大きく成長する時期なので、様々な経験を通して幼児期の最終段階の発達をしっかりと促せるようにしたいですよね。
ここでは5歳児保育で意識したい子どもとの関わり方のポイントを紹介します。
自分で考え行動する力を育む
物事や人に主体的に関わることで、自分で考えて発言・行動する力が育まれていきます。
例えば遊びの中で友達と意見の食い違いが起こった場合、保育士がすぐに仲介するのではなく、子どもたち自身で話し合って解決できるよう見守るようにしましょう。
友達と協力して遊びを進めていくことで、他者を認める気持ちや集団の中での自己発揮力、自分に対する自信などに繋がってきます。
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大人がルールを守る姿勢を見せる
5歳ごろになると社会のルールや公共の場でのマナーを理解できるようになってきます。
子どもは大人の行動をよく見ているので、まずは大人がしっかりとルールを守る姿を示しましょう。
大人の都合を押し付けたり、言っていることとやっていることが違うといった矛盾があると説得力に欠けるばかりか子どもからの信頼を損ねることにも繋がります。
様々な人と触れ合う機会を持つ
同い年の友達との関わりだけでなく、異年齢児や地域の方々など様々な人と触れ合える機会を持てるようにしましょう。
様々な立場の人と接することで、その場に合った振る舞いや人との接し方を学ぶことができます。
相手のことを思いやりながら話したり関わったりすることで、考える力や社会性の成長にも繋がっていくでしょう。
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頭ごなしに叱らず理由を説明する
やってはいけないことをしたときには、頭ごなしに叱るのではなく「なぜダメなのか」きちんと理由を説明して伝えることが大切です。
「どうしてやってはいけないと思う?」「自分がされたらどう思う?」など子どもへ問いかけながら説明することで、自分の頭で考えて「やってはいけない理由」を理解することができるでしょう。
また大人が感情的にならず冷静に対処することで、子どもも自分の考えや気持ちを言葉にして伝えやすくなります。
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小学校生活を見据えた関わりを
卒園を控えた5歳児は、小学校生活を見据えた生活を意識することも必要になってきます。
小学校生活の前段階として、年長児の園生活でどんなことを意識していけば良いのか、ここでは3点に分けて紹介します。
時間を意識して生活する
小学校では毎日同じ時間のスケジュールで生活するようになるので、年長児クラスの間に時間を意識して行動する習慣をつけていきましょう。
「〇時になったらお片付け」「長い針が〇になったら遊びの時間」など活動ごとに時計を意識できるような声かけをすると良いでしょう。
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遊びの中で文字や数字に親しむ
自然と興味を持てるように、遊びの中で文字や数字に触れることができるきっかけを作りましょう。
郵便屋さんごっこの中で友達の名前を書いてみたり、お店屋さんごっこの中で個数やお金のやり取りをしてみたりと、楽しみながら文字や数字に親しむことが大切です。
焦らず、生活や遊びの中で自然と学んでいけるような環境や関わりを意識しましょう。
自己肯定感を高める
小学校に上がると人間関係も生活パターンもガラリと変わります。
新しくなる周りの環境に飲み込まれることなく、自信を持って小学校生活を送れるように「自己肯定感」を高める関わりを意識しましょう。
子どもが何かにチャレンジしている姿があれば、その姿勢をしっかりと認めて十分に褒めることが大切です。
「自分はできる」「自分は認められている」と感じられることで自信や自己肯定感に繋がっていきます。
褒める際は子ども一人ひとりの姿を認めるような声かけをしましょう。
5歳児保育に取り入れたい遊び
5歳児保育での子どもへの関わり方のポイントについて紹介してきました。
体や心が発達してできることが増えてくる5歳児は、遊びの幅もどんどん広がってきます。
ここでは5歳児保育におすすめの遊びを紹介します。
戸外遊びのアイデア
戸外遊びでは、友達と一緒に思いっきり体を動かせる遊びを取り入れてみましょう。
集団遊びを行うことで普段あまり関わらない友達とも一緒に遊ぶきっかけができ、人間関係が広がっていくかもしれません。
5歳児におすすめの戸外遊びを紹介します。
- ドッヂボール
- サッカー
- アレンジ鬼ごっこ
- 縄跳び
- 探検ごっこ
運動能力の発達には個人差があるので一人ひとりが意欲的に取り組めるような環境を作ることがポイントです。
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室内遊びのアイデア
室内遊びでも、クラスの友達と一緒に楽しめる遊びがおすすめです。
頭を使って考えたり、協力し合って遊びを進めていけるような活動を取り入れてみましょう。
5歳児におすすめの室内遊びを紹介します。
- しりとり遊び
- 連想ゲーム
- ジェスチャーゲーム
- なんでもバスケット
- 椅子取りゲーム
遠足や運動会など大きな行事の後は、経験したことを元にごっこ遊びに発展させてみるのも良いでしょう。
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製作遊びのねらいは?
5歳児になると様々な技法に挑戦したり、いろんな種類の製作道具を使えるようになります。
5歳児の製作では、保育士が決めた工程を行うだけでなく子どもが主体的にに取り組めるような活動にしていくと良いでしょう。
クラスでテーマを決めて一人ひとりが自分の作りたいものを作ったり、グループで協力し合って何か一つの作品を作ったりしてみても良いかもしれません。
5歳児の製作のねらいとして意識したいものをまとめました。
- 自分なりのイメージを持ち、完成に向けて試行錯誤する
- 道具や素材の使い方を工夫し、表現することを楽しむ
- 友達とイメージを共有し合い、協力して製作する喜びを味わう
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おすすめの絵本
複雑なストーリーも理解できるようになり、絵本に込められたメッセージや楽しさも感じ取れるようにもなります。
興味関心をどんどん広げられるよう、様々なジャンルの絵本を取り入れ絵本から得られる喜びや感動をたくさん感じられるようにしましょう。
5歳児におすすめの絵本のタイトルを紹介します。
- 『バムとケロのおかいもの』
- 『ともだちや』
- 『おおきくなるっていうことは』
- 『じごくのそうべえ』
- 『おじいちゃんのおじいちゃんの おじいちゃんのおじいちゃん』
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「自分で考える力」を育てよう
5歳児の発達特徴や保育ポイント、おすすめの遊びなどを紹介してきました。
理解力や思考力が大きく育つ5歳児の保育では「自分で考える力」を伸ばす関わりがポイントです。
年長児の担任は就学前の最終年度ということもあり、プレッシャーを感じる方も多いかもしれません。
しかしますます自立に向かって成長する子どもの姿を見られたり、最後の園行事や卒園式など大きなイベントもたくさんあるので保育士としてのやりがいはひとしおです。
5歳児の発達特徴を押さえ、3月には小学校へ向けて立派に巣立っていけるよう充実した保育を行っていきましょう。