「時の記念日」子どもへどう伝える?意味や由来、時計にまつわる絵本や製作を紹介

6月10日の「時の記念日」は、時間を守る大切さを広めるために制定されました。

保育園や幼稚園などでは季節の行事の一つとして取り入れているところもあるでしょう。

しかし保育士の方の中には「時の記念日」とはどんな日なのか詳しい内容は知らない方も多いかもしれません。

この記事では「時の記念日」の意味や由来、子どもへの伝え方、時計や時間にまつわる絵本や製作などおすすめの遊びを紹介します。

「時の記念日」ってどんな日?

6月の「時の記念日」に合わせて、保育園では時間や時計にまつわるお話をしたり製作遊びをしたりすることがあるでしょう。

しかし「時の記念日」は国民の祝日ではないこともあり、あまり馴染みがなく意味や由来も詳しくは知らないという保育士の方も多いかもしれません。

ここでは「時の記念日」について、制定された歴史や日付の由来などを詳しく紹介します。

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保育士自身が行事についての理解を深めておくことで、子どもたちへもわかりやすく伝えることができますよ。

「時の記念日」の意味

6月10日「時の記念日」は大正時代に制定された日本の記念日の一つです。

日本で初めて時計を用いて時の知らせが行われたことを記念し、国民に「時間を正確に守る大切さ」を伝えることを目的として制定されました。

現代の「時の記念日」には各地でイベントやお祭りが催されており、保育園や幼稚園、小学校などでは時間の大切さを子どもたちへ伝えるきっかけとなる行事として取り入れられています。

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6月には祝日がないので、時の記念日を国民の祝日にしようという運動もあるようです。

6月10日になった理由と豆知識

「時の記念日」が6月10日になった理由には日本最古の歴史書である『日本書記』の記述が関係しています。

『日本書紀』には、10年(671年)4月25日に天智天皇が漏刻と鐘鼓を用いて日本で初めて時を知らせたと書かれています。

漏刻とは中国で発明された水時計のことで、一定のスピードで容器に水を入れて溜まった水位を見ることで時間を計る仕組みです。

旧暦の4月25日は現行歴の6月10日に当たるため、6月10日が「時の記念日」になりました。

豆知識

漏刻が導入される以前は日本では日時計が使われていました。

 

日時計は晴れた日の日中しか使えないので、天候や昼夜を問わず使える漏刻は画期的なものでした。

「時の記念日」制定の歴史

国民の祝日ではないので知らない人も多い「時の記念日」ですが、実は歴史が古く、第一回目の時の記念日は大正9年(1920年)でした。

当時の日本は西洋諸国をお手本に衣食住をはじめとする社会生活全ての近代化を進めており、国民の意識の改革も重要な課題でした。

今でこそ日本人は時間をきっちり守る国民性ですが、実は当時の日本人の時間に対する認識はとてもルーズなものでした。

なぜなら江戸時代から庶民は2時間おきに鳴る鐘の音でだいたいの時間を把握していたので、1分ごとに時計の針を見て時間を意識するといった習慣が全くなかったからです。

日本の近代化を進めて諸外国とやり取りするためには、西洋の人々と同じようにきちんと時間管理をすることが必要不可欠でした。

そこで国民の時間に対する意識を変革するため、政官界の有力なメンバーで組織された生活改善同盟会という財団法人が「時間を正確に守ること」を目標に「時の記念日」を制定したのです。

「時の記念日」の保育への取り入れ方

保育園や幼稚園では毎年6月に「時の記念日」にちなんだ遊びや製作を取り入れている園もあるでしょう。

「時の記念日」はこどもの日やクリスマスのようにメジャーなものではないので、園の活動で初めて知る子どもも多いかもしれません。

ここでは「時の記念日」の保育への取り入れ方として、子どもへの伝え方のポイントや例文を紹介します。

「時間の大切さ」を伝えよう

「時の記念日」は時間を正確に守ることを国民に啓蒙するために制定された記念日です。

保育園では子どもたちと一緒に「時間の大切さ」を改めて考えるきっかけとして「時の記念日」を取り入れてみましょう。

ただ年齢によって時間の概念や数字についての理解力は違うので、年齢に合わせて伝え方を工夫する必要があります。

乳児クラスでは時間の大切さを理解することはまだ難しいので、「時計に興味をもつ」ことをねらいにして時計についての簡単なお話をしてみましょう。

理解力が発達してくる幼児クラスでは「時間の大切さを感じる」ことをねらいに、時間について具体例を示しながらしっかりと理解できるようなお話をしましょう。

MEMO
4,5歳児クラスでは時間だけでなく数字にも興味を持てるような伝え方をしても良いでしょう。

ここからは子どもへ伝える際の例文を、乳児クラスと幼児クラスに分けて紹介します。

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「時の記念日」にまつわる絵本や製作遊びの導入として参考にしてみてください。

乳児クラスの伝え方

みんなは「時計」って知ってる?

 

〇〇ぐみさんのお部屋にもあるね。

 

長い針と短い針がチクタク動いているね。

 

時計は、みんなが遊んだりご飯を食べたりする時を教えてくれるものなんだよ。

 

今日はみんなで自分の時計を作ってみようね。

幼児クラスの伝え方

さっきはお部屋の時計の長い針が6になったから、みんなでお片付けをしましたね。

 

時計の針に合わせてお片付けができたおかげで、今からの工作の時間がたっぷりあります。

 

でももし時計がなかったら、いつお片付けするのかわからなくて困ってしまいますよね。

 

お片付けができなかったら、せっかく楽しい工作の時間もなくなっちゃいます。

 

時計を見ながら時間を守ることってとても大切なことなんです。

 

今日は「時間を大切にしよう」という呼びかけで作られた「時の記念日」です。

 

今日の工作は、みんなで自分だけの時計を作ってみましょう。

保育で使える!「時の記念日」にできる遊び

子どもたちに「時間の大切さ」を伝えた後は、時計や時間に関する遊びを設定すると良いでしょう。

遊びを通して楽しみながらながら時間や時計に親しみを持つことができます。

ここでは「時の記念日」におすすめの絵本や製作などの遊びのアイデアを紹介します。

時計にまつわる歌や遊び

時計を題材にした童謡には「とけいのうた」や「くじらのとけい」などがあります。

歌詞に合わせて簡単な手遊びや振り付けをつけて歌ってみるのも良いでしょう。

また時間にまつわる遊びとして「おおかみさんいまなんじ?」という遊びがあります。

「だるまさんがころんだ」に似ている遊びで、ルールは以下の通りです。

ルール1
・一人がおおかみ役、他は子やぎ役になり、子やぎはおおかみに時間を尋ねる。
ルール2
「おおかみさんいまなんじ?」「あさ(ひるorよる)の〇じ」「ああよかった」のやりとりを何度か繰り返す。
ルール3
おおかみが「よなかの12じ」と答えたら、子やぎはおおかみに捕まらないように逃げる。

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楽しみながら自然と時間に触れることのできる遊びなので「時の記念日」の活動におすすめです。

時計にまつわる絵本

時計にまつわる絵本を読むことで、時間や時計に興味関心を持つきっかけになるでしょう。

時計をテーマにした本のタイトルとあらすじを紹介します。

まずは『とけいのおうさま』という絵本です。

時計の国では時間を正確に守ることが一番大事とされ、全てのことの時間がきっちり決まっていました。

しかしのんびりやの王様は時間に縛られることが嫌になり、時計の針を隠してしまいます。

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色鮮やかなイラストが楽しく、時間や時計について考えさせられる絵本です。

次は『いまなんじ?』という絵本です。

おじいちゃんに腕時計を貸してもらったぼくは、時計に興味はあるけど読み方がわかりません。

針の形を見ながらおじいちゃんから時計の読み方を教えてもらいます。

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ほんわかした優しい物語で、時計に興味を持つ幼児期におすすめです。

時計の製作アイデア

「時の記念日」には時計にまつわる製作をすることが多いでしょう。

ここでは身近なもので作れる時計の製作アイデアを3つ紹介します。

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子どもの工程は担当クラスの年齢に合わせて工夫してみてください。

かたつむりの置時計

「時の記念日」がある6月は梅雨の時期なので、かたつむりをモチーフにした置時計は季節にぴったりです。

用意するもの

  • 紙皿
  • 工作用紙
  • 割りピン
  • 丸型のラベルシール
  • モール
  • クレヨンなど

工程

工程1
工作用紙を切り抜き、時計の円盤と針、かたつむりの目を作る。

工程2
時計の文字盤に1~12の数字を描き込んだ丸シールを貼る。

工程3
時計の文字盤に割りピンを使って針をつける。

工程4
子どもが絵を描いて紙皿に装飾をする。

工程5
紙皿を半分に折り曲げて立たせ、かたつむりの身体(時計の土台)にする。

工程6
折り曲げた紙皿の右上に時計の文字盤を貼り、左上にモールと目をつければ完成。

時計の文字盤は、0~3歳児クラスでは保育士が用意しましょう。

4、5歳児クラスではあらかじめ保育士が数字を書き込んだシールを子どもが文字盤に順番に貼っていくなど子どもの様子に合わせてやり方を工夫すると良いですよ。

ごっこ遊びにも使える腕時計

腕時計の製作は、作った後も遊びの中で使えるので長く楽しめます。

用意するもの

  • トイレットペーパーの芯
  • 折り紙
  • 工作用紙
  • モール
  • クレヨンなど

工程

工程1
工作用紙を切り抜き時計の文字盤を用意する。
工程2
文字盤に数字を描き入れ、モールで針を作って文字盤に貼る。

工程3
トレットペーパーの芯を切り開いて3等分する(3人分のベルト)。

工程4
折り紙に子どもが自由に絵を描く。

工程5
子どもが装飾した折り紙を芯の部分が見えないように貼る。

工程6
ベルトに文字盤を貼り付ければ完成。

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遊びで使う場合は腕にしっかりはめられるよう、輪ゴムをつけると良いでしょう。

時計の小物入れ

牛乳パックを使って置時計を作れば、ちょっとした小物入れにもなります。

用意するもの

  • 牛乳パック
  • 工作用紙
  • 割りピン
  • 色画用紙
  • シールなど

工程

工程1
工作用紙を切り抜き、時計の文字盤と針を作る。

工程2
時計の文字盤に割りピンを使って針をつけ、数字を書き込む。

工程3
牛乳パックの3辺を下側6㎝、1辺を下側12㎝ほど残して切る。

工程4
牛乳パックの柄が見えないよう色画用紙を貼る。

工程5
子どもが牛乳パックの側面にシールを貼って飾り付けをする。

工程6
長く残しておいた牛乳パックの1辺に工作用紙で作った時計の文字盤を貼れば完成。

MEMO
子どもが行う装飾は絵やシール以外にも、拭き絵やマーブリングで模様を作って貼るなどねらいや年齢に合わせて自由に考えてみましょう。

「時の記念日」には時間のありがたみや大切さ学ぼう

「時の記念日」の意味や由来、保育への取り入れ方について紹介してきました。

「時の記念日」は祝日ではないのであまり馴染みのない方も多いかもしれません。

しかし日本が近代化を遂げられたのは時間を正確に守る習慣が国民に浸透したためであり、大正時代に時間の大切さを啓蒙した「時の記念日」には大きな役割がありました。

保育で取り入れる「時の記念日」は時計や時間に興味を持ったり、時間の大切さを伝えられる良い機会です。

年齢に合わせたねらいと伝え方、楽しい製作遊びなどを通して「時間の大切さ」を子どもたちに伝えましょう。