保母さんが保育士と呼ばれるようになって久しいですが、男性保育士の働く環境は現在どうなっているのでしょうか。
保育士は低賃金と言われていたり男性保育士による性犯罪のニュースの影響で保護者から偏見を持たれてしまったりと、男性が保育士を目指すにあたり不安に思うことは多くあると思います。
この記事では男性保育士の現状について割合や平均年収、給料アップの方法などを紹介します。
また男性保育士ならではのメリットとデメリット、恋愛結婚などのプライベート事情などにも切り込みます。
男性保育士を目指している方から男性保育士として働いている方まで、ぜひこの記事を参考に自身の働き方について改めて考えてみてくださいね。
割合や平均年齢は?男性保育士の現状
保育士はかつて保母と呼ばれ、女性のみの職業でした。
1985年制定の男女雇用機会均等法によって男性の保母が増え始め、同法が大幅に改正された1999年に男女区別のない「保育士」という名称ができました。
現在に至るまで男性の保育士は増加してきていますが、実際の割合はどうなっているのでしょうか。
厚生労働省による保育士登録者数等(男女別)によると、令和2年4月の時点で男性保育士の登録者数は82,330人となっています。
これは保育士全体の人数の約5%に当たります。
厚生労働省の保育士の現状と主な取り組みの資料によると、男性保育士の平均年齢は31.9歳、平均勤続年数は6.2年です。
女性保育士は平均年齢37.0歳、平均勤続年数7.9年なので、男性保育士のほうが女性保育士よりも早くに退職してしまっていることがわかります。
コンサルタント
https://www.mhlw.go.jp/content/11907000/000672997.pdf#page=39 (保育士の現状と主な取組)
男性保育士が少ない理由
男性保育士は増えてきていると言え、まだまだ少ないのはなぜでしょうか。
同じように女性の職業とされてきた看護師の場合も男性は少ないですが、男性保育士よりは割合が高くなっています。
同じような女性がメインの職場、ケア的な労働であるにも関わらず差がついている大きな理由として考えられるのは給料です。
保育士は仕事内容のわりに給料が低く、男性保育士も例には漏れません。
給料の低さから将来的な不安を感じてせっかく保育士なってもすぐに辞めてしまう、もしくは初めから保育士を目指さない男性が多いのだと考えられます。
男性保育士の年収
厚生労働省の保育士の現状と主な取り組みの資料によると、男性保育士の平均年収は389.2万円となっています。
女性保育士の平均年収は362.1万円となっているので、僅かながら男性保育士の方が高くなっています。
一方、全職種の男性の平均年収は561万円です。
男性保育士は全職種より平均勤続年数が7.6年少ないのでその差もありますが、年収が良いとは言い難いです。
給料アップの方法は?
男性保育士の給料は他の職種に比べると低い現状にありますが、自らスキルアップを図ったり出世を狙ったりすることで給料アップさせる方法もあります。
例えば以下のような方法です。
- キャリアアップ研修に参加する
- 園長など管理職を目指す
- 公務員試験を受けて公立の保育士になる
保育士は役職が少なくキャリアアップが難しい問題がありましたが、近年政府によって保育士のキャリアアップの道筋が新たに整備されたのでそれを活用するのも良いでしょう。
キャリアアップ研修についてはこちらの記事も参考にしてみてください。
給料アップが叶う!?保育士の処遇改善加算をわかりやすく解説!保育士の公務員試験についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
公務員保育士は本当に待遇が良いの?仕事内容、給料を私立と比較!採用試験の説明も男性保育士のメリット
男性保育士には男性保育士ならではのメリットが多くあります。
園は女性保育士のみでなく男性保育士の考えや良い点を柔軟に取り入れることで、より幅の広い保育を行うことができるでしょう。
では、具体的に男性保育士のメリットにはどんなものがあるのでしょうか。
ここでは5点に分けて紹介していきます。
ダイナミックな遊びができる
男性と女性では一般的に基礎体力に差があります。
特に年長の男児の遊びの場面では、女性保育士だけでは園児が物足りなさを感じてしまうこともあるかもしれません。
男性保育士がいることで、ドッヂボールや鬼ごっこなどの遊びがよりスリリングに発展したり、体の大きな園児を軽々と抱き上げることができたりと、ダイナミックな遊びが可能になります。
男児のトイレの介助ができる
保育園では身辺自立の一つとして排泄の援助もあります。
男性の保育士がいることで男児の排泄援助や指導をよりスムーズに行うことができるでしょう。
また遠足などで外のトイレを使用する際、女性保育士は男子トイレに入りにくいという問題があります。
男性保育士がいると男子トイレの介助は男性保育士に任せられるので子どもも安心です。
男性保護者の相談相手になれる
近年は男性の育児参加が進み、保育園の送迎や行事に参加する父親も増えました。
毎日の送迎は保育士と保護者がコミュニケーションを交せる貴重な機会です。
しかし異性の保育士相手には相談ごとなどを話しづらいと感じる保護者の方もいるかもしれません。
男性保育士がいれば男性の保護者の相談相手として活躍できるでしょう。
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保育士
力仕事や防犯面で心強い
保育園では園庭の整備や行事の準備片づけ、運動用具の移動など力仕事が多くあります。
重いものを運ぶ機会もよくあるので、男性の手があると助かります。
また不審者対策や災害時などに、男性保育士がいると心強いと感じる女性保育士や保護者もいます。
男性全員が腕力や防犯面で自信があるというわけではないかもれませんが、保育園は女性が多い職場なので頼りにされる機会が多いでしょう。
男性保育士の存在自体がメリット
今でも保育士は女性が圧倒的多数を占めています。
しかし子どもにとっては家庭に父親と母親がいるように、保育園でも男性保育士と女性保育士がいる環境の中で育つことのほうが自然だと考えられます。
なぜなら男性保育士と女性保育士がいることで、それぞれ異なる側面から子どもの成長を促すことができるからです。
男性保育士の存在で、園児を取り巻く人的環境がより良いものとなるでしょう。
また最近はシングルマザー(ファザー)の家庭も増えてきています。
シングル家庭の子どもは普段の生活で大人の男性(女性)に接する機会が少なく、保護者とは違う性の大人に苦手意識を持っている子もいます。
保育園に男性と女性の保育士がいることで保護者と違う性の大人と関わる機会を持つことができ、良い影響になることでしょう。
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男性保育士のデメリットとその対策
男性保育士がいることで子どもの育ちや保育により良い影響を与えることができます。
しかしやはり保育園は女性保育士が大半を占める職場で、そのため男性保育士だからこそ起こりうるデメリットもあります。
ここでは男性保育士のデメリットについて4点紹介し、同時に解決策や対策などもお伝えしていきます。
いじめもある?女性に囲まれる人間関係
男性保育士はまだまだ少数派なので、男性保育士は1人だけといった園も少なくはないでしょう。
いくら社交的なタイプの人でも、女性ばかりのなかに男性1人では居心地の悪さを感じることがあると思います。
中には男性保育士にきつく当たってくる女性保育士もいるかもしれません。
しかし本当は男性保育士と一緒に仕事をすることに慣れていないために「男性保育士は何を考えているかわからない」と壁を作られている可能性があります。
他の保育士から信頼してもらうためには毎日の仕事を真面目にこなすことが一番大切です。
また比較的女性のほうが細かな気遣いができるタイプが多いので、男性保育士は気が利かないと思われしまっていることもあります。
普段の休憩時間や行事の準備の際など、周囲の様子をよく見て自ら積極的に動くようにしましょう。
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男性保育士=危険、問題という保護者の目
男性保育士による性犯罪のニュースを目にすることがあります。
そのような事件の影響で、男性保育士には女児の着替えやトイレの介助はさせないでほしいと要望する保護者もいます。
性犯罪を侵すような男性保育士は一部なのに男性というだけで保護者から危険視されると気持ちの良いものではないですが、大切な我が子を預ける保護者が不安に感じるのも仕方ありません。
安心して子どもを預けてもらうためには普段からの保育や振る舞いで保護者から信頼してもらうことが大切です。
子ども一人ひとりのことを保育のプロの視点で丁寧に見守っていることが伝われば、保護者の警戒を解いて信頼してもらうことができるでしょう。
環境が整備されていない園も
保育園は今まで女性が働く職場とされてきました。
そのため男性職員用の更衣室がないなど男性が働く環境が整備されていない園もあります。
しかし現在は保育士不足で男性保育士の需要の増加も見込まれています。
また社会的にもジェンダー平等の流れになってきており、これからも男性保育士は増えていくと思われます。
今後は男性保育士も働くことを想定した保育園が増えてくると考えられます。
将来が不安
男性保育士は平均年齢が若く、早期に退職してしまう傾向にあります。
そのため園にロールモデルとなる先輩の男性保育士がおらず、将来的にずっと続けていける仕事なのか不安に感じてしまう方も多いでしょう。
また保育士は他の仕事と違って目に見える数字がないため仕事のモチベーションが上がりづらい面もあります。
しかし男性保育士は少ないながらも昔と比べれば確実に増えており、保育士賃金底上げのための政策が行われているので将来的には今よりも賃金は改善されていくでしょう。
また目に見える数字がないというのも考え方を変えれば目に見えるノルマには負われないというメリットにもなります。
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男性保育士の恋愛、結婚事情
ここからは気になる男性保育士の恋愛、結婚事情です。
保育士は女性の多い職場のため、男性保育士はモテるのでは?と気になる方もいるでしょう。
確かに出会いのきっかけは多そうですが、本当に男性保育士はモテるのでしょうか。
男性保育士の出会いや結婚まで、詳しく見ていきましょう。
男性保育士の性格は女性に人気?
保育士になる方の性格は男女問わず、子どもが好きで責任感の強い真面目な方が多い傾向にあります。
小さな子どもと接する仕事のため、男性保育士は他の業種の男性に比べ小さなことに気が付いたり優しい性格であったりする方が多いでしょう。
お付き合いをする中で、女性の小さな変化に気付いたり重い荷物を持つなどさり気ない気遣いができることは非常に好印象です。
一緒にいると癒され、落ち着けるような優しい性格も魅力的でしょう。
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パートナーとの出会いは?
男性保育士は女性の多い職場のため出会いの機会は比較的多いでしょう。
同じ職場の女性保育士が男性保育士の子どもに優しく接する姿や力仕事をこなす男らしい姿を見て惹かれることもあるようです。
しかし園によっては仕事への影響を懸念して職場恋愛を禁止している場合もあるので注意が必要です。
保護者との出会いもありますが、既婚者はもちろんシングルマザーであってもトラブル防止のため保護者との恋愛は基本的に禁止されています。
男性保育士は家庭は持てる?
男性保育士は他の職種比べて給料が低いため、家庭を築いていけるのか不安な方も多いかと思います。
確かに男性保育士1人の稼ぎで妻と子どもを養っていくことは難しいかもしれません。
しかし最近は共働き家庭が増えてきており、結婚や出産も経ても仕事を続けたいと考えている女性も多くいます。
夫婦2人で働くのであれば、男性保育士の給料でも十分家庭を持ってやっていけるでしょう。
結婚後も男性保育士を続けていく場合は仕事も家事育児も夫婦で上手く分担していくことがポイントです。
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男性保育士の転職事情
男性保育士として働く中で、給料や労働環境について今の職場に不満が出てくることもあるかと思います。
保育士は専門職のため転職市場が活発であり、人手不足も手伝って退職しても次の職場が見つかりやすい傾向にあります。
では男性保育士の転職は具体的にどんな風に進めれば良いのでしょうか。
ここでは男性保育士に多い悩みに着目して紹介します。
給料アップが狙える園
男性保育士が一番不満に感じやすいのが給料面です。
保育業界自体があまり給料が高くありませんが、中には好待遇の園もあります。
政府によって支援されている賃金改善を適切に行っている園なども保育士の給料や手当が充実しているでしょう。
夜勤勤務のある園は夜勤手当がつくためその分給料アップが見込まれます。
また株式会社が運営している保育園は管理職のポストが比較的多く、キャリアアップの可能性が高くなります。
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男性保育士が働きやすい園
初めての男性保育士として採用された場合などは男性保育士が働く環境や他の保育士の受け入れ体制が整っておらず、働きにくさを感じてしまうかもしれません。
もちろん多くの園で男性保育士が勤務することで今後の男性保育士の活躍を広げていくことも大切ですが、開拓者の立場だと大変なことも多いかと思われます。
「男性保育士歓迎」や「男性保育士活躍中」など自分の他にも男性保育士がいる園や受け入れ体制が整っている園を探すことで働きにくさを改善できる可能性があります。
また、転職を考えている男性保育士の方はぜひベスト保育をご利用ください。
専任のコンサルタントがご希望の条件に合わせた職場をご紹介します!
他業種へ
- 男性保育士として働いていく未来が見えない
- 将来がどうしても不安
- 他の仕事も経験してみたい
こんな風に感じる方は保育士以外の仕事に挑戦してみましょう。
保育士は子どもをみること以外にもコミュニケーション力や事務処理力、行事の企画遂行力など様々な力が身に付きます。
そのような保育士の経験は他の仕事をする時にも生きてくるでしょう。
男性保育士は子どもの育ちに必要な存在
男性保育士の現状について、割合や平均年収、メリットデメリット、恋愛事情などまで詳しく見てきました。
男性保育士は昔に比べれば増えてはきていますが、未だに女性保育士が大多数であるのが現状です。
給料の低さや保護者からの偏見など男性が保育士を続けていく道は未だ容易いものではないかもしれません。
しかし男性保育士がいることで、子どもの遊びや保育の幅が広がるなどメリットも多くあります。
子どもたちが男性と女性両方の保育士に支えられて育つことは人的環境として望ましいと言えるでしょう。
給料に関してもキャリアアップを試みたり、待遇の良い園に転職したりと選択の幅は広まっています。
ジェンダー平等社会や保育士不足など社会の影響もあり、今後男性保育士の需要は増えていくと思われます。
子どもが好きで保育士を目指している男性は自信を持って積極的にチャレンジしていきましょう!