迷っている保育士必見!目標設定と振り返りのコツとポイントまとめ

迷っている保育士必見!目標設定と振り返りのコツとポイントまとめ

年に1~2回、人事や上司から求められる保育士の目標設定。

しかし、そもそも目標を立てる目的や必要性を理解していない保育士さんは意外に多いのではないでしょうか。

また、ただでも保育業務や書類作成に追われている中で目標を立てるとなっても、保育士からは以下のような声があるのも事実です。

保育士の本音
  • 「正直困る」
  • 「面倒くさい」
  • 「とりあえず当たり障りなく立てればいいかな」

この記事では、目標設定と振り返りのポイントをご紹介します。

あわせて、経験年数に応じた目標設定の具体例もご紹介しますので、是非参考にしてくださいね。

保育士が目標を立てる目的や必要性

保育士はなぜ目標を立てる必要があるのでしょうか。

中には、「とりあえず園長に立てるよう言われたから」という方もいるでしょう。

ここでは、保育士が目標を立てる目的や必要性を詳しくご紹介します。

目標設定の目的を理解して適切な目標を立てましょう!

経営者や管理者が組織を運営していく上で必要だから

保育士が目標設定をする目的の一つに組織の運営上必要というが挙げられます。

具体的には以下の2つです。

保育園全体の目標を達成するため

管理者が保育士に目標を設定させる目的の一つは、保育園全体の目標を達成するためです。

保育園はチームで保育をしているため、一人だけが目標を立てても意味がありません。

例えば、保育園全体の目標が『安全に保育園を運営する』だった場合で見ていきましょう。

安全に保育園を運営するという目標は一つであっても、役職や担当によって役割はそれぞれ異なります。

まず主任や管理職は、保育士全員が同じ考え方を持ちブレずに安全に保育ができるよう、危機管理マニュアルなどを作成し保育士に指導します。

また、指導するだけでなく環境の見直しや人員の配置など、常に保育園全体を見て現場を整える必要もあるでしょう。

一方、クラス担任を持つ保育士は、ベースとなるマニュアルを理解し、主任や先輩からの指導の下、日々安全に保育をします。

つまり、保育園全体の目標を達成するためには、目標をブレイクダウンしてそれぞれが役割を全うする必要があるのです。

組織全体で目標を達成できるよう、また、方向性のズレが生じないよう目標を設定しなくてはなりません。

人事・自己評価のポイントになるため

管理者が保育士に目標を設定させる2つ目の目的は、人事評価に活かすためです。

人事や管理者は、年度末の自己評価や振り返りなどで以下のことを評価します。

人事や管理者が年度末に評価すること
  • 保育士が保育園のためにどれだけ貢献したか
  • 保育士がどれだけ目標を意識し達成できたか

これらの評価は、昇給やボーナス査定のUP、役職が上がることにも繋がってきます。

保育士は、営業成績のように形で成果が分かりにくい分、目標設定し保育をした結果が、上司の評価につながることもあるのです。

保育士としてスキルアップするため

目標を立てる目的には、保育士としてスキルアップするためという理由があります。

日々の保育に追われていると、客観的に自分を振り返る機会がないという方も多いでしょう。

そこで、目標を立て保育をすることで以下のことが見えてきます。

目標を立てて保育すること
  • 自分には何が足りないのか
  • どうすれば達成できるのか

そして、目標を達成するために、意識しながら保育をしたり、研修に参加したり、自ら学んだりすることで保育士としてのスキルアップにもつながるのです。

仕事のモチベーションを高めるため

目標を立てることは、仕事のモチベーションを高めることにもつながります。

保育士の仕事は、子どもを保育するだけでなく、行事や係の準備、事務作業、後輩育成などさまざまです。

日々の業務に追われながらも、目標像や目指すべきゴールが決まっていれば、毎日の仕事にもやりがいが出てくるでしょう!

さらに、細かい目標を設定し達成していくことで、未来の自分をイメージしやすいため、保育士を続けたいという理由が生まれ、離職率も低くなるでしょう。

保育士が目標設定をするためのポイント

保育士として目標設定の必要性や目的は理解はできても、具体的にどのように目標を立てれば良いか分からないという方も多いのではないでしょうか?

ここからは、目標設定をするためのポイントをご紹介します。

今の自分を振り返る

目標を設定するには、今の自分の状況やスキルなどを振り返りましょう。

今の自分を知らなければ、目標ややるべきことが曖昧になってしまいます。

以下の2つを書き出すことで、自分の課題や今後の目標が見えてくるでしょう。

今の自分を振り返る
  • 今の自分には何ができるか
  • 今の自分には何ができないか

他の人の評価やアドバイスを参考にする

より自分に合った目標を立てるためには、他の人の評価やアドバイスを参考にするのも一つです。

自分では見えなかった部分を知ることができたり、客観的なアドバイスももらえることもあります。

また、先輩保育士の目標の立て方なども一緒に聞けると参考になることがあるかもしれません。

将来的な大きな目標とすぐにできる小さな目標を設定する

目標を設定する際は、大きな目標と小さな目標の両方を設定するのがポイントです。

まずは大きな目標を立てた上で、実現するための小さな目標を立てましょう。

大きな目標だけを立てると、そこまでのステップが分からず、実現できなかったり、先が見えず心が折れてしまったりしがちです。

すぐにできる小さな目標を設定し、一つ一つ実現していくことで、将来的な大きな目標も無理なく達成できるでしょう!

実現できる目標を設定する

『目標』というと、簡単には実現できないような大きな目標を設定する方も中にはいます。

目標を高く持つことは決して悪いことではないですし、むしろ素晴らしいことです。

しかし、せっかく立てた目標が実現できなかった場合、自信を失ったり、モチベーションが下がったりすることも考えられるでしょう。

設定した目標が実現できると、達成感や自信にもつながり、次へのステップアップにもつながります。

上記でもご紹介しましたが、実現できる小さな目標の積み重ねが大きな目標になります。

小さな成功体験を積み重ねて自分のモチベーションアップにつなげていきましょう!

自分の強みをさらに伸ばせる目標を入れる

目標=自分の苦手なことではありません。自分の強みをさらに伸ばすことで、より魅力的な保育士になるでしょう!

苦手なことやできていないところばかりを考えるのではなく、自分の得意なことや、今の自分をさらに磨けるような目標を設定するのもおすすめです。

【経験年数別】保育士の目標設定の具体例

保育士は、経験年数や役職によって設定する目標は異なります。

ここでは、経験年数別で保育士の目標設定の具体例をご紹介しますので、ぜひ参考にしてくださいね。

新人(1年目~2年目)の目標

ここでは新人と呼ばれる1年目と2年目の具体的な目標例をご紹介します。

【仕事に慣れることを目標にした例】

  • 日常の保育業務を一人でできるようにする

保育士の仕事は、子どもを保育することだけではありません。

鍵の戸締りや掃除、電話の対応や書類作成など雑務や事務まで覚えることが沢山です。

はじめは、先輩保育士に聞きながらやったり、覚えるまで時間もかかったりすることもありますが、徐々に漏れなく覚えて一人でできるようにならなくてはなりません。

【チームワークを目標にした例】

  • 報告・連絡・相談を意識して仕事をする

保育園はチームワークが大切であり、先輩保育士、主任、園長に対しての報告・連絡・相談は欠かせません。

こまめに相談することで、保育環境が早急に改善できたり、大きな事故やトラブルを防いだりすることにもつながります。

また、報連相は保護者に対しても同様で、保育の活動や子どもの様子を伝えたりコミュニケーションをとっていく上で大切なことです。

スムーズに業務を進めていく上でも、信頼関係を構築する上でも報連相は重要になるため、新人のうちにしっかり身に付けられるよう目標にしましょう。

【スキルアップを目標にした例】

  • 毎週1つは新しい手遊びを覚えて子どもの前で実践する

子どもの笑顔や嬉しい表情を見たいから保育士になったという人は多いと思います。

手遊びをきっかけに子どもとの信頼関係が築けたり、子どもの楽しそうな姿を見れたりと大きなやりがいにつながるでしょう。

また、新人の場合は行事係などでリーダーを任されることは少ないため、まずは手遊びや童謡、折り紙などを覚えて、日常の保育で実践できる機会を作るのがベストです。

そのような経験を積み重ね、慣れておくことで、いざ全体の行事係になった時にも活かせるでしょう。

中堅(3年目~7年目)の目標

経験年数が3年~7年になると中堅保育士になります。新人保育士とは異なる役割を意識し、目標設定を行いましょう。

【保育の質の向上や組織を意識した目標の例】

  • 園の保育方針に沿った保育を実践する

中堅保育士になると、先輩保育士の指示を待たずとも自分で考えて行動することが求められます。

また、園の保育方針や理念を理解し保育に落とし込み、実践していくのも中堅保育士として意識したい部分です。

これまで実践してきた、子どもの安全や健康といった基本的な保育から、保育の質を高めるためのもう一歩踏み込んだ保育の実践が求められるようになるでしょう。

【後輩の指導を意識した目標の例】

  • 後輩保育士の人材育成を行う

中堅保育士になると、指導してもらう立場から、指導する立場になります。

園の保育理念や方針を正しく伝え、指導していきつつ、保育をする中で出てくる後輩保育士の悩みや課題に丁寧に寄り添いアドバイスをしていくことも中堅保育士の役割です。

指導するだけでなく、後輩保育士が気軽に相談できる環境や機会を常に作ってあげることにも力を入れていきましょう!

ベテラン(8年目以降)の目標

経験年数が8年目になるとベテラン保育士として主任や園長へのキャリアアップを考え始める方も多いでしょう。

マネジメントを含め、園全体を支え指導する立場としての目標設定を行いましょう。

【チームワークを考えた目標の例】

  • 現場の改善点を見つけて現場チームに共有する

ベテランになると後輩保育士の指導だけでなく、チーム全体の課題を見つけ共有し改善していけるよう行動する力も必要になるでしょう。
以下のような、園全体に目を向けた目標の設定をしましょう!

園全体に目を向けた目標
  • よりよい職場環境を作っていくにはどうしたら良いか
  • よりよいチームワークを作るにはどうしたら良いか

【マネジメントを目標にした例】

  • マネジメントや保育に関する研修に参加したり本を読んだりして実践する

保育士として8年目のベテランになると、主任として全体をまとめる立場になることもあるでしょう。

そうなると今まで以上に保育の知識やマネジメントスキルが必要になります。

新しい知識をインプットし、良いチームを作っていけるようにしましょう。

フリー保育士の目標

保育園では、特定のクラスの担任ではなく、園全体の保育補助に入るフリー保育士という役割があります。

クラス担任にはない視点で目標を設定しましょう。

【自分の役割を意識した目標の例】

  • 全体を見れる広い視野を持って保育をサポートする

フリー保育士は、常に全体を見る力が必要になります。

担任保育士が必要とするサポートに入ったり、全体を見ながら雑務をこなしたりする必要もあるでしょう。

子どものちょっとした変化や保育士の発言に気付く力も求められます。

【職場のコミュニケーションを目標にした例】

  • 担任保育士と積極的にコミュニケーションをとる

フリー保育士にとって最も必要なことは、担任保育士と積極的にコミュニケーションをとることです。

コミュニケーションが不十分だと、認識のズレが起きたり、保育をスムーズに進めていくことが難しくなります。

また、最悪の場合だと連携不足がきっかけで子どもの怪我やトラブルにつながることもあります。

担任保育士からの指示を待つのではなく、自ら積極的にコミュニケーションをとるのがフリー保育士には大切なことです。

保育士の目標設定後の自己評価

目標設定し実践した後は、しっかり振り返りをしましょう。

ここでは自己評価の目的や方法などご紹介します。

自己評価をする目的

目標設定し、実践後は自己評価をすることで、足りない部分が見え、成長を実感することができます。

また、年間を通して自己評価をするタイミングを何度か作ることで、段階を踏んでステップアップできていることも感じられるでしょう。

モチベーション維持ややりがいを持つ意味でも自己評価をすることは大切なことです。

自己評価の方法やタイミング

効率良く、自己評価を行う方法として、『目標管理シート』を使う方法があります。

目標管理シートを使えば、目標設定から自己評価までをスムーズに行うことが可能です。

自己評価のタイミングとしては、長期的な目標の振り返りを3ヶ月に1度。

さらに中期的な目標を週に1度、短期的な目標を毎日行うのがベストです。

その都度振り返りを行うことで、達成度や反省に応じて目標を修正すると良いでしょう。

慣れるまでは大変に感じてしまうかもしれませんが、徐々に自分の成長を実感できるため、モチベーションにもつながっていきます。

自己評価をする上での注意点

自己評価の注意点としては、自分の偏った考えが出てしまう場合があることです。

そのため、自分が気付いていないことや間違った認識のまま進めてしまうリスクもあるでしょう。

ポイントとしては自分で評価するだけでなく、上司や先輩保育士、後輩保育士に客観的に評価やアドバイスをもらうのも一つです。

具体的なアドバイスから新しい発見や参考になることも出てくるかもしれません。

人事・自己評価シートの書き方のポイント

年度終わりに書くことが多い人事・自己評価シートの書き方のポイントをご紹介します。

最初の『保育士が目標を設定する目的や必要性』でもお伝えしましたが、管理者や経営者は、『保育園全体の目標に対してあなたがどのように貢献したか』を見て評価をするでしょう。

そのため、個人的な目標だけでなく、『園全体のために何を意識してどのように保育を行ったか』という点も意識して書くと良いでしょう。

(例) 『子どもの気持ちに寄り添う保育を実践する』が園全体の目標だった場合

私はこの一年間、園の目標でもある、子どもの気持ちに寄り添った保育を実践しました。

保育園は集団生活の中で時間で活動が決まっているため、なかなか一人ひとりに寄り添えないこともあります。

以前は、子どもが靴を履くのに時間がかかっていた場合、「早く履かないと遅れるよ」「もう先生行っちゃうからね」と保育士都合で声を掛けてしまったり、急かしたり、子どもの気持ちも聞かずに勝手に履かせてしまうこともありました。

しかし、それは子どもの気持ちに寄り添った保育とは言えません。

この一年間は、「自分で靴履きたい?」「先生がちょっと手伝う?」など子どもに選んでもらったり、時には見守ったりと、子どもの気持ちに寄り添った保育の実践を心掛けました。

結果的に、クラスの子ども達との信頼関係を築くことができ、クラスの雰囲気も以前よりも落ち着き、トラブルも減りました。

保育士としての目標を設定しスキルアップを目指そう!

目標を立てることは一見、面倒に感じる方も多いと思いますが、保育士としてスキルアップするためにも、モチベーションを維持するためにも大切なことです。

また、設定した目標に対して自己評価をすることで、自分に何が足りないのかが見えてきたり、成長を実感することもできます。

今回ご紹介した目標の具体例を参考に、保育士として、より成長できるよう目標を立てて保育をしていきましょう!