病児保育とは病気の子どもを一時的に預かって保育する事業のことです。
共働き世帯の増加で病児保育のニーズは年々増加しており、少人数で子どもとじっくり関わることのできる病児保育士は保育士の職場としても人気です。
しかし病児保育に興味はあっても、病児保育の具体的な内容や病児保育士の働き方などについて詳しく知らない方も多いかもしれません。
この記事では病児保育の定義や事業の種類、利用方法や病児保育士の仕事内容や必要資格、給料などについて紹介します。
病児保育の定義
病児保育とは、子どもが病気になった時に家庭保育が困難な保護者に代わって保育士や看護師などが保育や看護をする事業です。
一般的に37.5℃以上の発熱がある場合やインフルエンザやおたふく風邪などの感染症にかかった場合は保育園など集団保育の場に預けることができません。
近くに祖父母などの頼れる人がおらず仕事も急に休めない場合に、病気の子どもを一時的に保育することで保護者が安心して子育てができる環境を用意することが病児保育の目的です。
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病後児保育との違い
病後児保育とは病気からの回復期にある子どもを預かる事業です。
病気からの回復期とは、発熱は引いたが咳がひどい場合や感染症の出席停止期間を過ぎても症状が治まらない場合などのことです。
病児保育事業の類型
病児保育事業は「病児対応型・病後児対応型」「体調不良児対応型」「非施設型(訪問型)」 の3つの類型に分かれています。
実施主体は全て市町村(特別区を含む)又は市町村が適切と認めた者とされていますが、具体的な保育内容や人員配置などの実施要件などはそれぞれ異なります。
ここでは病児保育事業の3つの類型について詳しく紹介します。
病児対応型・病後児対応型
病児対応型・病後児対応型は、病院や保育所等に付設された専用スペース等において看護師や保育士が一時的に保育する事業のことです。
当面症状の急変は認められないけれども、集団保育が困難であり、かつ保護者の勤務等の都合により家庭で保育を行うことが困難な場合に利用できます。
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人員配置など預かり基準
人員配置基準は以下の通り定められています。
- 看護師等:利用児童おおむね10人につき1人以上配置
- 保育士:利用児童おおむね3人につき1人以上配置
※一部例外有り
預かる施設は、病院・診療所、保育所等に付設された専用スペースまたは病児(病後児)保育事業のための専用施設等です。
施設内には、保育室および児童の静養または隔離の機能を持つ観察室、または安静室を有すること等が定められています。
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参考:https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/R2gaiyo.pdf#page=4 (病児保育事業の実施状況の推移)
体調不良児対応型
体調不良児対応型は、子どもが保育中に発熱するなど体調不良となった時に、安心かつ安全な体制を確保しながら預かる事業のことです。
他にも保育園に通う子どもに対する保健的な対応や、地域の子育て家庭や妊産婦等に対する相談支援を行う役割があります。
病児対応型・病後児対応型と違い、基本的に体調不良児対応型事業を実施している園に通う子どものみが対象です。
人員配置など預かり基準
人員配置基準は以下の通り定められています。
- 看護師等を常時2名以上配置(預かる体調不良児の人数は、看護師等1名に対して2名程度)
保育所の医務室、余裕スペース等で、衛生面に配慮されており、対象児童の安静が確保されている場所で行われます。
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参考:https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/R2gaiyo.pdf#page=4 (病児保育事業の実施状況の推移)
非施設型(訪問型)
非施設型(訪問型)とは、体調不良の子どもの家庭へ保育士や看護師が訪問して一時的に保育する事業のことです。
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人員配置など預かり基準
人員配置基準は以下の通り定められています。
- 一定の研修を受けた看護師等、保育士、家庭的保育者のいずれか1名に対して、1名程度
高い専門性が必要かつ子ども一人につき職員が一人必要となるため、事業実績は伸びているとは言えず事業の拡大は今後の大きな課題となっています。
病児保育の利用方法
現在実施されている病児保育には3種類あり、それぞれ内容や対象児が異なっていることがわかりました。
では実際に病児保育を利用するときにはどのような手順が必要なのでしょうか。
病児保育の利用方法や料金は自治体によって異なるので、ここでは一般的な流れを紹介します。
預ける流れや料金
病児保育に預ける一連の流れをまとめました。
利用料金は1日8時間預けて2000円~3000円ほどの自治体が多いようです。
保育料の他におやつなど食事代がかかる場合や、延長した場合は延長料金が加算される場合もあります。
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病児保育で働く保育士
共働き世帯の増加で病児保育のニーズは年々上昇しており、病児保育で勤務する保育士の需要も増加しています。
保育士としての就職先の選択肢として病児保育に興味はあっても、具体的な仕事内容や必要資格、給料などについては詳しく知らない方も多いかもしれません。
ここでは病児保育で働く「病児保育士」の働き方について紹介します。
必要資格は保育士or看護師資格
保育士または看護師資格があれば病児保育施設で働くことが可能です。
つまり保育士資格を所持している保育士の方であれば、病児保育士として働くために新たに資格を取得する必要はありません。
体調不良の子どもを対象とするため子どもの病気についての知識や子育て経験があると即戦力になれるでしょう。
専門的な民間資格もあり
病児保育に関する専門性を深めたい、自分のスキルを磨きたいといった方には病児保育に関する民間資格を取得することをおすすめします。
病児保育の民間資格には以下のものがあります。
- 認定病児保育スペシャリスト
- 認定病児保育専門士
- 医療保育専門士
認定病児保育スペシャリストは日本病児保育協会が認定する資格で、 保育士の資格を持っていなくても受講可能です。
認定病児保育専門士は全国病児保育協議会が認定する資格で、病児・病後児保育室に勤務する保育士・看護師が対象となっています。
医療保育専門士は日本医療保育学会が認定する資格で、入院している子どもの遊びや保育を行う医療保育に携わる方向けの資格です。
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主な仕事内容
病児保育士の主な業務内容を以下にまとめました。
- 食事やおやつの介助
- 日中の保育や看護
- 服薬の管理
- 保護者対応
- 室内の消毒・衛生管理など
体調不良の子どもを相手にするので絵本や室内用おもちゃなど静かに過ごせる遊びを行います。
一日を通して体調に変化はないか丁寧に観察し、何か変わったことがあれば連絡票へ記入したり保護者へ口頭で伝えます。
必要があれば病院へ付き添い医師の診察を受けることもあります。
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勤務先は専門施設や病院など
施設型の病児保育の場合は、病児保育施設や病院に併設された病児保育スペースなどで保育を行います。
非施設型(訪問型)は基本的に子どもがいるお宅に訪問して勤務します。
対象年齢は乳幼児~就学前、または施設によって小学6年生まで受け入れているところもあります。
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病児保育士のメリット
一般的な保育園と違い、病児保育では保育士1人につき子どもが3人(非施設型は1対1)なので、少人数でゆったりと保育を行えることが大きな魅力です。
行事やイベント、製作物がないので残業や持ち帰り仕事などもほとんどなく体力的な負担は少ないでしょう。
子どもの病気や看病などに関する専門性を高めることができるので保育士としてのスキルアップにも繋がります。
また、病児保育の特性上、子どもや保護者の顔ぶれや保育内容が毎日違うので、日々頭と気持ちをリセットして働けることもメリットの一つです。
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病児保育士のデメリット
病児保育は体調不良の子どもを預かる仕事なので、急に容態が悪化した際に適切な対応が必要になるなど働く上でのプレッシャーは通常の保育園の保育士よりも大きいでしょう。
子どもから風邪や感染症をもらわないよう、自身の体調管理や感染予防は徹底的に行う必要もあります。
また毎日違う子どもを見るので、継続的に成長を見守るやりがいは感じることができないのもデメリットの一つです。
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給料事情
病児保育士の給料事情について見ていきましょう。
地域や施設にもよりますが、病児保育士の月給の相場は20~26万円、時給の相場は1000~1400円ほどです。
給料に関しては一般的な保育園の保育士とほぼ同じくらいと考えて良いでしょう。
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求人の探し方
病児保育のニーズは年々高まってきており、同時に病児保育士の需要も増えています。
しかし一般的な保育園に比べると施設数は少ないので、自分に合った求人を見つけ出すことが難しいかもしれません。
そのため病児保育士の求人探しには転職サイトを利用することをおすすめします。
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病児保育は今の時代に欠かせない大切な仕事
病児保育の定義や種類、病児保育士の働き方などについて紹介してきました。
共働き世帯や核家族の増加で、病児保育は現代社会に欠かせない大切な仕事になっています。
病児保育で働く病児保育士は体調不良の子どもが安心して過ごせるように保育を行い、保護者をサポートすることが主な業務です。
看護師や医師と連携して病気の子どもを見守るので、一般的な保育園の勤務だけでは得られない知識やスキルを身に付けることもできます。
今後も病児保育のニーズは高まっていくと考えられるので、病児保育に興味のある方はぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。