保育士の仕事内容は多岐にわたり、その中でも保護者対応は避けては通れない業務です。
良好な関係を築きたいという気持ちは持っていてもなかなかうまくいかず、保護者対応を負担に感じていたり苦手意識を持っている方も多いかもしれません。
この記事では保育士の保護者対応で大切にしたいことや、筆者が実際に保育士として働いていた経験から保護者対応でよくある事例と対応方法を紹介します。
また保護者対応が辛いと感じたときの対処法についても解説します。
保護者対応に不安を感じている方や悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。
保育士の保護者対応で大切なことは?
保護者対応は保育士の仕事の中でも大切な業務の一つです。
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では保護者対応を行う際に押さえておくべきポイントとは何でしょうか。
ここでは保護者対応で大切にしたいこととして、トラブルの原因からクレームの対処法、保護者対応のコツを順番に紹介します。
対応に失敗してトラブルに発展する原因
保護者対応で発生するトラブルの多くは、保育士と保護者の信頼関係が崩れてしまっていることが根本的な原因になっています。
信頼関係を築くまでは時間がかかりますが、崩れてしまうのは一瞬です。
そのため常日頃から保護者から信頼してもらえるような対応を心掛けることが大切です。
ここでは保護者対応に失敗してトラブルに発展する原因について4点紹介します。
曖昧で頼りない対応
例え新人や臨時職員、パートであっても、保護者から見れば全員プロの保育士です。
大切な子どもを預けているのですから、プロとして頼れる保育士を必要としています。
送迎の際に子どもの様子を聞いても通り一遍な対応であったり、おどおどして曖昧な受け答えしかできないと「この保育士さんに預けて大丈夫だろうか」と不信感を持たれてしまうかもしれません。
一度不信感を抱くと些細なことでも不安になり、トラブルに発展してしまう可能性があります。
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子ども同士を比べる発言
保育士は毎日複数人の園児を同時に見ていますが、その一人ひとりが保護者にとってかけがえのない大切な存在です。
園での様子を伝えるときに「Aちゃんだけできなかった」「Bくんみたいにできるといいね」など他の子どもと比べる発言をしてしまうことは避けましょう。
保護者からすれば「うちの子は大切にされていない」「特定の子を贔屓しているのでは」と感じられ、保育士への不信感に繋がります。
保護者の事情を考えない
保育園に預けている保護者の中には、小さな子どもを預けることや仕事が忙しくお迎えの時間が遅くなってしまうことに罪悪感を抱いている方もいます。
そんな時に保育士から「もう少し一緒に過ごす時間を作ってください」「お迎えが最後だったので泣いていました」などと声をかけられると責められているように感じてしまうかもしれません。
保育士は、仕事と育児の両立でいっぱいいっぱいになっているかもしれない保護者の事情も考えて声をかけるようにしましょう。
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保育士によって言うことが違う
保育士はシフト制勤務なので毎日必ず担任保育士が保護者対応をできるとは限りません。
連絡事項がある時や行事の持ち物など、保護者から尋ねられた時に誰でも同じ答えを出せるよう、保育士同士情報を共有しておきましょう。
保育士によって言っていることが違うと保護者は混乱しますし、園自体の信用にも関わってくるかもしれません。
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クレームが入ったときの対処法
保育士として働いていると、保護者から何かしらクレームを受ける経験をしている方がほとんどだと思います。
いくら気を付けて対応をしていたとしても、小さな認識のずれや少しのミスはどうしても生じてしまうからです。
クレームが入った場合には誠意を持って対応することが大切です。
ここではクレームが入った時の適切な対処法について紹介します。
話を受け止め、真摯に謝罪する
まずは保護者の話を最後まできちんと聞くことが大切です。
何かしら不満がある上で話しているのに、保育士が途中で遮ったり「それは違います」と訂正しようとしたりするとさらなる不満に繋がってしまうかもしれません。
話を最後まで聞いてまずはしっかりと保護者の話を受け止めます。
その上でこちらに過失がある場合は「申し訳ございません」と頭を下げて真摯に謝罪しましょう。
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今後の対応を伝える
謝罪をした後は、同じことを再び繰り返さないように今後どのように取り組んでいくのかを伝えます。
保護者からすると謝罪をしてほしい気持ちよりも、これから気を付けてほしいといった思いの方をメインで保育士に伝えていることも少なくありません。
園内で共有する
クレームが入った場合は内容に関わらず必ず園長や主任保育士など上司に報告しましょう。
上司に相談の上、同じことを繰り返さないよう会議や朝礼などの場で他の保育士にも共有しておくことも大切です。
解決したと思っていても保護者側に少しでもわだかまりが残っていると、さらなるトラブルに発展したり、別のクレームに繋がってしまう可能性があります。
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解決後のフォローも重要
謝罪をしてその場が収まればクレーム対応は終了、というわけではありません。
同じことを繰り返さないようきちんと対応していることが伝わって初めて、保護者も安心感を得ることができるでしょう。
また園に苦情を入れるということは大切な我が子を預けている保護者からしても勇気のいることです。
解決後はなるべく普段通り接して、きちんと子どものことを見ていますよという姿勢を示しましょう。
円満な保護者対応のコツ
トラブルに発展する原因やクレームが入った時の対処法について紹介してきました。
保護者対応は人間関係の一つなので、残念ながらどの場面にも通用する最適解というものは存在しません。
そのため日ごろから安定した信頼関係を築いておくことや問題が起こった時は誠意を持って対応することが重要になってきます。
ここからは保護者対応で大切にしたいこととして、円満な保護者対応のコツについてまとめました。
こまめなコミュニケーションを心掛ける
信頼関係を築くためには、保護者に「先生は自分の子をしっかり見てくれている」と感じてもらう必要があります。
そのためにはなるべくこまめにコミュニケーションを取り、園での子どもの様子を伝えることが大切です。
朝夕の送迎の時間は保護者も忙しくあまり長話はできませんが、一日の中での特徴的なエピソードや成長を感じられた瞬間などを簡潔に話すと良いでしょう。
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保護者の話を最後まで聞く&共感する
保護者から相談など何か話をしてこられた際は絶対に遮らず最後まで聞きましょう。
その際「そうですね」「お母さんも毎日大変ですよね」など共感する姿勢で聞くことが大切です。
何かアドバイスを求められた際には「~してください」などの命令調ではなく「園ではこうしていますよ」など保護者をサポートするような伝え方をしてみましょう。
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マイナスなことは口頭で伝える
保護者とのコミュニケーションの手段は口頭以外にも連絡帳や電話などがあります。
通常の連絡事項であれば特別手段は選びませんが、子どもの怪我やトラブルなどマイナスな内容の場合は口頭で伝えるようにしましょう。
顔を合わせずに文字や声だけの報告では、冷たく感じてしまったりうまく伝わらなかったりする可能性があるからです。
一線を引き平等に対応する
保護者の中には親しくなると保育士のメールアドレスやLINEのIDを聞いてこられる方もいます。
保護者との個人的なやり取りは禁止している園が一般的ですが、決まりがない場合でも不要なトラブルを避けるためプライベートでの付き合いは控えましょう。
特定の保護者とだけ仲良くしている、仲良い保護者の子どもは贔屓されているなど他の保護者からの不信感に繋がりかねません。
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身だしなみやマナーに気を付ける
信頼される保育士になるためには身だしなみやマナーも重要です。
TPOに合った清潔感のある髪型と服装、丁寧な言葉遣いなど社会人としての基本をきちんと押さえましょう。
普段以上に身だしなみや振る舞いには注意を払いましょう。
保護者対応の事例
信頼される保育士になるために日々心掛けたいことを中心に、保護者対応のコツについて紹介してきました。
ここからは実際に保育士として働いていた筆者の経験から、実際の保育現場でよくある事例と共に保護者対応の方法について紹介します。
よくある事例と保育士の対応
保育士が直面する保護者対応でよくある事例と対処法を3つ紹介します。
園での活動中に怪我をした
筆者が保育士として勤務していた時には、いくら注意を払っていても園内で子どもが怪我をしてしまうことは多々ありました。
怪我をした場合はすぐに応急処置をして、お迎えの際に口頭でその旨を伝えるようにしましょう。
保護者へ伝える際には「鬼ごっこをしている最中に転んでしまい、右膝を擦りむきました。出血があったので水で洗って絆創膏を貼っています」と怪我をした時の状況や応急処置の方法について詳しく話します。
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友達と喧嘩をして怪我をした
保育園では子どもが自身の不注意で怪我をする以外にも、友達とのトラブルや喧嘩が怪我に繋がってしまうこともあります。
低年齢児の場合はうまく言葉で伝えることができないので、引っ掻きや噛みつきが起こることも少なくありません。
保護者へ伝える際は「友達とおもちゃの取り合いになって左腕を噛まれてしまいました。すぐに流水で冷やしています。申し訳ございません」と具体的な状況と応急処置の方法、怪我を防ぐことができなかった謝罪を述べると良いでしょう。
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保護者から「謝罪をしてほしい/したいので相手の名前を教えてほしい」と頼まれた場合は、園長など上司に相談してみましょう。
いじめられているかもしれない
幼児クラスになると友達同士の関わりが活発になるため、保護者から「自分の子がいじめられているかもしれない」といった相談を受けることもあります。
そのような相談を受けた場合は、まずは保護者の気持ちに寄り添いながら話を最後までしっかりと聞くことが大切です。
ただし保育士は立場上一方だけの話を全て信じて対応するわけにはいかないので、公平な視点で子ども同士の関わりをよく観察し、実際はどうなのかを調査する必要があります。
調査をした後は、引き続き様子を見守っていくのか、子どもと直接話をするのかなど明確な対応策を伝えましょう。
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困ったクレームにはどうする?
保育士が直面するよくある事例と保育士の対応について紹介してきました。
保護者対応の中には少し困ってしまう内容のものもあります。
ここからは保育士が困ってしまうクレーム内容とその対応について紹介します。
行事の日程を変えてほしい
まずは「運動会や卒園式などの行事の日程を変えてほしい」といった内容です。
行事を楽しみにしていたのにどうしても都合がつかないといった不満から出てくる要望なので、まずは残念な気持ちを受け止めましょう。
しかし保育園側としては特定の保護者のために行事の日程を移動することはできません。
「参加してもらえないのはとても残念ですが、行事の日程は以前から決まっていることなので変更はできません」と保護者の気持ちに寄り添いながらも、できないことははっきりと伝えることが大切です。
熱があってもすぐに連絡しないでほしい
仕事を休みにくい、途中で退勤しにくいなどの理由で熱があってもすぐに連絡しないでほしいとクレームが入ることがあります。
一般的に「37.5℃を超えたら連絡する」など体調不良時の保護者への連絡については園ごとにルールが決められています。
保護者には園の決まりを再度伝え、子どものためにも発熱時は預かることができないということを伝えましょう。
〇〇ちゃんと遊ばせないでほしい
保護者から「〇〇ちゃんと遊ばせないでほしい」といったクレームが入ることもあります。
このようなクレームの背景には、子ども同士のトラブルや保護者の個人的な事情などがあると考えられます。
まずは、保育園は子ども自身がお友達と関わる中で社会性や人間関係を学んで行く場であることを伝えましょう。
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保護者対応に疲れたときの対処法
保護者対応は正解がないので新人保育士だけでなく中堅、ベテランの保育士でさえも頭を悩ますことが多いでしょう。
ここでは保護者対応に疲れてしまったときの対処法について3点紹介します。
一人で抱え込まず上司や先輩に相談する
保護者対応でストレスを抱えてしまったときは一人で抱え込まず、先輩や上司に相談しましょう。
相談することで新たな解決策が見えてきたり、同じようなことがあったと昔の経験を教えてくれることもあるかもしれません。
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息抜きをしっかりする
退勤後や休日は仕事のことを考えず、プライベートを楽しみましょう。
ライブに行ったりショッピングを楽しんだりと好きなことを楽しむ時間を十分にとることで心が軽くなるかもしれません。
保護者との付き合いは一生続くものではないと吹っ切ってしまうことも手です。
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転職して環境を変える
保護者とのトラブルでどうしても仕事に行くのが辛くなってしまったときには別の園へ転職することも一つの方法です。
心身を病んで仕事ができない状態になってしまうくらいなら思い切って環境を変えてしまいましょう。
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まずはLINEからお気軽にご相談ください。
丁寧なコミュニケーションで信頼関係を築こう
保育士の保護者対応のコツやよくある事例について紹介してきました。
保護者と良い関係を築くためには毎日の丁寧なコミュニケーションの積み重ねが大切です。
日々の保育の中で「自分の子どもをしっかりと見てもらえている」と保護者が感じられることが保育士への信頼に繋がっていくでしょう。
また保護者対応とは一つの人間関係なので、現場ではケースバイケースの対応が必要になってきます。
今回紹介した内容を頭に入れ、保護者の思いに寄り添うことを意識して保護者対応を行っていきましょう。