2歳児は身体の発達だけでなく、心や脳も大きく成長する時期です。
生活面でも遊びの面でもできることが増えていく一方、自我の芽生えからの心の葛藤で大人は接し方に悩んでしまうことが増えるかもしれません。
2歳児クラスの担任になった場合、どんなことに重点を置いて子どもたちに接していけば良いのでしょうか。
この記事では2歳児の発達特徴や、生活面での援助、保育で使えるネタやイヤイヤ期の接し方について紹介します。
2歳児の発達段階と関わり方
2歳になると話せる言葉が増えて簡単な会話ができるようになり、自分の頭で考える思考力も育ってきます。
自我の芽生えから、強い自己主張を行うようになるのもこの時期です。
発達スピードには個人差がありますが、おおよその2歳児の発達特徴を知ることで、子どもとの関わり方や保育について改めて考える良いきっかけになるでしょう。
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身体の発達
2歳児の身長は1年間で約5cm伸び、体重は約1kg増えます。
身長に比べて体重の伸びはゆるやかで、ぽっちゃりした赤ちゃん体型から子どもらしいすっきりとした体型になります。
2歳児の男の子と女の子の平均身長と体重を紹介します。
男の子の平均身長・体重
2歳児の男の子の平均身長と体重です。
2歳0~5か月 | 2歳6~11ヵ月 | |
身長 | 86.7cm | 91.2cm |
体重 | 11.3kg | 12.5kg |
女の子の平均身長・体重
2歳児の女の子の平均身長と体重です。
2歳0~5か月 | 2歳6~11ヵ月 | |
身長 | 85.4cm | 89.9cm |
体重 | 12.0kg | 13.1kg |
運動機能の発達
2歳児になると一人歩きはすっかり安定し、走ったり階段を上ったりジャンプをしたりと様々な動きができるようになります。
とにかく自分で動けることが嬉しいので、運動能力を高めて体力をつけるためにもたくさん身体を動かす遊びを取り入れていきましょう。
粗大運動だけでなく手先の動かし方もずいぶんと発達してきます。
衣服の着脱を自分でやろうとしたり、大きめのボタンを留めたりと生活面でもできることが増えていくでしょう。
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心の発達
「親と自分は違う人間である」ということに気づき自我が芽生えた子どもは、2歳ごろに第一次反抗期を迎えます。
いわゆる「イヤイヤ期」と呼ばれる時期で、大人の言うこと全てに反抗してみたり何でも自分でやりたがったりします。
対応に困ってしまうことも多くなりますが、この時期に強い自己主張をすることは順調に成長している証です。
大人が子どもの気持ちをしっかりと受け止めることで、自己肯定感を育むことにも繋がります。
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脳の発達
2歳児は脳や思考力の発達も目まぐるしい時期です。
記憶力も発達し、楽しかったことや怖かったことなど印象深い出来事は覚えていられるようになります。
また赤、青、黄色などの色の識別ができたり、1〜3まで1つずつ数えることができるようにもなります。
2歳後半になると、「大きい・小さい」「長い・短い」の概念が理解できる子どもも出てくるでしょう。
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言葉の発達
「ばなな、たべた」「わんわん、いた」など二語文を話す子どもが増えてきます。
今まで大人にかけてもらっていた言葉を貯めていたタンクが満タンになることで、急速に語彙数が増えるので「言葉の爆発期」とも言われています。
二語文を話し始めてしばらくすると「まま、おもちゃ、とって」など三語文に繋がっていくでしょう。
大人は子どもが話した言葉に対して「おいしいね」「赤いね」など形容詞を交えて答えるなど新しい言葉をどんどん覚えられるように関わってみましょう。
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社会性の発達
2歳ごろになると少しずつ同年代の友達に興味を持ち始めます。
友達のしていることを観察したり、真似して遊んでみたり、クラスの友達の名前を覚えたりする姿が見られるでしょう。
この時期は一緒に遊んでいるように見えても、隣で同じ遊びをしているだけで直接的な関わりはないことも多々あります。
まだ相手の立場になって考えることは難しいので、おもちゃの取り合いになったり手が出てしまったりとトラブルも起こりがちです。
少しずつ「友達と関わることが楽しい」と思えるよう保育士は仲立ちをして友達と一緒に遊べる機会を作ったり、おもちゃの貸し借りの見本を示したりしてみると良いでしょう。
2歳児の生活面の発達特徴
2歳児になると生活面でもできることがどんどん増えていき、身辺自立が進みます。
気持ちの面でも身の回りのことを自分でやりたい思いが出てくるので、「できることは自分でする」ことを目標にサポートしていきましょう。
ここでは生活面の食事、排泄、睡眠や着替えに焦点を当てて紹介します。
食事は自分で食べたい気持ちを大切に
スプーンやフォークを使って自分で食べることができるようになります。
うまくすくえずこぼしてしまうことも多いですが、自分で食べたい気持ちを大切に手を出しすぎず見守ることも重要です。
この時期は食べむらが出てきて、気分によって食べたり全く手をつけなかったりということも多々あります。
怒ったり無理やり口に入れることは控え、「〇〇ちゃんも食べているよ」と友達の様子を知らせて意欲を引き出してみたり、少し食べることができたら大げさに褒めるなどなどなるべく楽しい雰囲気を作り出すことを心掛けましょう。
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トイレトレーニング
2歳児になるとトイレトレーニングを始める子どもが多くなります。
- 一人でしっかり歩くことができる
- 便座に安定して座れる
- 大人の問いかけに首振りなどで答えられる
- おしっこの間隔が空く
このような様子が見られたら家庭と連携を取りながら、子どもに無理のない範囲で開始しましょう。
ポイントは「できたときにしっかりと褒める」ことです。
子ども自身がトイレでできて嬉しいという気持ちを持てるように関わっていきましょう。
保護者にもトイレトレーニングは一進一退するものであり焦る必要はないということを伝え、のんびりと構えられるようにしましょう。
睡眠時間や着替えは?
2歳児の一日の睡眠時間は11〜14時間くらいです。
保育園でのお昼寝は1〜3時間程度を目安に、家庭と合わせて十分な睡眠をとれるようにしましょう。
衣服の着脱や片付けも徐々に自分でできるようになってきます。
できるところは子どもに任せながら難しい箇所はさりげなくサポートし、できたら十分に褒めることを意識しましょう。
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2歳児保育に取り入れたい遊び
生活面でできることがどんどん増えてくる2歳児クラスでは、教育面でも発達に合わせた遊びを取り入れていくことが必要です。
ここでは2歳児保育におすすめの遊びについて紹介します。
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運動遊び
全身の運動能力が飛躍的にアップする2歳児の保育は、身体を動かす遊びを積極的に取り入れていきましょう。
走ることができるようになるので、追いかけっこ遊びやしっぽ取りゲームなど伸び伸びと動き回れる遊びがおすすめです。
他にもマットの上でジャンプをしたり、低い平均台の上を歩いてみたり、フラフープのトンネルをくぐったりと全身を動かせる遊びも楽しめるでしょう。
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見立て遊びやごっこ遊び
2歳前後には、ブロックを耳に当てて電話にしてみたり、チェーンリングをお椀に入れて食べる真似をしたりと見立て遊びができるようになってきます。
見立て遊びは想像力や発想力を豊かにする遊びなので、ままごとコーナーのおもちゃはカラフルなチェーンリングや小さな積み木など「何にでも使えるもの」を用意すると良いでしょう。
見立て遊びを楽しむ姿が見られるようになったら、保育士が「ごはんをくださいな」などイメージが膨らむ声掛けをすることで徐々にごっこ遊びに発展していきます。
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おすすめのおもちゃ
2歳児は手先を器用に使えるようになってくるので、紐通しやねじ遊び、粘土などのおもちゃがおすすめです。
普通の洗濯ばさみと厚紙を用意するだけでも、指でつまんで止めるという動作で指先や手の使い方を学ぶことができます。
この時期は一人遊びに熱中する時間も大切なので、黙々と集中しているときはそっと見守るようにしましょう。
製作アイデア
2歳児の製作ではお絵描きやスタンプ、シール、のりを使って貼るなどの手法を取り入れてみましょう。
様々なものに興味を持つ時期なので、落ち葉やどんぐりを使ってケーキを作るなど自然物を取り入れた製作もおすすめです。
2歳児の後半には子どもの様子を見ながら、折り紙の一回折りやはさみの一回切りに挑戦しても良いでしょう。
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人気の絵本
2歳児になると簡単なストーリーを楽しめるようになるので絵本の選択の幅もぐんと広がります。
わかりやすい絵とストーリーで、季節の行事にちなんだものや子どもが興味を持っているもの、生活習慣に関するものなど様々な分野の絵本を取り入れていきましょう。
2歳児におすすめの絵本のタイトルを紹介します。
- 『おおきなかぶ』
- 『どんどこももんちゃん』
- 『かんかんかん』
- 『いやだいやだ』
- 『いただきますあそび』
- 『さんかくサンタ』
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イヤイヤ期真っ只中!2歳児への接し方
自我が芽生え、自己主張が強くなる2歳児は「イヤイヤ期」と呼ばれる第一次反抗期を迎えます。
自我を確立させていくために必要な大切な時期ではありますが、保護者だけでなく保育士も接し方に悩んでしまうことが多くなるでしょう。
ここではイヤイヤ期真っ只中の2歳児への接し方について紹介します。
自己主張は成長の証
そもそもイヤイヤ期はなぜ起こるのでしょうか。
0歳のころは大人の言うことを素直に受け入れていましたが、1歳をすぎると徐々に自我が芽生え自分の意思が出てきます。
「自分でやりたい」気持ちが強くなる一方、「うまく言葉で伝えることができない」「まだまだ一人ではうまくできない」「思い通りにならない」ことで癇癪を起したり反抗したりするようになります。
接し方に悩むことが多くなる時期ですが、自己主張をすることは順調に成長している証拠です。
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気持ちを言語化&受容する
2歳を過ぎると話せる言葉は増えていきますが、まだまだ自分の思いを的確に表現することは難しい時期です。
そのため「自分のやりたいことと違う」と感じていても何と言って良いかわからず全てに対して「イヤ!」と言ってしまいます。
大人は周囲の状況や子どもの様子から気持ちを想像して「〇〇したかったね」「〇〇が嫌だったね」と具体的に言語化して受け止めてみましょう。
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視点を変えた誘い方をしてみる
イヤイヤ期には着替えや手洗い、トイレに誘ったときに「イヤ!」と言って逃げていったりすることがよくあります。
そんな時は真正面からの声掛けではなく少し視点を変えた誘い方をしてみましょう。
遊びの延長として電車ごっこをしながらトイレまで行ったり、「〇〇ちゃんも上手に着替えているよ」と友達の姿を伝えて意欲を引き出してみることがおすすめです。
またこの時期は何でも大人の真似をしたりお手伝いをしたりすることを喜ぶので、「先生も手を洗いたいから手伝ってくれる?」といった誘いかけをすると喜んでくれるかもしれません。
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見守ることも大切
自分でやりたいのにうまくできないという葛藤で「イヤ!」となっている場合は状況に応じてしばらく見守ってみましょう。
子どもは「待ってくれている」という安心感を得られ、自分のペースで取り組むことができるので気持ちを落ち着かせることができるかもしれません。
また子どもの気持ちに寄り添うことは大切ですが、「ダメなことはダメ」ということも伝えていく必要があります。
自分の思うようにできずに癇癪を起こしてしまうこともありますが、そんな時は周囲の安全を確保して少しの間見守ってみましょう。
頭ごなしの否定や脅しはNG
イヤイヤ期の対応として頭ごなしに怒ったり、「〇〇しないと〜できないよ」といった脅しを使うことは控えましょう。
2歳にもなれば大人の言うことがだいぶわかるようになっているので、叱るときは「なぜダメなのか」理由も一緒に伝えましょう。
その時は内容を完全に理解できていなくても、何度も繰り返し伝えることで納得できるようになっていきます。
自分でやりたい気持ちを大切に!根気強く成長を見守ろう
2歳児の発達や関わり方、保育内容などについて紹介してきました。
心と脳がめまぐるしい発達を遂げる2歳児は、保護者だけでなく保育士も接し方に悩み手を焼いてしまう時期です。
自我の芽生えから自我の確立へ向かう最中のイヤイヤ期は「自分でやりたい」という思いが強くなります。
この時期には子どもの気持ちを言語化して受け止めたり、角度を変えて声掛けをしてみたりと接し方の試行錯誤が必要です。
大人は子どもの自己主張を優しく受容&共感し、根気強く成長を見守っていきましょう。
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