1歳児ができることとは?言葉や運動の発達目安やおすすめの遊び、保育のポイントを紹介

1歳児ができることとは?言葉や運動の発達目安やおすすめの遊び、保育のポイントを紹介 (1)

1歳児は歩けるようになることで行動範囲がぐんと広がり、自我が芽生えて好奇心も旺盛になります。

また大人の言っていることを理解し、自分でも少しずつ言葉を発するようになってきます。

心身ともに成長の著しい1歳児について発達の目安や遊びの内容などを知りたい保育士の方もいるでしょう。

この記事では1歳児の発達や大人の関わり方、おすすめの遊び、1歳児保育のポイントなどを詳しく紹介します。

1歳児ができることとは?

生まれたときは一日中寝ていた赤ちゃんも、1歳を過ぎると一人で歩いたり意味のある言葉を話し始めたりとできることがどんどん増えていきます。

日々成長していく子どもの様子に合わせて大人も接し方を変えていく必要があります。

1歳児は発達の個人差が大きい時期でもありますが、ある程度の発達の目安を知っておくことで適切な関わりができたり保育の見通しが持てたりと保育の向上にも繋がっていくでしょう。

ここでは1歳を前半(1歳0ヵ月〜1歳5ヵ月)と後半(1歳6ヵ月〜1歳11ヵ月)に分け、それぞれの目安となる発達の特徴を紹介していきます。

コンサルタント

同時に1歳児の発達を促すための大人の関わり方についても紹介します。

1歳前半(1歳0ヵ月~1歳5ヵ月)の発達目安と関わり方

まずは1歳児前半、1歳0ヵ月〜1歳5ヵ月までの発達の目安と大人の関わり方について紹介します。

身長体重

1歳前半の平均身長と体重を紹介します。

男の子

平均身長 74.9~78.8cm
平均体重 9.2~10.0kg

女の子

平均身長 73.3~77.2cm
平均体重 8.7~9.4kg

歩き始めると運動量が一気に増えるため、0歳児の頃と比べて体重の伸びはゆるやかになります。

参考:https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001tmct-att/2r9852000001tmea.pdf#page=2 (平成 22 年乳幼児身体発育調査報告書(概要))

運動機能

足腰に筋力がついてくるので、支えなしに一人で立ったりしゃがんだりできるようになってきます。

個人差はありますが、1歳を過ぎると一人で歩き出す子どもが増えてくるでしょう。

始めは恐る恐る一歩ずつ出して歩きますが、慣れてくると興味のあるほうへ向かってどんどん動き回るようになります。

階段などの段差がある場所でも、手をつきながら自分で登ろうとする姿も見られるでしょう。

コンサルタント

自分で歩くことの喜びを十分に感じられるように、散歩や外遊びを積極的に取り入れていきたいですね。

0歳のころは大人のすることは何でも受け入れていた赤ちゃんでしたが、1歳前後になると「自分」と「他人」は違うということに気づきます。

この気づきをポイントに少しずつ「自我」が芽生え、「今はやりたくない」「自分でやりたい」などの気持ちを抱くようになります。

ただ自分の思いはあってもまだうまく言葉で言い表すことができないので、泣いたり叫んだり時には物を投げたりと全身で感情を表現しようとするでしょう。

大人は子どもの様子からどんな思いを抱いているのか感情をを汲み取り、共感することが大切です。

コンサルタント

気持ちに寄り添ってもらうことで、自分の思いを受け止めてもらえたと感じて安心することができるでしょう。

喃語や言葉

1歳ごろには喃語がどんどん活発になってきます。

中には「まんま」「ぶーぶー」など意味のある言葉を話し出す子どもも出てきます。

指差しを始める子どもが増えてくるので、指差したものの名前を伝えるなど積極的に話しかけていきましょう。

1歳前半ではまだ話せる言葉は少ないですが、大人の言っていることはだいぶ理解できるようになっています。

危険なことやしてはいけないことは、何度も繰り返し言葉で伝えていくことが大切です。

コンサルタント

大人のことをよく観察して何でも吸収していく時期なので、普段から丁寧な言葉遣いを心掛けましょう。

食事など生活面

1歳を過ぎると離乳食は完了期になり、徐々に幼児食へ移行していきます。

食事の段階は急いで進める必要はないので、しっかり咀嚼できているか、便の調子は良いかなど様子を見て子どものペースで幼児食へ移行しましょう。

自分で食べたい意思が出てくる時期なので、子ども用と介助用のスプーンを用意して援助します。

手づかみ食べも盛んになり、時にはスプーンを投げたり食べ物を手でつぶして遊んだりすることもあるかもしれません。

「スプーンはこうやって持つんだよ」と伝えたり、大人がおいしそうに食べる姿を見せたりして食べる意欲を引き出せるよう関わっていきましょう。

コンサルタント

子どもが食事に集中できる時間は15分〜20分ほどなので、ある程度時間を決めて区切ってしまっても良いでしょう。

社会性

探索行動が盛んになり様々なものに興味が出てくるこの時期は、周りにいる友達にも興味を示します。

しかしまだ一緒に遊ぶのではなく、好奇心から友達に触りにいったり、友達が持っているおもちゃが欲しくなって取りにいったりといった自分中心の関わり方が主です。

そのため悪気はなく友達を叩いてしまったり、おもちゃの取り合いで引っ掻きや噛みつきなどのトラブルが起こってしまいます。

手を出しながら「貸して」といったジェスチャーを大人がやって見せることでおもちゃの貸し借りの仲介をするなど、友達とうまく関わっていけるような言葉や方法を伝えていきましょう。

1歳後半(1歳6ヵ月~1歳11ヵ月)の発達目安と関わり方

次は1歳児後半、1歳6ヵ月〜1歳11ヵ月までの発達の目安と大人の関わり方について紹介します。

身長体重

1歳後半の平均身長と体重を紹介します。

男の子

平均身長 79.7~85.1cm
平均体重 10.4~11.3kg

女の子

平均身長 78.2~83.8cm
平均体重 9.7~10.7kg

1歳から2歳までの1年間で身長は約10㎝も伸びます。

参考:https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001tmct-att/2r9852000001tmea.pdf#page=2 (平成 22 年乳幼児身体発育調査報告書(概要))

運動機能

1歳後半になるとほとんどの子どもが一人で歩けるようになります。

2歳に近づくとさらに全身の運動機能が発達し、手を繋げば階段を登れるようになったり、中には走れるようになる子どもも出てくるでしょう。

少しの段差であればジャンプして飛び降りることもできるようになるので、保育園ではクッションやマットなどで作ったサーキット遊びもおすすめです。

コンサルタント

指先もどんどん器用になっていくので1歳半を過ぎると洗濯ばさみや紐通し遊びなどもできるようになってきます。

生まれたころには「快」「不快」のみであった感情も成長とともに複雑化し、1歳半を過ぎるころには「羨望」「照れ」「共感」などの感情が生まれてきます。

友達が抱っこしてもらっているのを見て嫉妬をしたり、注目を浴びて少し恥ずかしそうにしたりする姿が見られるようになるでしょう。

また自我が確立されていくにつれどんどん自己主張が強くなり、いわゆるイヤイヤ期と呼ばれる第一次反抗期に突入します。

第一次反抗期の時期は個人差がありますがおおむね2歳前後、早い子どもは1歳半ごろから始まると言われています。

MEMO
できないことまで自分でやりたがったり、大人の言うこと全てに反抗したりするので関わり方に悩むことが増えるかもしれません。

 

まずは子どもの気持ちに寄り添って「〇〇がしたかったんだね」と共感したり「これとこれどっちが良い?」と選択肢を挙げてみたりと、どっしりと構えて感情を受容していくことが大切です。

喃語や言葉

1歳半ごろには喃語と共に意味のある発語がいくつか出てくる子どもが多くなるでしょう。

2歳ごろになると「ぶーぶー きた」「わんわん いた」など二語文を話し出す子どもも出てきます。

大人の言っていることもさらに理解できるようになり「ちょっと待っててね」といった簡単な指示が通るようにもなってきます。

注意
子どもが正しい発音を覚えられるように、大人が「〜でちゅね」「〜しましゅよ」など語尾を赤ちゃん言葉にすることは控えましょう。

食事など生活面

1歳半ごろにはほとんどの子どもが離乳食を卒業します。

この時期には昨日まで食べていたものを急に食べなくなったり、少しずつ好き嫌いが出てくる子どももいるかもしれません。

嫌がるものは無理強いせずに一口だけにしてみたり、少しでも食べることができたら大きなリアクションで褒めたりしてなるべく楽しい雰囲気を作ることが大切です。

また「今は食べたくない気分だった」だけなこともあるので、この子はこれが嫌いと決めつけることはしないほうが良いでしょう。

コンサルタント

後日同じものをあげてみると特に問題なく完食した、ということもよくある時期です。

社会性

1歳後半になると手に持っているおもちゃと自分の経験が結びつき「自分のもの」といった意識が芽生えてきます。

そのため自分のおもちゃを大切に扱ったり、友達に貸すことを嫌がって怒ったりする姿が見られるようになってくるでしょう。

行動範囲が広がりいろんなことに興味が出てくる時期でもあり、一人ひとりの好奇心を十分に満たすことが大切です。

コンサルタント

大人や友達のやっていることに興味を持ち、友達のしている遊びを真似してやってみる姿が見られるでしょう。

1歳児の発達を促す遊び

1歳児の発達について、様々な方面から紹介してきました。

1歳児になるとできることがどんどん増え、0歳の頃に比べて遊びのレパートリーもぐんと増えてきます。

ここでは1歳児の発達を促すおすすめの遊びについて紹介します。

体を動かす運動遊び

歩けるようになり、行動範囲が広がる1歳児は体を動かす遊びが大好きです。

一人歩きを始めたころは歩けること自体が嬉しいので、園庭をお散歩するだけでもとても良い刺激になるでしょう。

室内でも音楽に合わせて歩いたりハイハイをしたり寝転がったりとリトミック遊びも楽しめるようになってきます。

マットや大きめのクッション、テントやトンネルを使った運動遊びも積極的に取り入れていきましょう。

1歳児クラスはよちよち歩きの子どもから走ることができる子どもまでいるので、保育士は怪我や事故のないよう十分に気を付けて見守るようにしましょう。

コンサルタント

ダイナミックな運動遊びをするときは月齢で2グループに分けて時間差で遊んでも良いかもしれません。

おすすめのおもちゃ

指先が器用に使えるようになるので、様々な形の型はめや、積み木、紐通しなど遊ぶことができるようになります。

一人遊びが重要な時期なので集中しているときはそっと見守ることも大切です。

大人の行動をよく見ているので、人形のおむつを替えようとしたり食器を並べたりとままごと遊びも楽しめるようになってきます。

「はい、どうぞ」「おいしいね」など言葉掛けややり取りを楽しみながら遊んでみましょう。

コンサルタント

初めてのおもちゃで遊ぶ場合、まずは保育士が遊ぶ姿を見せることで遊び方を真似て学んでくれるでしょう。

製作アイデア

製作ではお絵描きやタンポなどを取り入れていきましょう。

お絵描きをし始めたころはまだ描く力が弱いので、色のつきやすい水性のマーカーペンなどがおすすめです。

大きな模造紙を用意し、みんなで自由に描くことで色がつくおもしろさを感じられる遊びから始めてみましょう。

コンサルタント

タンポはガーゼと綿と輪ゴムがあればすぐにでき、小さな手でも持ちやすいので1歳児の製作にぴったりです。

人気の絵本

1歳児は身の回りのものにどんどん興味が出てくる時期なので、好奇心を刺激されるような絵本がおすすめです。

言葉のリズムを楽しめるものや動きを真似して遊べるもの、食事や手洗いなど生活面に関わる絵本なども良いでしょう。

1歳児に人気の絵本のタイトルを紹介します。

  • 『だるまさんシリーズ』
  • 『きんぎょがにげた』
  • 『うずらちゃんのかくれんぼ』
  • 『きゅっきゅっきゅ』
  • 『おべんとうバス』

コンサルタント

活動の切り替え時やお昼寝の前など、絵本の読み聞かせを積極的に取り入れていきましょう。

1歳児保育のねらいやポイント

1歳児の発達や遊びについて、大人の関わり方も交えながら紹介してきました。

初めて1歳児クラスの担任をする保育士の中には「1歳児保育はどんなことに気をつければ良いのだろう」と悩んでしまう方もいるかもしれません。

ここでは1歳児保育のねらいやポイントについて紹介します。

生活面は習慣化する

子どもたちは1日の大半の時間を保育園で過ごすので、まずは安心感を持って生活できることが基本です。

以下の例のように、毎日行う動きは流れややり方を固定して習慣化させましょう。

  • 外遊びの前には靴下を履いて帽子をかぶる
  • 外遊びから戻ったら手洗いをして絵本を見る
  • 食事の前にはトイレへ行く

なるべく毎日同じ流れで生活することで子ども自身も次に何をすれば良いのかがわかるようになってきます。

コンサルタント

ルーティンを作ることで、保育士自身も落ち着いて保育を行えるようになるでしょう。

見守りとサポートをバランス良く

自我が出てくる1歳児は何でも自分でやりたい気持ちが強くなってきます。

大人から見ればじれったい場面もありますが、手を出したい気持ちをこらえて子どもがすることを見守ることも大切です

しかしまだ身の回りのことを全て一人で行うことは難しいので、見守りながら必要に応じてサポートすることも必要です。

着替えでは履きやすいようにズボンを広げて置いたり、食事ではスプーンですくいやすいように食べ物をお皿の端に寄せるなどさりげない援助をしてみましょう。

コンサルタント

遊びの中でも、危険がない限りは子ども自身が好奇心を十分に満たせるよう見守りと援助のバランスを意識してみましょう。

子ども気持ちに共感する

自我が出てきた1歳児は伝えたい思いはたくさんあるけれど、まだうまく言葉で言い表すことができないジレンマの中にいます。

自分の中に溢れる感情をどうすれば良いかわからず癇癪を起こしてしまうこともあるでしょう。

保育士は子どもの様子や仕草から何がしたかったのか、何を伝えたいのかを汲み取り、言語化して共感していくことが大切です。

例えば、活動の切り替えがうまくいかず泣いてしまう場面では「もっと遊びたかったね」と気持ちに寄り添うことで、気持ちを肯定してもらえたと感じ落ち着くことができるかもしれません。

コンサルタント

共感する言葉と共に抱きしめるなどスキンシップを取っても良いでしょう。

1歳児クラスの保護者支援

1歳児はできることがどんどん増えていく時期ですが、発達の個人差も顕著になる時期です。

保護者は他の子どもと比べて「うちの子は全然歩かない」「いつになったら言葉出るの?」と不安になり、保育士に相談をすることもあるかもしれません。

相談を受けた際には保護者の気持ちを受け止めながら、以下のことを伝えましょう。

  • 子どもの発達は個人差が大きいこと
  • 他の子どもではなく自分の子どもの以前の姿と比べること

コンサルタント

不安に感じていた保護者も、その子なりのペースで少しずつ成長していることを感じられると安心することができるでしょう。

一人ひとりに合った関わり方で発達を促そう

1歳児の発達や遊び、保育のポイントについて紹介してきました。

1歳になると歩けるようになったり、言葉が話せるようになったりとできることが日々増えていきます。

発達スピードの個人差が大きい時期なので、子どもの姿に合わせた関わりや遊びの設定が必要です。

また自我が芽生え、自分の思いがどんどん強くなっていく時期なので、子どもの気持ちを汲み取って共感することが大切です。

自分でやりたい気持ちや好奇心を十分に満たせるような保育を行っていきましょう。